オンボーディング研修とは?従来型研修との違い、メリット、導入手順5つを徹底解説

更新日:2026/1/6

執筆者:back check magazine 編集部

人材育成・定着

転職者数の増加や深刻な人手不足を背景に、多くの企業が新入社員や中途採用者の早期離職という課題に直面しています。総務省統計局(※1)によると2024年の転職者数は331万人とコロナ禍以降3年連続で増加を記録しており、帝国データバンクの2024年1月時点の調査(※2)では、正社員の人手不足を感じる企業が52.6%に上っています。

このような状況の中で、従来の短期間の新人研修だけでは新入社員の定着率を高めることが難しくなってきました。そこで注目されているのが「オンボーディング研修」です。オンボーディング研修は、入社前から配属後まで長期的かつ組織全体で新入社員をサポートする継続的な施策として、早期戦力化と離職防止に効果を発揮します。

本記事では、オンボーディング研修の基本的な概念から、従来型研修との違い、導入するメリット、具体的な研修内容と実施手順、さらには成功事例まで詳しく解説します。新入社員の定着率向上と早期戦力化を目指す人事担当者の方にとって、実践的な情報をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

※1 参考 :労働力調査(詳細集計)2024 年(令和6年)平均結果の要約 | 総務省統計局,https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/pdf/youyaku.pdf(取得日 2026年1月6日)
※2 参考 :人手不足に対する企業の動向調査(2024年1月) | 帝国データバンク,https://www.tdb.co.jp/report/economic/xjuo74il-3vf/(取得日 2026年1月6日)

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目次

オンボーディング研修とは?基本を理解する

オンボーディング研修は新入社員の定着と早期戦力化を目指す施策として注目されています。まずは基本的な定義と、なぜ今多くの企業が導入を進めているのか、その背景を確認していきましょう。

オンボーディング研修の定義と語源

オンボーディング研修とは、新しく入社した社員が職場環境や仕事に早く慣れ、能力を発揮して定着できるよう支援する継続的なプログラムのことです。

言葉の由来は「乗船・搭乗」を意味する "on board" で、飛行機や船に新人が乗り込むイメージから来ています。企業という"乗り物"に新メンバーをスムーズに乗せ、一員として航海を始められるようサポートする施策といえます。

一般的な新人研修より長期にわたり、組織全体で新人を戦力化・定着させることを目的とする点がオンボーディング研修の特徴です。その期間は入社初日から配属後、数ヶ月から1年以上にわたることもあり、業務知識の習得に留まらず、企業文化や価値観の共有、人間関係の構築支援まで包括的にサポートします。

オンボーディング研修が注目される背景

近年、転職者数の増加や人手不足の深刻化により、採用後の新人定着が企業の大きな課題になっています。総務省の統計(※1)によると、2024年の転職者数は約331万人(前年比0.9%増)と3年連続で増加しており、正社員が「不足」と感じている企業は52.6%にも上ります。

この転職が当たり前となった時代では、従来型の新人研修だけでは定着率向上が難しくなっているのが現状です。仕事の知識を教えるのみの研修だけでなく、組織文化や人間関係への適応を含めた総合支援策が求められるようになりました。

そこで登場したのがオンボーディング研修です。人事部や経営陣は「時間と費用をかけて採用しても、戦力化する前に辞めてしまう」現状を打破する手立てとしてオンボーディングに注目し、入社前から配属後まで長期にわたり新人を支援するこの仕組みを導入する企業が増えています。

関連記事:オンボーディングとは?実施するメリットや導入時のポイントを解説

オンボーディング研修と従来型研修の違いは?

オンボーディング研修と従来型の研修手法にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは新人研修やOJT・Off-JTとの比較を通じて、オンボーディング研修の特徴を明確にします。

新人研修との違い

一般的な新人研修(新入社員研修)は入社直後の短期間(数日~数週間)で行われる集中研修です。

内容は会社のルールやマナー、基本的な業務手順など基礎知識の習得が中心で、同期の新入社員が集合形式で受講します。新人研修は新入社員に自信を持って業務に取り組ませるための土台作りとなります。

これに対しオンボーディング研修は、入社初日から配属後、数ヶ月~1年以上にわたって継続する広範な育成支援プロセスです。新人研修で基礎を教えた後、オンボーディングでは企業文化や価値観の共有、人間関係の構築支援、実務スキルの実践まで包括的にサポートします。

■新人研修とオンボーディング研修の違い

比較項目

新人研修

オンボーディング研修

実施期間

数日~数週間

数ヶ月~1年以上

主な目的

業務の基礎知識習得

組織への適応と長期活躍

対象範囲

基本ルール・マナー・業務手順

企業文化・価値観・人間関係・実務スキル全般

担当者

主に人事部門

人事・上司・メンター・部署全体

つまり新人研修が「業務の基礎習得」に重点を置くのに対し、オンボーディング研修は「組織への適応と長期活躍」まで視野に入れた長期的支援なのです。

両者は目的・範囲が異なりますが、お互いを補完し合う関係にあります。新人研修で土台を築き、その後のオンボーディングで組織への馴染みとさらなる成長を促すことで、早期戦力化と定着につなげることができます。

OJT・Off-JTとの違い

OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)やOff-JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)も新人育成の手法ですが、オンボーディングとは目的と範囲が異なります。

■OJT・Off-JTとオンボーディング研修の違い

比較項目

OJT

Off-JT

オンボーディング研修

教える内容

実務に必要な業務スキル

体系的な知識・ビジネススキル

業務スキル・企業文化・人間関係構築等を包括

実施期間

配属後の一定期間

定期的な実施

数ヶ月~1年以上

指導方法

先輩や上司による実務指導

講師による座学・演習

個別フォロー・研修・メンター制度等の組み合わせ

主な目的

実務スキルの早期習得

基礎知識の体系的習得

組織適応と長期定着・戦力化

OJTは「実際の職場で先輩や上司がマンツーマンで業務を教える訓練方法」です。一方でOff-JTは「職場を離れて行う研修・セミナー」で、汎用的なビジネススキルや専門知識などを体系的に学びます。

こうしてみると、オンボーディングはOJTやOff-JTを包含した上で、業務スキル以外に企業文化への適応や社内人脈づくり、メンタル面のフォローまで支援する点が異なります。期間もOJTが各部署配属後の一定期間なのに対し、オンボーディングは新人が組織に十分馴染むまで数ヶ月~1年続けることが多いです。

オンボーディング研修を導入する5つのメリット

オンボーディング研修を導入すると、企業・従業員双方に多くのメリットがもたらされます。ここでは主な5つの効果について詳しく解説します。

早期戦力化と生産性向上

オンボーディング研修により新人がパフォーマンスを発揮するまでの時間が短縮され、企業の生産性向上につながります。

効果的なオンボーディングを実施すれば、新入社員は通常より早い段階で業務に習熟し、戦力として貢献できるようになるでしょう。その結果、指導役の先輩社員も業務に集中でき、組織全体で生産性を高められます。

新人が早くチームに馴染み、情報を把握できるようになることは、持っているスキルを十分に発揮できる環境が整うことに繋がるのです。

早期離職の防止

オンボーディング研修は新人の早期離職防止に大きな効果があります。

その大きな理由は、新人が「自分は組織の一員だ」という帰属意識を持てるようになるためです。特に中途入社者は新卒より「よそ者」意識を感じやすく、既存社員側にも試されるような感覚があり、相互に壁ができることもあります。

オンボーディングでは配属後も計画的に面談や交流の場を設け、新人を組織になじませることで孤立感を払拭します。新人自身が「自分はこの会社の一員だ」という自覚と愛着を持てれば仕事に対するモチベーションが上がり、後述するエンゲージメントの向上にも寄与するのです。

従業員エンゲージメントの向上

オンボーディング研修を通じた継続的な支援は従業員エンゲージメントの向上にもつながります。新人が会社のビジョンや自分の役割への理解を深め、組織内での人間関係も良好になることで、「この会社で頑張りたい」という思いが強まります。

新人のエンゲージメントを高める第一歩は、入社直後から会社の理念やビジョンを丁寧に共有することです。そうすることで、新人は自分の仕事が会社全体の目標にどう貢献しているかを理解できるようになります。

また定期的な1on1面談やメンターとの対話を通じて、自分の成長を実感し「会社が自分を大切にしてくれている」という信頼感が醸成されます。

オンボーディング研修は上記のような施策を含むため、新人の会社への信頼感・貢献意欲を高め、結果的に組織力向上に寄与することになります。

採用コストの削減

オンボーディング研修の実施は採用コストの削減にも効果的です。

1人の中途採用に要する費用は、募集職種や採用手法によって大きく変わりますが平均で数十万円~数百万円がかかります。さらに新人研修やOJTに割く人件費も含めると、企業が新人1人にかけるコストはさらに大きくなると考えられます。

こうしたコストも、新人が早期離職してしまえばすべて無駄になってしまいます。オンボーディング研修によって離職率を下げることで、新たな採用・育成にかかる費用を大幅にカットできるのです。

つまり、オンボーディング研修の実施は離職による損失コストを防ぐ「先行投資」といえます。

人材育成制度の改善

オンボーディング研修の導入は、自社の人材育成制度そのもののアップデートにもつながるものと言えます。

従来の新人研修にオンボーディングの視点を取り入れることで、社内の育成施策全体を見直し、より効果的な仕組みに変えていくことでしょう。

例えばオンボーディングでは、研修だけでなく1on1面談やメンター制度、キャリア相談窓口など幅広い施策を組み合わせるのが一般的です。新人研修という従来の枠組みにとらわれず、こうした新手法を取り入れることで、自社の人材育成施策全体をより良い形に刷新できる可能性があるでしょう。

このようにオンボーディング導入をきっかけに育成フローを標準化・体系化することは、部署ごとの教育格差を防ぎ、組織全体の育成力向上につなげることにもなるのです。

オンボーディング研修の具体的な内容6選

実際にオンボーディング研修ではどのようなプログラムが行われるのでしょうか。入社時期からの流れに沿って、新入社員への主な研修・フォロー内容の例を紹介します。

入社初日〜1週間|企業理解・社内ルールの研修

入社直後の最初の1週間は、新入社員が会社への第一印象を形成し、不安と期待が入り混じる期間です。ここで企業側が安心感を与え、スムーズに職場に溶け込めるよう支援することが鍵となります。

■入社初日~1週間の主な研修内容

  • オリエンテーション(会社理念・ビジョン・沿革の説明)

  • 社内規則・就業ルールの研修

  • 各部署の紹介と社内ツアー

  • 配属予定部署の上司・メンバーとの顔合わせ

  • 先輩社員との座談会やメンター紹介

  • 社内ITツール・システムの使い方研修

  • 歓迎ランチや懇親会

具体的なスケジュールとしては、3日間のプログラムを計画し、初日にオリエンテーションと先輩社員との懇談会、2日目に社内システム研修と事業説明、3日目に簡単な業務演習とフィードバック、という流れで実施しています。

ポイントは情報を詰め込みすぎず段階的に提供し、新入社員が安心して会社生活をスタートできる環境を整えることです。

入社1週間〜1ヶ月|職種別の業務スキル研修

入社後1週間目以降~1ヶ月目までは、いよいよ配属部署での実務トレーニングが本格化する時期です。新人は基礎研修で学んだ知識をもとに、職種・配属先ごとの具体的な業務スキルを身につけていきます。

多くの企業ではこの期間、OJT形式の研修を取り入れます。新人1人ひとりにトレーナーとなる先輩社員が付き、実際の業務プロセスを教えながら仕事の進め方を指導します。

■入社1週間~1ヶ月の主な研修内容

  • OJT形式での実務トレーニング

  • 職種別の専門スキル研修

  • 資格取得講座(職種に応じて)

  • 実務を通じた先輩からのフィードバック

  • 新人同士での定期的な情報共有会

重要なのは、新人が実務経験を積みつつ基礎スキルを確実に習得できるよう、計画的なトレーニングを提供することです。単に仕事のやり方を教えるのではなく、仕事の意図や背景、会社の考えなども併せて理解させるようにしましょう。

入社1ヶ月目|実践を想定したロールプレイング研修

入社から1ヶ月が経過する頃に、一度区切りとしてロールプレイングを行う企業もあります。ロールプレイング研修の目的は、新人に実際の業務に近いシナリオで対応スキルを試させ、フィードバックを通じて学びを定着させることです。

■ロールプレイング研修の主な効果

  • 座学やマニュアルで学んだことと現実のギャップを埋める

  • 実践的な対応スキルを身につける

  • 簡単な課題を与えて成功体験を積み重ねる

  • 失敗を恐れず挑戦できる安全な環境を提供する

入社1ヶ月前後は配属後の実務に本格的に入るタイミングですので、ロールプレイング研修によって新人の理解度をチェックし、自信をつけさせてから次の段階に進むと効果的です。

また、ロールプレイングの後には必ずフィードバックを行います。良い点、改善点をバランスよく伝えることで、自信を付けつつも更なる成長を促すことができます。

入社1〜3ヶ月|メンター・OJTトレーナーによる実務指導研修

入社後1~3ヶ月間は新人が業務に慣れながらも戸惑いや壁にぶつかりやすい時期です。この期間は単に仕事を任せるだけでなく、メンター制度やOJTトレーナーによるフォローを行うことが成功のポイントになります。

■入社1~3ヶ月の主なフォロー内容

フォロー施策

内容

頻度

OJT研修の継続

部署内ジョブローテーションを含む実務研修

日常的

1on1振り返り

メンターや上司との面談で業務状況を確認

入社直後は毎週、その後は隔週

チームビルディング

同期交流会、ランチミーティング等

月1~2回

エンゲージメント調査

匿名アンケートで適応状況を可視化

月1回

新入社員一人ひとりに年次の近い他部署の先輩社員が「メンター」として付き、メンタル面の相談役を務めることも有効です。

このように1~3ヶ月の間は人事・上司・メンターが三位一体となってフォローすることで、新人は早期に社内ネットワークを構築でき、不安を抱え込みにくくなります。

入社3ヶ月目|中間評価とフォローアップ研修

入社後3ヶ月は新人育成の一つの区切りポイントです。現場配属から数ヶ月が経ち、新入社員も基本的な業務には慣れてきますが、同時に緊張感が薄れ「慣れによる中だるみ」やモチベーション低下が起こりやすい時期でもあります。

3ヶ月目のオンボーディングとしては、中間フォローアップ研修や評価面談を実施する場合が多いです。フォローアップ研修では、新入社員を再び集めてこれまでの業務を振り返り、成功体験や苦労した点を共有させます。

■3ヶ月目フォローアップ研修のステップ例

  1. これまでの業務経験を振り返る

  2. 現在の課題を整理する

  3. 半年後・1年後の目標を設定する

  4. 上司やメンターとディスカッションして具体的なアクションプランを策定

このように3ヶ月目のフォロー研修では、新人に自分の成長を実感させ、次の目標を与えることがポイントです。「自分は成長している」という実感と「会社が自分の成長を支援してくれている」という安心感を持たせることで、その後の定着率・貢献度が大きく向上します。

また同時に、3ヶ月時点での新人の強みや課題を上司がフィードバックし、今後の期待役割を伝えることも効果的です。

全期間を通じて|定期的な振り返りとフィードバック研修

オンボーディング研修の効果を最大化するには、全期間を通じた定期的な振り返りとフィードバックが欠かせません。

新人研修~配属後フォローまでの間、節目ごとに進捗確認と双方向のコミュニケーション機会を設けることで、問題の早期発見・解決と研修内容の改善が図れます。

■定期的な振り返りとフィードバックの施策例

  • 週次・月次の1on1ミーティング

  • 月1回の匿名アンケート調査

  • 先輩社員やトレーナーからのフィードバック収集

  • 次の新人受け入れに活かす改善提案の収集

入社直後1ヶ月間は毎週、以降3ヶ月目までは隔週で新人とメンター/上司が1on1ミーティングを行い、業務の振り返りと課題ヒアリングを実施します。新人が抱える疑問や不安を定期的に引き出しフィードバックすることで、本人の成長実感を高めるとともに早期離職にも貢献します。

【5ステップ】オンボーディング研修の導入手順

オンボーディング研修を効果的に導入するには、計画から実施・改善まで組織的な手順を踏むことが重要です。一般的な導入プロセスを5つのステップに分けて説明します。

ステップ①目標を設定する

まずはオンボーディング研修のゴールを明確化します。新人に入社後どのような状態になってほしいか、具体的な目標像を定義しましょう。

■目標設定時の検討項目

  • 育成期間の設定

  • 期間ごとの到達目標(1ヶ月後、3ヶ月後、半年後など)

  • 習得すべきスキルや知識の洗い出し

  • 評価基準の明確化

例えば「3ヶ月後に一人で基本業務を遂行し、チームの一員として主体的に動けるようにする」など、期間と到達点を設定します。

目標は漠然と「早く戦力化する」ではなく、「1ヶ月後には○○ができるように」「3ヶ月後には△△の知識を習得している」といった具合に具体的かつ測定可能な形に落とし込むことが大切です。

また目標設定の際は、いきなり高いハードルを課しすぎず段階的に目標を積み上げる発想も重要です。最初の1週間・1ヶ月・3ヶ月…と小さな目標を設定し、達成度を確認しながら次の目標に進む形にすると新人のモチベーション維持にも効果的です。

ステップ②オンボーディングプランを作成する

目標が定まったら、具体的なオンボーディング研修プランを策定します。計画作成時に検討すべき主な項目は以下の通りです。

■オンボーディングプラン作成時の検討項目

項目

内容

研修内容のリストアップ

入社前・入社直後・配属後など時期ごとに「何を教えるか」を洗い出す

スケジュール設計

「いつ・どのくらいの期間で実施するか」時系列で配置

担当者の割り当て

人事・部署責任者・OJTトレーナー・メンター等の役割を決定

必要ツール・教材の準備

マニュアル、eラーニング、チェックリスト等を用意

評価方法の設定

到達度テスト、面談評価、アンケート等の指標を決定

リストアップが完了したら、ステップ①で設定した育成目標をベースにスケジュールを立てていきます。「入社初日は会社概要とルール説明」「1週目は業務手順研修」「1ヶ月までに現場OJTで○○習得」といった形で、可能であれば数ヶ月分のロードマップを作成できると良いでしょう。

プラン作成後は、目標達成に必要な内容が漏れなく盛り込まれているか、現実的な内容になっているかを改めてチェックしましょう。

ステップ③社内メンバーに施策を共有する

研修計画が固まったら、現場の上司やメンター、関係部署のメンバーに事前共有し、協力を仰ぎます。オンボーディング研修は人事部だけで完結できるものではなく、受け入れ先の各部署やサポートメンバーの協力が不可欠です。

計画段階で、誰が新人指導に関わるのか洗い出してありますので、該当する社員全員に研修プランの目的・内容・各自の役割を周知しましょう。

■事前共有と準備のチェックリスト

  • 関係者全員への研修プランの目的・内容説明

  • 各担当者の役割分担の明確化

  • 全社員への周知と理解促進

  • 経営トップからのメッセージ発信

社内メンバーには「なぜこの施策を行うのか」「新人にどんな状態になってほしいのか」を共有すれば、受け入れ側も当事者意識を持って協力してくれるようになります。

新人と直接関わらない社員にも、オンボーディング施策の趣旨を社内掲示板や朝会などで伝え、組織全体で新人育成を支える雰囲気を作りましょう。経営トップから「新人育成は会社の重要施策であり、皆で協力しよう」と発信してもらうのも効果的です。

ステップ④研修を実施する

準備が整ったら、計画に従ってオンボーディング研修を実行に移します。研修実施段階では、計画通り進んでいるか定期的に確認し、必要に応じて軌道修正する柔軟性が求められます。

■研修実施中のチェックポイント

  • 計画通り進んでいるか定期的に確認

  • 新人の理解度に応じた研修内容の調整

  • 週1回の1on1ミーティング等で定期的なコミュニケーション

  • 新人が質問・相談しやすい雰囲気づくり

  • メンター経由で新人の悩みを吸い上げ

新人から想定外の質問が出たり、進捗が遅れたりした場合には、現場の状況を踏まえてスケジュールや内容を調整しましょう。例えば、予定していた研修が新人の理解度不足で消化不良になっているようなら補講を追加したり、逆に順調に進んでいるなら次の課題を前倒しで与えたりします。

また、新人が質問・相談しやすい雰囲気づくりも欠かせません。柔軟かつ密なフォローをしながらオンボーディング研修を進めることで、新人は計画通り着実に戦力化への階段を登っていけます。

ステップ⑤見直しと改善を行う

オンボーディング研修の一連のプログラムが完了したら、最後に振り返りを行い、次回に向けた改善点を洗い出します。

新人本人や指導に当たった関係者からフィードバックを収集し、研修内容・進め方・サポート体制について評価してもらいましょう。

■振り返りと改善のプロセス

ステップ

内容

①フィードバック収集

新人と受け入れ部署担当者から意見を集める

②改善点の特定

「研修で役立った点」「もっとこうしてほしかった点」を分析

③具体策への落とし込み

特定した課題を次回の計画に反映できる形に整理

④次回計画への反映

アップデートした内容で次の新人受け入れを実施

「研修で役立った点」「もっとこうしてほしかった点」など率直な意見を集め、それをもとにプログラムの改善点を特定します。

受け入れ部署の担当者からも「現場の仕事に直結していたか」「教える側として負担は適正だったか」などの声を集め、次回のオンボーディング計画をアップデートします。

オンボーディング研修を成功させる4つのポイント

オンボーディング研修を効果的に機能させるには、いくつかのポイントに留意する必要があります。ここでは特に重要な4つのポイントを紹介します。

社員の理解と協力を得る

オンボーディング研修は新人本人だけでなく受け入れる側の協力があって初めて成功します。人事部主導とはいえ、配属先の上司・先輩社員をはじめ組織全体で新人を育てる意識を持ってもらうことが重要です。

■社内への周知方法

  • 関係部署への研修計画の詳細説明

  • 全社員向けの朝礼や社内報での呼びかけ

  • 経営トップからの「新人育成は会社の重要施策」というメッセージ発信

  • 新人歓迎イベント(ランチ会等)の開催案内

人事担当者は「新人にはA課長がメンターとして付きます」「B先輩がOJTトレーナーです」「○月○日に新人歓迎ランチを開催します」といった情報を関連部署に周知しましょう。

また全社員に対しても、朝会や社内報などで「今年は新人定着のためオンボーディングを強化します。皆さんのサポートをお願いします」と呼びかけ、理解と協力を促します。このように既存社員の意識改革と巻き込みがオンボーディング成功の土台となります。

自社の組織課題を明確にする

オンボーディング研修を設計する際は、自社の組織課題や新人がつまずきやすいポイントを洗い出し、それを解決する施策にすることが大切です。会社によって、新人の離職理由や育成上の課題はさまざまです。

例えば以下のような課題がある場合、それぞれに対応した施策を組み込みます。

■組織課題と対応施策の例

組織課題

対応施策

OJT任せで部署間で教え方に差がある

研修カリキュラムを標準化して教育格差を是正

新人が他部署と交流する機会がなく孤立しがち

全社横断の新人交流イベントやメンターチーム制を導入

新人の成長スピードが遅い

定期的な振り返りとフィードバックで進歩を後押しする

DX推進が課題

新人研修にITツール習熟を組み込む

また経営課題と新人育成を結びつける視点も重要です。自社の戦略・課題を意識してオンボーディングを設計することで、より実効性の高いプログラムになります。

人間関係の構築を重視する

新人が早期に組織に馴染み戦力化するには、職場での良好な人間関係構築が欠かせません。どんなに研修内容が充実していても、職場で孤立していては力を発揮できず定着もしにくいからです。オンボーディング研修では、人と人とのつながりを作る施策を意識的に盛り込みましょう。

人間関係構築のための具体的な施策は以下の通りです。

■人間関係構築のための施策例

  • メンター制度の導入

  • 同期入社同士のランチ会

  • 他部署合同の懇親会

  • オンライン上の新人コミュニティ

  • 部署や年代を超えた交流機会の提供

メンターは業務以外の悩みも聞いてフォローする役割で、OJT担当とは別の立場で精神的サポートを提供します。

また部署や年代を超えた交流機会を設けることも効果的です。同期入社同士のランチ会や他部署合同の懇親会、オンライン上の新人コミュニティなど、新人が気軽に質問・相談できる相手を増やす工夫をします。

このような施策に取り組むことで新人の心理的安全性を高め、会社への信頼感・愛着心を育むことを目指しましょう。

ITツールを活用する

オンボーディング研修には適切なITツールの活用も有効です。特にリモートワーク下での新人受け入れや、大量の研修コンテンツを効率よく管理するために、デジタルツールを賢く使いましょう。

オンボーディングで活用できる主なITツールは以下の通りです。

■オンボーディングで活用できるITツール

ツールの種類

具体例

用途

オンライン会議システム

・Zoom
・Microsoft Teams

研修・面談の遠隔実施

チャットツール

・Slack
・chatwork
・Teams

日常的なコミュニケーション・質問対応

オンボーディングポータル

・社内専用サイト

研修資料・FAQ・人事情報の一元管理

eラーニングシステム

各種サービス

研修教材のオンライン提供

進捗管理ツール

・スプレッドシート
・専用ツール

新人の習熟度や進捗の可視化

社内SNS

各種SNS

新人の相談チャネル・交流促進

特にリモート環境下では、ITツール上で新人とのコミュニケーションやナレッジ共有を円滑に行う工夫が必要です。

このようにITの力を借りて地理的・時間的制約を乗り越え、情報共有とコミュニケーションの質を高めることが現代のオンボーディング研修には求められます。

オンボーディング研修の成功事例4選

最後に、オンボーディング研修を活用して新人定着・戦力化に成功している企業の事例を4社ご紹介します。各社ならではの工夫に注目してみましょう。

事例①株式会社メルカリ

急成長を続けるメルカリでは、IT技術を駆使したオンボーディングを実施しています。

特徴的なのは、オンボーディング用の情報ポータルサイトを社内に用意し、新入社員が必要な情報にいつでもアクセスできるようにしている点です。

■株式会社メルカリのオンボーディング施策(※3,4)

項目

内容

狙い

・ITツールを活用した効率的なオンボーディング
・新人の自律的な情報取得の支援

特徴的な取り組み

・オンボーディング専用ポータルサイトの構築
・技術領域ごとのKPI設定と定期サーベイによる進捗可視化
・リモートオンボーディング体制の整備(週1回の1on1面談、オンラインランチ等)

成果

新人が必要な情報にアクセスしやすく、習熟度に応じたきめ細かな支援が可能になった

社内規程や業務マニュアル、部署紹介資料などをポータルに集約することで、新人が困ったときに大抵の疑問が解決できる環境を整えています。また、オンボーディングの進捗をデータで可視化しているのも特徴です。

また、リモートでもメンターとのランチを実施するなど、出社できない環境にいる新人も心理的安全性が保たれるよう工夫しています。

※3 参考:メルカリの入社オンボーディング:メンバーのニーズを受け、オフィス開催回帰へ|mercan (メルカン)(取得日 2026年1月6日)

事例②サイボウズ株式会社

グループウェア開発で成長中のサイボウズでは、社員数の急増に伴い新人の能力・経験にバラつきが見られるようになったため、体系的なオンボーディングに取り組みました。

IT未経験の新人でも業務内容や組織のルール・文化をしっかり学べるよう、人事主導で研修プログラムを整備しています。

■サイボウズ株式会社のオンボーディング施策(※4)

項目

内容

狙い

・社員数増加による新人の多様化への対応
・一人ひとりに合わせた継続的な学習環境の提供

特徴的な取り組み

・全社員向け学習プログラム「サイボウズアカデミア」の運用
・技術研修、ビジネススキル講座、社内勉強会など多様な学びの機会
・「100人いれば100通りの学び」を実現する個別最適化

成果

新入社員だけでなく既存従業員も対象とした学びの機会を設けることで、部署を超えたつながりが生まれた

オンボーディング研修の大きな目的は「100人の社員がいれば100通りの学び」で、一人ひとりに合った成長支援を行っています。入社時に基礎研修を行った後も継続して学べる社内学習プログラム「サイボウズアカデミア」を導入した点が特徴です。

技術研修からビジネススキル講座、社内他部署の勉強会まで多種多様な学びの機会を提供しています。新人だけでなく既存社員にも学びの場を開放したことが、離職率の低下や社内のエンゲージメント向上にも好影響を与えました。

※4 参考:サイボウズやメルカリなど気になる「オンボーディング」の企業事例、施策を一挙紹介|HRpro(取得日 2026年1月6日)

事例③GMOペパボ株式会社

レンタルサーバーやEC支援事業で知られるGMOペパボでは、以前は部署ごとにバラバラに新人オンボーディングを実施していました。

新入社員の帰属意識が育ちにくいという課題があったことから、同社はオンボーディングを全社共通の施策に切り替え、会社全体で新人を育てる文化づくりに注力しています。

■GMOペパボ株式会社のオンボーディング施策(※5,6)

項目

内容

狙い

・全社で新人を育てる文化の醸成
・新入社員の帰属意識と主体性の向上

特徴的な取り組み

・「やっていきシート」による目標や意気込みの表明
・新人と教育担当が自由に会話できる全社チャットルームの開設
・部署の垣根を取り払ったオープンなサポート体制

成果

企業全体で新入社員を育てる風土の醸成、部署横断のコミュニケーション活性化

「やっていきシート」という施策は、新入社員一人ひとりが「主体的に企業経営に関わっていくために、どんなリーダーシップを発揮したいか」を表明するユニークな制度です。

併せて、新人と教育担当メンバー全員が自由に会話できるチャットルームを開設し、部署の垣根を取り払い困った時は誰にでも質問できる場を用意しました。

これらの施策により、全社で新人をサポートする風土が醸成され、新人の社内定着率が向上しました。

※5 参考:オンボーディングとは?事例5選|実施のポイントやメリットも解説 | JMAM(取得日 2026年1月6日)

※6 参考:GMOペパボが実践するオンボーディング|3つの組織課題とその解決策を聞いてみた | HR NOTE(取得日 2026年1月6日)

事例④日本オラクル株式会社

外資系IT企業の日本オラクルでは、中途採用者の定着にオンボーディング研修をフル活用しています。

鍵となる考え方は、入社後の活躍には「社員エンゲージメントの育成こそが重要」というものです。そこでオンボーディング施策の中心に「いかにエンゲージメントを高めるか」を据えて実践しています。

■日本オラクル株式会社のオンボーディング施策(※5,7)

項目

内容

狙い

・中途採用者の定着率向上
・社員エンゲージメントの育成による長期活躍の実現

特徴的な取り組み

・中途社員向けの経営理念、社内制度の徹底研修
・専任スタッフの配置
 ナビゲーター:日常業務サポート
 サクセスマネージャー:進捗管理・部署間調整
・上司の負担を軽減しつつ手厚いフォロー体制を構築

成果

社員エンゲージメント率85%達成

まず、中途入社では軽視されがちな経営理念や組織体制、社内ルールの基礎研修を十分に行い、「自分は会社の一員である」という意識を持ってもらうよう働きかけています。

OJTの段階では新人のフォロー専任スタッフを配置している点が特徴です。現場の上司とは別に「ナビゲーター」と「サクセスマネージャー」という異なる役割の先輩社員を置き、新人をサポートします。

これらの取り組みの結果、同社では社員エンゲージメント率85%という非常に高い水準を達成しました。

※7 参考:独自のオンボーディングで従業員エンゲージメント向上|TCG REVIEW(取得日 2026年1月6日)

関連記事:中途採用のオンボーディング施策を解説!定着率を向上させる具体的な手法と事例を紹介

オンボーディング研修を最適化するならback check

オンボーディング研修は新入社員や中途採用者の早期戦力化と定着率向上に大きな効果を発揮する施策です。しかし、どれだけ手厚いオンボーディング施策を実施しても、採用段階でのミスマッチがあれば十分な効果を得ることは困難です。

新人が入社後に「思っていた仕事と違う」「社風が合わない」と感じてしまえば、オンボーディング期間中に離職してしまう恐れもあります。そこで重要になるのが、採用段階での候補者の見極めです。

back check株式会社では、オンライン完結型のリファレンスチェックサービス「back check(バックチェック)」を提供しています。

back checkでは、公的公開情報・Web情報・個別調査によって候補者の申告内容に虚偽がないか、コンプライアンスリスクがないかなどを確認するコンプライアンスチェックと、候補者と過去一緒に働いたことがある元上司や同僚から評価を得ることで、入社後に顕在化する働きぶりやカルチャーマッチといった言語化しにくい情報を確認するリファレンスチェックを同時に実施できます。

オンボーディング研修の効果を最大化するには、採用段階で候補者の実際の働きぶりや人柄を客観的に把握し、自社とのマッチ度を見極めることが重要です。back checkを活用すれば、候補者の過去の勤務態度やチームワーク、コミュニケーション能力など、面接だけでは見えにくい部分を事前に確認できます。

採用精度を高め、オンボーディング研修の投資対効果を最大化したい企業のご担当者様、ぜひback checkの導入をご検討ください。

back check magazine 編集部

リファレンスチェック/コンプライアンスチェックサービス「back check」が手がけるコラム「back check magazine」の編集部です。採用担当のみなさまに向けて、役に立つ情報を発信していきます。

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