採用リスクとは?人材採用のリスクを減らすポイント
この記事のまとめ(要約)
採用リスクとは、採用した人材が会社に不利益をもたらす可能性のことです。採用リスクのある人材の具体例やリスクを減らすポイントを解説します。
採用は、事業を成長させるために必要不可欠ですが、「見極めが正しくできていないと、採用した人物が会社に不利益をもたらす可能性がある」というリスクもはらんでいます。
人材採用におけるリスクを減らすためには、具体的な採用リスクの内容を知り、回避する手段を準備しておくことが重要です。
この記事では、採用リスクのある人材の具体例や、人材採用リスクを減らすポイントについてお伝えします。
監修者

中澤 泉
弁護士/合同会社ことりうみ代表
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目次
採用リスクとは

採用リスクとは、新たに人材を採用した結果、それによって会社に不利益をもたらしてしまう可能性のことです。
採用による不利益は、明確に分かるものと分かりづらいものに分かれます。
例えば、採用した社員が情報漏洩を起こしてしまうなどは分かりやすい不利益ですが、その社員の振る舞いによって社内の雰囲気が悪くなったというケースは、なかなか発覚しづらいかもしれません。
せっかく採用したにもかかわらず、会社にとってよくない影響を与えてしまうようでは本末転倒ですので、採用担当者は採用リスクに十分注意しながら、採用活動を行う必要があるでしょう。
採用リスクがある人材とは
採用リスクがある人材とは、具体的にどんな候補者を指すのでしょうか?
選考の際にチェックができるよう、採用リスクが高いとされる人材のパターンをご紹介します。
仕事に必要なスキルが身についていない
任せたい仕事に必要な能力や経験がなく、期待していた業務を任せられない可能性が高い候補者は、採用リスクが高いと言えるでしょう。
例えば、営業ポジションに営業経験者を採用したとします。
多くの場合、営業職はお客様との商談だけではなく、提案書の作成や事務手続きも行うため、PCスキルが必須とされます。
もし「顧客折衝は問題なくできるけれど、タイピングスキルが全くない」という候補者を採用してしまうと、書類作成に業務の時間の大半を奪われてしまい営業活動が遅延するなどの不利益が発生するかもしれません。
いかに他の能力が高かったとしても、必須とされるスキルが1つでも欠けていれば、採用リスクのある人材とみなすことができるでしょう。
早期離職の可能性が高い
短期離職の多い候補者や、自社のカルチャーに明らかに合わなそうな候補者など、入社後すぐに退職してしまう可能性が高い候補者は、採用リスクが高いと言えます。
どんなに優秀な候補者だったとしても、すぐに辞められてしまっては、採用コストを回収できず、企業にとって大きな損失となる可能性があります。
また、経費面だけではなく、「すぐに人が辞めてしまった」という事実は、既存社員にも悪い影響を与えかねません。
これまでの経歴を見て、理由もなく短期離職を繰り返しているような候補者は、採用リスクを慎重に判断するべきでしょう。
社内外でトラブルを起こす
採用リスクのある候補者によく見られるのが、人間関係のトラブルです。
社内外でトラブルを起こす可能性が高い候補者は、採用リスクが高いと言えるでしょう。
お客様に失礼な態度を取る、取引先に高圧的に接するといった問題のある候補者を採用してしまうと、お客様や取引先との信頼関係を損ねてしまうでしょう。
また、良い仕事をするためには、社内の円滑なチームワークが欠かせません。
コミュニケーションの取り方に問題があったり、チームワークを乱すような行動をしてしまったりする候補者は、その方自身だけでなくチーム全体のパフォーマンスを落としてしまうかもしれません。
リファレンスチェックなどを用いて、これまでの仕事ぶりを採用選考の中で深く確認して、人材採用リスクを判断するのがポイントです。
情報漏洩の可能性が高い
モラルやマナーの観点で、情報漏洩を起こしそうな候補者は採用リスクがあると言えるでしょう。
特に、昨今増えているSNSからの情報漏洩リスクは、採用リスクを見定める大切なポイントです。
電車の中で社内の情報を大声で話してしまうというのも情報漏洩になりますが、SNSの怖いところは拡散性の強さです。
候補者本人に悪意がなくとも、気軽に社内で撮った写真をSNSにアップしてしまい、その写真の中に社外公開してはいけない情報が写っていれば、情報漏洩事故となってしまいます。
採用フローにSNSチェックの工程を設ける場合は、確認する目的と範囲をあらかじめ定め、思想・信条など採否に用いてはならない情報まで踏み込まないよう運用ルールを整えておくことが重要です。
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SNSで不適切な発言をしている
SNSで不適切な発言をしていないかも、採用リスクを判断する一つの観点となります。
前提として、SNSは候補者がプライベートで使用しているものですので、思想・信条、支持政党、宗教、関心事といった「本来自由であるべき事項」は、たとえ公開情報であっても採否の判断に用いてはなりません。これらを材料にすると就職差別につながるおそれがあります。
一方で、特定の第三者の情報の暴露、誹謗中傷、違法行為の示唆など、業務上のトラブルや法令違反に直結する具体的言動については、確認の対象とすることに合理性があります。確認する場合も、対象範囲と利用目的をあらかじめ限定しておくことが望ましいでしょう。
ストレス耐性が低い
ストレス耐性が極端に低い候補者も、採用リスクに注意しておいた方が良いでしょう。
ここでポイントとなるのは、自社で任せたい業務においてどんなストレスがかかりやすいのかを把握しておくことです。
そもそもストレス耐性にも多様なタイプがあり、人と接することへのストレス耐性もあれば、同じ作業を続けることへのストレス耐性もあります。
採用ポジションにおいて、かかりやすいストレスに対して、その候補者がどのくらい耐性がありそうかを見極めることが大切です。
自社でストレスがかかりそうな状況を一例に挙げ、類似した状況の経験の有無や、そのときにどのように対応したかを面接で質問するなどして、自社での業務へのストレス耐性を確認するようにしましょう。
なお、ストレス耐性を確認する際も、質問はあくまで「過去にどのような状況でどう対応したか」といった業務に関連する行動・経験にとどめ、病歴・通院歴・メンタルヘルスの不調歴などには立ち入らないよう注意が必要です。これらは個人情報保護法上の「要配慮個人情報」にあたり、取得には原則として本人の同意が必要とされるため、選考の場で安易に尋ねることは避けるべきです。
関連記事:ストレス耐性チェックの方法や、ストレス耐性が高い人・低い人の違い、社員のストレス緩和のコツを紹介
勤怠や勤務態度に不安がある
遅刻や欠勤が多いなど勤怠に課題がある場合、本人のパフォーマンスだけでなく、チーム全体の業務や職場の雰囲気にも影響をおよぼすことがあります。こうした点は、私生活そのものを評価するのではなく、あくまで勤怠や業務上の行動として確認することが適切です。
一方で、私生活の金銭事情(収入・資産・借入など)は、本人の適性・能力と直接関係しません。とりわけ家族の収入・資産や生活環境は、厚生労働省「公正な採用選考」が把握を避けるべきとする事項に挙げられており、本人自身の資産状況等についても、適性・能力に関係のない事項を採否の基準にしないという公正採用選考の原則や、職業安定法(必要な範囲を超える個人情報の収集制限)の観点から、選考材料とすることは避けるべきです。
リスクとして着目すべきは、あくまで遅刻・勤怠・チームへの影響など、業務遂行に直接関わる行動面です。これらは試用期間中の勤務状況やリファレンスチェック(本人同意のうえで)を通じて確認するのが適切です。
関連記事:コンプライアンスチェックとは?コンプライアンスチェックの必要性を解説
人材採用のリスクを減らすポイント

人材採用のリスクを減らすには、採用工程や採用基準に偏りや見落としがないかを確認していくのが効果的です。
具体的なチェックポイントをご紹介します。
採用フローを見直す
採用リスクを減らす大切なポイントとして、まずは採用フロー全体を見直しましょう。
一般的に、採用には多くの社員が関わっています。
その一方、採用の全体像を知っている社員は一握りであることが一般的です。
個々の担当者が自分の仕事をまっとうしていたとしても、そもそもの採用フローに穴があってリスクを見落としていては、採用リスクを減らすことはできません。
選考の各工程におけるチェック観点を洗い出し、抜けているものがあれば追加するようにしましょう。
採用基準を明確にする
採用基準を明確にし客観性を持たせることも、採用リスクを減らす効果的なポイントです。
面接で候補者を判断する場合、主観が含まれてしまうのは致し方のないことではありますが、それによって採用判断にばらつきが出てしまうと、採用リスクの高い候補者の採用に繋がりかねません。
面接官の違いによる採用判断のばらつきを減らす効果的な方法が、採用基準を明確にすることです。
最も明確な採用基準は適性診断などの数値で結果が出るものになりますが、面接の採用基準も、やり方次第で具体性・客観性を高めることができます。
例えば、「責任感がありそうか」という採用基準は、面接官によって「責任感」という言葉のとらえ方が異なり客観性が低くなりがちです。
それよりも、「これまでに最も責任を感じた仕事についてのエピソードを聞き、その際に負っていた責任が明確に言語化できるか・責任を果たすために具体的な行動をしていたか」といった採用基準の方が、面接官は候補者のどの側面を確認し、どう判断したら良いかのイメージがしやすくなるでしょう。
面接のやり方を工夫する
面接のやり方を工夫することで、採用リスクを減らすことが可能です。
例えば、面接官全員がどういった採用リスクがあるかを認識するために、面接の評価フォーマットに、採用リスクの一覧を記載しておくのは効果的です。
また、採用リスクは候補者の普段の素養を見抜けないことで起きてしまうことが多いため、本音を引き出すために、1つの質問をどんどん深掘りしていくのも良いでしょう。
一問一答形式での質問だと、候補者が事前に用意した回答しか聞けないこともあります。
候補者の回答に対して「それはどうしてそう思ったのか」「もしこうだったとしたら、どんな対応をしていたか」など、話題を深めていくことで、候補者の内面を引き出していくようにしましょう。
候補者を多角的に判断する
候補者をさまざまな角度から判断するのも、採用リスクを減らす有効な手段です。
適性診断やリファレンスチェックなどで、候補者をさまざまな側面から判断することができます。
これらの方法は、候補者の取り繕わない人となりを知る上で有効です。
面接では、良くも悪くも、しっかりと準備された回答から候補者を判断しますが、適性診断であれば、客観的なデータから候補者の人となりを判断することができます。
また、リファレンスチェックは、前職で一緒に働いていた上司からの率直な意見をもらえたりするので、普段の人柄や仕事ぶりといった側面を知ることができます。
リファレンスチェックは第三者から情報を取得する手法であるため、実施にあたっては事前に候補者本人の同意を得ることが前提となります。
候補者の多角的な側面を知っていれば、採用リスクにも気づきやすくなるでしょう。
採用リスクのある人材でないか、調査を行う
採用基準の明確化・面接の工夫などを行っても、見抜けない採用リスクも存在します。
反社会的勢力との関わり、SNSでの不適切な発言、金銭トラブルなどがその例です。
このような採用リスクを検知するためには、採用フローに調査工程を含めると良いでしょう。
具体的には、反社会的勢力との関わりを確認する「反社チェック」が挙げられます。反社チェックは、政府指針(「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」)でも取り組みが求められており、実務上も広く行われています。
また、経歴の虚偽の有無などを確認するコンプライアンスチェックも有効です。ただし、犯罪歴は個人情報保護法上の「要配慮個人情報」にあたり、取得には原則として本人の同意が必要で、職務上の特別な必要性がない限り収集を控えるべき情報です。これらの調査は、目的を明示して本人の同意を得たうえで、職務との関連性がある範囲に限って実施する必要があります。
提出書類や面接での振る舞いだけでは見落としてしまうかもしれない採用リスクをチェックする上で、こうした調査は非常に有効と言えるでしょう。
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💡 弁護士:中澤 泉からのワンポイント解説
採用リスクへの備えは重要ですが、調査・評価できる範囲には法律上の枠があります。確認してよいのは、原則として本人の適性・能力や業務適格性に関わる事項に限られ、思想・信条や私生活、家族の状況などプライバシーに関わる情報を選考材料にすることは、就職差別につながるおそれがあります。また犯罪歴や病歴は要配慮個人情報にあたり、リファレンスチェック等で第三者から情報を得る場合も含め、取得には原則として本人の同意が必要です。リスク管理と公正な選考の両立を意識して運用してください。
人材採用リスクを減らすならback check
採用リスクには、さまざまなものがあることをお伝えしました。
採用リスクの種類によっては、どんなに面接を工夫しても見つけづらいものがあります。
特に、候補者の素行に問題がないかといった点まで、面接だけで判断するのは難しいでしょう。
また、世の中が目まぐるしく変化する中、採用リスクも多様化しています。
採用リスクを減らすために、専門の調査機関を活用することを検討してみましょう。
自社だけでは見つけられない採用リスクの発見の手助けになるだけでなく、昨今どんな人材採用リスクがあるかといった最新情報を知ることもできるでしょう。
コンプライアンスチェック/リファレンスチェックサービスのback check(バックチェック)は、候補者にコンプライアンスリスクがないかを確認できるコンプライアンスチェックと、働きぶりやカルチャーマッチといった面接だけでは見極めにくい情報を取得するリファレンスチェックを同時に実施できます。
採用リスクを減らす方法として、ぜひback checkをご検討ください。

監修者
中澤 泉
弁護士/合同会社ことりうみ代表
2015年に中央大学法科大学院を修了し、2016年に弁護士資格を取得。弁護士事務所で債務整理・交通事故・離婚・相続など幅広い案件を担当後、大手メーカーのインハウスローヤーを経て、現在は弁護士として主に企業法務に携わる。傍らでライターとしても活動し、2025年に合同会社ことりうみを設立。法律記事の執筆・監修を手がけている。専門性と読みやすさを両立したコンテンツ制作が強み。
よくある質問
back check magazine 編集部
リファレンスチェック/コンプライアンスチェックサービス「back check」が手がけるコラム「back check magazine」の編集部です。採用担当のみなさまに向けて、役に立つ情報を発信していきます。


