目次反社チェックとは?反社チェックとは、企業が採用活動や取引先の選定において、対象となる個人や企業が反社会的勢力と関係がないかを確認する調査プロセスです。反社会的勢力とは、暴力団や詐欺集団、社会運動標ぼうゴロ等、社会の秩序や安全に脅威を与える集団や個人を指します。反社チェックの目的は、企業が意図せず反社会的勢力と関わりを持つことを防ぎ、企業の健全性と社会的信用を守ることにあります。特に採用時の反社チェックは組織の安全性を確保し、将来的なリスクを回避するために有効です。関連記事:反社チェックとは?反社チェックの目的と必要性、実施方法を解説反社チェックはなぜ必要?採用時に行うことでリスク回避できる採用時に反社チェックを行うことは、企業にとって非常に重要な意味を持ちます。以下、反社チェックが必要とされる主な理由を詳しく見ていきましょう。政府の方針として企業に求められている日本政府は、反社会的勢力との関係遮断を重要な政策課題として位置づけています。2007年6月に犯罪対策閣僚会議で決定された「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(政府指針)では、企業に対して反社会的勢力との関係遮断を求めています。この政府指針では、反社会的勢力による被害を防止するための基本原則として以下の5つを掲げ、これらに基づく対応を企業に求めています。(1) 組織としての対応(2) 外部専門機関との連携(3) 取引を含めた一切の関係遮断(4) 有事における民事と刑事の法的対応(5) 裏取引や資金提供の禁止特に採用活動においては、「(3) 取引を含めた一切の関係遮断」の原則に基づき、反社会的勢力を企業内に入れないことが重要視されます。そのため、採用時の反社チェックは、この政府指針に沿った取り組みの一環として位置づけられるでしょう。参考:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について|法務省各都道府県の暴力団排除条例政府指針を受けて、全国の都道府県では暴力団排除条例が制定されています。これらの条例は、地域社会から暴力団を排除し、安全で平穏な市民生活を確保することが目的です。東京都の暴力団排除条例が掲げる基本理念は以下の通りです。【基本理念】「暴力団を恐れない」「暴力団に金を出さない」「暴力団を利用しない」 =暴力団と交際しない参考:東京都暴力団排除条例について|警視庁仮に暴力団員を雇い入れてしまった場合、給与として暴力団に金を出す構造になってしまいます。各都道府県の条例に基づき、企業は努力義務として採用時に反社チェックを行う必要があると言えるでしょう。条例に対して反社チェックはあくまで努力義務となっており、明確な罰則規定はありません。しかし、反社チェックを行わなかった結果、反社会的勢力と関わりを持ってしまい、会社が損害を受けた場合、会社法第423条に基づき取締役は善管注意義務に違反したとして賠償損害責任などを求められる可能性もあります。企業の社会的信用を守るため反社会的勢力との関係が明らかになった場合、企業は社会的信用を著しく損なう可能性があります。社会的信用を失うことで考えうるリスクは以下の通りです。• ビジネス機会の喪失取引先や投資家からの信用を失い、重要なビジネス機会を逃す可能性• 法的制裁を受ける反社会的勢力との取引や関係維持が判明した場合、行政処分や取引停止などの法的制裁を受ける可能性• 金銭的損失の危険性反社会的勢力からの不当要求や恐喝により、企業に金銭的損害が生じる可能性• 従業員の安全性の脅威反社会的勢力が組織内に入り込むことで、他の従業員の安全が脅かされる可能性関連記事:反社チェックをしないリスクと反社チェック実施時のリスクとは?これらのリスクを未然に回避するためにも、採用時の反社チェックは非常に重要です。企業の社会的責任の観点からも、反社会的勢力との関係遮断は重要な取り組みの一つとして認識されています。反社チェックは採用のどのタイミングで行う?内定出しまでの間に実施しよう反社チェックのタイミングは、採用プロセスの中で重要な検討事項です。一般的に、内定を出す前に反社チェックを実施することが望ましいとされています。ここでは、具体的なタイミングとその理由、注意点について解説します。面接前反社会勢力との関わりをわずかでも持ちたくないと考えている場合は、面接前に反社チェックを行うことが有効です。面接前の反社チェックには、早期スクリーニングによる候補者の除外、企業と反社会的勢力との接触機会の最小化といったメリットがあります。しかし、応募書類のみでは十分な情報が得られない可能性や、多数の応募者全員に対するチェックのコストなどの課題も存在します。これらを考慮し、面接前の反社チェックは新聞記事やWeb、SNSといった一般に公開されている情報の確認など基本的なレベルにとどめることが一般的です。内定出しの直前内定出しの直前に反社チェックを行うことは多くの企業で採用されている方法です。内定出し直前のタイミングは、対象を最終候補者のみに絞ることができるためコストを抑えられます。また、ある程度選考が進んだ候補者とは一定の関係性が築かれているため、反社チェックを行う際に同意を得やすいといったメリットもあります。【NG】内定後の反社チェックは注意が必要内定通知後、候補者が内定承諾をすると「内定」となりますが、この時点で労働契約が成立します。そのため、内定後に反社チェックを行った際、万が一候補者が反社会的勢力と繋がりがあった場合、内定を取り消す必要がありますが、これは「解雇」に当たるのです。内定前であれば、不採用通知だけで済みますが、適切な理由なく一方的に内定を取り消すことは基本的に違法とされるため、事前に対策をしておかないと法的なトラブルになる可能性もあります。やむを得ず内定後に反社チェックを行う場合は、内定時には反社チェックがあることと、結果次第で内定取り消しの可能性があることを明確に伝えておくことをおすすめします。また、誓約書や就業規定で厳密に定めておくことで、内定取り消しをしなければいけない場合もスムーズに対応可能となります。採用時に反社チェックをする方法反社チェックを実施する方法は、企業の規模や社内リソースによって異なります。ここでは、主な反社チェックの方法について詳しく解説します。自社で行う反社チェックは自社で行うことも可能です。反社チェックのコストを最小限に抑えられるというメリットがある一方で、時間や手間がかかってしまう、そして調査や見極めの専門知識がないため不安が残ってしまうといったデメリットもあります。自社で反社チェックをする場合は、第一に公開されている情報を調査しましょう。インターネットやSNSで候補者の名前や所属組織名でウェブ検索を行い、関連する情報を収集します。「候補者名 逮捕」「候補者名 暴力団」「候補者名 違反」などのネガティブワードと一緒に検索することで収集しやすくなるでしょう。また、履歴書や面接での反社チェックも有効です。履歴書の職歴や学歴などの経歴を詳しく読み込み、不自然な点がないか確認します。気になる点があれば面接で深掘り質問をして、整合性が取れているかをチェックしましょう。自社で反社チェックを行う際は、いくつかの注意点があります。調査の範囲と方法について社内で明確なガイドラインを設け、プライバシー侵害にならないよう過度な調査は避けるようにしましょう。また、個人情報の取扱には細心の注意を払うことも重要です。外部サービスを活用する反社チェックを専門に行う外部サービスを利用する方法もあります。外部サービスを使うことで、より高精度で効率の良い反社チェックを行うことができます。自社での反社チェックに不安がある、忙しくて対応できない場合は、外部サービスの導入がおすすめです。反社チェックに活用できるツール・サービスは様々あります。シンプルなものから広く深く調査を行うものまで幅広いサービスがあるため、自社のコンプライアンス基準に適合したサービスを選ぶことが重要です。まず、「調査範囲だけまとめておいてくれたら自社で検索して反社チェックしたい」という場合にはデータベースを提供してくれるタイプのオンラインツールを利用すると良いでしょう。検索作業や判定、レポートへのまとめ作業等は自社で行わなければならないものの、検索対象となるデータが一箇所に集まっているため時間短縮になります。続いて「調査方法も判断基準も分からないので任せたい、調査結果も全部まとめて欲しい」という場合には調査を丸ごと委任するタイプのオンラインツールがおすすめです。レポート作成まで行ってくれるものもあり、スクリーニング作業不要で必要な情報だけを確認することが可能になるため、自社の従業員がかける手間や時間を最小限にできます。また、「特定の候補者をより入念に調査したい」という場合は調査会社や興信所に依頼しましょう。聞き込みなどの現地調査を含め、より踏み込んだ調査が可能な場合があります。調査のレベルや期間、依頼先によって高価になってしまう可能性もあるため、複数社で比較検討を行いましょう。【お役立ち資料】サンプルレポート付き!コンプライアンスチェックでわかる採用リスク行政機関を活用する候補者が反社会勢力との関わりがあると感じられたら、警察や暴追センター(全国暴力追放運動推進センター)などの行政機関を活用することをおすすめします。反社会勢力と関わりのある候補者とやり取りをするには戸惑うことも多いため、専門の機関を頼るようにしましょう。行政機関へ相談して情報提供を受けたい場合は、候補者と反社会勢力との関わりがあると判断できる資料を提出する必要があります。確認を求める契約相手の氏名、生年月日、住所が分かる資料や、お持ちの場合は暴力団排除の特約を定めた契約関係資料、契約相手が暴力団関係者の疑いがあると判断した資料(理由)などを揃えておきましょう。資料の準備や手続きには時間と手間がかかりますが、候補者に少しでも危険性を感じた場合は早期に相談するようにしましょう。参考:東京都暴力団排除条例 Q&A反社チェック以外にやるべきこと反社チェックは重要ですが、それだけでは十分ではありません。企業として反社会的勢力との関係を完全に遮断するためには、以下のような追加的な対策を講じることが重要です。誓約書の作成誓約書は候補者自身に反社会的勢力との関係がないことを宣言してもらう重要な文書です。誓約書に反社会勢力との繋がりが無いことを確認する項目を盛り込むことで、万が一のリスクを最小限に留めることができます。反社チェックを目的とした誓約書作成のポイントは以下の通りです。反社会的勢力との関係がないことの明確な宣言反社会的勢力の定義(暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等)虚偽の申告があった場合の措置(内定取り消しや解雇等)将来的にも反社会的勢力との関係を持たないことの誓約誓約書の内容はできるだけ弁護士等の専門家に確認を取り、法的に有効なものを作成することをおすすめします。候補者から誓約書を回収しておくことで、反社チェックで見抜けなかったり、候補者が内定承諾後や入社後に反社会的勢力と関わりを持ってしまったりした場合も、誓約違反を理由に内定取り消しや懲戒解雇を行うことが可能となります。就業規則への条項追記就業規則に反社会的勢力排除に関する条項を追記することは、企業の姿勢を明確にし、従業員全体に対して意識付けを行う上で非常に重要です。また、労働者は労働契約法により保護されているため、通常企業側は簡単に従業員を解雇することができません。そのため、なにも対策をしていない場合、万が一入社後に反社会的勢力と関わりを持っていることが判明したとしてもすぐに解雇することが難しいのが現状です。就業規則に反社会的勢力排除に関する条項を設けておくことにより、反社会的勢力と関わりを持つ従業員がいることが発覚した場合には服務規律違反として懲戒処分の対象とすることが可能になります。就業規則に追記すべき主な条項は以下の通りです。反社会的勢力との関係禁止反社会的勢力排除の方針違反時の処分(解雇等に関する条項)反社会勢力と関わった場合の報告義務就業規則に条項を追記した後は、全従業員に対して周知を図り、理解を促す必要があります。また、就業規則の内容は定期的な見直し、必要に応じて更新することが重要です。反社チェック後に反社であることがわかったら?採用プロセスや入社後に候補者や従業員が反社会的勢力との関係があることが判明した場合、企業は迅速かつ適切に対応する必要があります。以下、そのような状況での対応方法について説明します。顧問弁護士や専門機関に相談する反社会的勢力との関係が疑われる場合は、まず専門家に相談することが重要です。自社だけで反社会勢力に関するトラブルを回避することは難しいため、なるべく早めに顧問弁護士や警察などに相談しましょう。弁護士や専門機関に相談する際は、候補者や従業員が反社会的勢力との関係が疑われる根拠や経緯を明確に整理しておく必要があります。情報を整理して相談することで、早期に問題を解決することに繋がります。解雇手続きを行う反社会的勢力との関係が確認され、解雇が必要と判断された場合は解雇手続きを行います。弁護士などの専門家からアドバイスを貰い、適切な形で解雇手続きを進めましょう。解雇手続きを進めるにあたり、重要な役割を果たすのが前項でも説明した「誓約書」や「就業規則」です。誓約書や就業規則に反社会勢力との関わりを持った場合の解雇処分について記載があれば、円滑に解雇処分を進めることができます。もし誓約書の取り交わしが無い場合や就業規則に記載がない場合は、たとえ反社会勢力と関わりを持った候補者や従業員であっても、解雇は難しくなってしまいます。就業規則にまだ反社会勢力排除に関する条項が無い場合は、速やかに追記することをおすすめします。採用候補者のバックグラウンドチェックならback check採用時の反社チェックは企業にとって非常に重要ですが、同時に専門的な知識と慎重な対応が求められる作業でもあります。1から自社で調査をするとなると、手間がかかる上、「この方法で正しく反社会的勢力との関わりの有無を見抜けているんだろうか」と不安感も残るでしょう。そのため、自社調査より効率よく、そして調査会社に委任するよりは比較的安価に反社チェックが出来るオンラインツールの利用をおすすめします。ツールによって、価格や調査出来る範囲、自社で行わないといけない作業範囲などが異なります。複数の反社チェックツールやコンプライアンスチェックツールを比較してみましょう。関連記事:コンプライアンスチェックとは?コンプライアンスチェックの必要性を解説株式会社ROXXの提供するオンライン完結型のコンプライアンスチェックサービス「back check(バックチェック)」であれば、採用候補者の情報を登録するだけで、簡単に反社チェックやコンプライアンスチェックを実施することが可能です。お渡しする結果のレポートでは、反社チェックに加え公的公開情報・Web情報・個別調査によって経歴詐称やSNS等での問題発言等についても調査が可能となっており、候補者の申告内容に虚偽がないか、コンプライアンスリスクがないかを一括で確認可能です。手間のかかる反社チェックやコンプライアンスチェックを安価でスピーディーに実施することが出来るback checkをぜひご検討ください。