リファレンスチェック=「ほぼ内定」と誤解される理由|不採用判断の3つの基準を解説
最終面接前後の候補者に対し、リファレンスチェックを実施する企業が増えています。そんなリファレンスチェックを受けた候補者が「自分はほぼ内定だ」と考えることも少なくありません。
実際のところ、リファレンスチェックはあくまで採用選考プロセスの一環であり、実施したからといって内定が確約されるわけではありません。結果次第では不採用となる可能性もあり、実施タイミングや評価方法を誤ると法的リスクや候補者とのトラブルにつながる恐れがあります。
本記事では、リファレンスチェックが「ほぼ内定」と誤解される理由、適切な実施タイミング、不採用とすべきケースと法的留意点、候補者への説明方法など、人事担当者が押さえるべきポイントを詳しく解説します。採用精度を高めながらリスクを回避する運用方法を理解するためにも、ぜひ最後までご覧ください。
目次
- リファレンスチェックとは?人事が知るべき基礎知識
- リファレンスチェックの定義と目的
- リファレンスチェック実施=内定確定ではない
- リファレンスチェック=ほぼ内定と誤解される3つの理由
- ①最終選考段階で実施されるため
- ②推薦者の選定を依頼されるため
- ③実施に手間がかかるため
- リファレンスチェックで不採用とすべき3つの基準
- ①経歴詐称や重大な虚偽が判明した場合
- ②人物像・企業文化とのミスマッチが明らかになった場合
- ③過去のトラブルや深刻な問題行動が確認された場合
- リファレンスチェックの実施タイミング別メリット・デメリット
- 最終面接前に実施する場合
- 最終面接後・内定前に実施する場合
- 【原則NG】内定後に実施する場合
- 候補者への適切な説明方法と誤解を防ぐ伝え方
- リファレンスチェックの目的を明確に伝える
- 実施タイミングと結果のフィードバック時期を示す
- 「内定確定ではない」ことを明示する
- リファレンスチェックで採用精度を高めるならback check
リファレンスチェックとは?人事が知るべき基礎知識

リファレンスチェックは中途採用における重要な選考手段として、近年多くの企業で導入されています。
まずはリファレンスチェックの基本的な定義と、実施することの意味について正しく理解しましょう。
関連記事:【完全版】リファレンスチェックとは?質問例やメリット、法的注意点を10万人以上のデータを持つback checkが解説
リファレンスチェックの定義と目的
リファレンスチェックとは、中途採用の選考過程で応募者の職務経歴や人となりを、過去の上司・同僚など第三者へ問い合わせて確認する調査のことです。
履歴書や面接で語られた内容に虚偽がないかを確かめると同時に、面接だけでは分からない応募者の働きぶりを客観的な視点から把握します。
近年、リファレンスチェックを導入する企業は着実に増えています。
もともとは外資系企業で先行して活用されてきた手法ですが、コロナ禍以降は日本企業でも中途採用を中心に利用が広がりました。マイナビなどの各種調査においても、2020年以降、リファレンスチェックを実施する企業の割合が右肩上がりで増加していることが報告されています(※1,2)。
※1 参考 中途採用・転職活動の定点調査(2024年3月)|マイナビ(取得日:2026年1月15日)
※2 参考 中途採用状況調査2021年版|マイナビ(取得日:2026年1月15日)
リファレンスチェック実施=内定確定ではない
リファレンスチェックは選考プロセスの一環であり、実施したからといって内定が確約されたわけではありません。最終面接まで進んだ有力候補であっても、リファレンスチェックの結果次第では不採用となる可能性があります。
正式な内定通知を出す前であれば、リファレンスチェックの結果を踏まえて不採用とすることも法的に問題ありません。一方、内定を正式に出した後で取り消すことは「解雇」に該当し違法となり得るため企業側も慎重になります。
正式オファー後の内定取消は原則不可である点に留意し、リファレンスチェックは必ず内定前に実施することが望ましいでしょう。
リファレンスチェック=ほぼ内定と誤解される3つの理由
候補者がリファレンスチェックを依頼された際に「ほぼ内定だ」と早合点してしまうのには、いくつか理由があります。
人事担当者としてはこの誤解が生じる背景を理解し、適切に対応する必要があるでしょう。
①最終選考段階で実施されるため
リファレンスチェックは通常、最終面接の前後など内定直前の段階で実施されるケースが多いため、候補者は「ここまで選考が進めばほぼ採用だろう」と感じてしまいます。
企業が経歴の裏付けや入社後のミスマッチ防止を目的に最終段階でこの調査を行うことから、応募者としては「入社を前提に具体的な確認をしている=合格目前」と受け取ってしまうのです。
実際問題として、リファレンスチェックを依頼される時点で内定の可能性が高まっていることは事実であり、多くの企業で最終決定の直前にリファレンスチェックが実施されています。
その一方で、結果次第で選考見送りもあり得るため、人事担当者は「まだ最終決定ではない」ことを候補者に理解させる必要があります。
関連記事:リファレンスチェックが原因で選考に落ちることはある?目的や確認項目を解説
②推薦者の選定を依頼されるため
リファレンスチェックでは通常、候補者本人に推薦者の人選や連絡先の提供を依頼します。
現職の上司や同僚など、応募者と一緒に働いた第三者への協力を求める必要があるため、候補者からすれば「そこまで具体的に進めるということは、もう内定は目前だ」と感じやすいのです。
人事としては推薦者リスト提出のお願いをする際に、選考プロセス上の位置付けをきちんと説明する配慮が必要です。
③実施に手間がかかるため
リファレンスチェックは企業にとって手間と時間(場合によっては外部サービス利用の費用)がかかる選考ステップです。
そのため「企業がわざわざリファレンスチェックを行うのは、内定前提の有力候補だけ」というのが一般的な見方です。最終候補者1〜2人程度に絞った段階でのみリファレンスチェックを実施する企業もあり、大量の応募者全員に対して行うことはほとんどありません。
候補者も理解しているため、自分がリファレンスチェックの対象になったと知れば「相当有力なポジションにいる」と感じ、「ほぼ内定だろう」と考えてしまうわけです。
繰り返しになりますが、最終候補であっても参考情報によっては不採用判断も起こりうる旨を、社内でも候補者本人に対しても認識を共有しておく必要があります。
リファレンスチェックで不採用とすべき3つの基準

リファレンスチェックの結果、どのような場合に「採用見送り」の判断を下すべきか、判断基準となり得るポイントを解説します。
いずれも採用リスクに直結する重大な事項であり、これらが判明した場合には内定を見送ることが適切と考えられます。
①経歴詐称や重大な虚偽が判明した場合
履歴書や面接で申告された経歴・実績に明らかな虚偽や誇張が見つかった場合、その候補者を採用することは極めてリスクが高いと言えます。
経歴詐称の具体例としては以下のようなケースが挙げられます。
■経歴詐称の主な事例
職位の詐称
売上実績や業績の水増し
在籍期間の虚偽申告
担当業務の誇張
学歴の詐称
企業にとって信頼できる人材かどうかが問われる場面で嘘が発覚したら、その時点で信頼関係は崩壊します。
人事担当者としては、学歴・職歴や実績についてリファレンス先から確認を取り、悪質な経歴詐称が判明した場合は選考中止(不採用)とするのが適切です。
関連記事:リファレンスチェックで嘘は見抜ける?経歴詐称やなりすましの対処法を徹底解説
②人物像・企業文化とのミスマッチが明らかになった場合
リファレンスチェックを通じて得られた評価から、応募者の人物像が自社の求める人材像や企業文化に合わないと判断される場合も、不採用とすべきケースに該当します。
面接時の印象とリファレンス先からの評価に大きなギャップがあった場合の例を以下に示します。
■人物像・企業文化ミスマッチの具体例
面接時の印象 | リファレンスチェックでの評価 |
|---|---|
協調性が高いチームプレイヤー | 自己中心的でチームワークに課題 |
主体的に動ける自律型人材 | 指示がないと動けない受動的タイプ |
ストレス耐性が高い | プレッシャーに弱く感情的になりやすい |
こうしたギャップは採用ミスマッチの兆候です。エンワールド・ジャパンの調査でも、リファレンスチェックを実施している企業の約7割が「リファレンスチェック結果は採用判断に影響する」と回答しています(※3)。
自社の期待する資質と決定的に相違する面が確認できた場合には、見送りの判断が適切でしょう。
※3 参考:中途採用における、リファレンスチェック実施状況調査 | エンワールド・ジャパン株式会社(取得日:2026年1月15日)
③過去のトラブルや深刻な問題行動が確認された場合
リファレンスチェックによって候補者の過去の職場での深刻な問題行動やトラブル履歴が明らかになった場合も、不採用とするのが賢明です。
いくら業務上の能力が高くても、組織にもたらすリスクが大きい人材は採用を見送るべきです。不採用を検討すべき問題行動の例は以下の通りです。
■不採用を検討すべき過去の問題行動
ハラスメント行為の履歴
社内規律違反(度重なる遅刻・無断欠勤)
前職での重大な人間関係トラブル
情報漏洩や守秘義務違反
金銭に関する不正や横領
顧客との重大なトラブル
前職での評価が極端に低いことが判明すると、採用後に同様のトラブルを起こすリスクが懸念されます。
ただし、推薦者個人の主観による悪評には注意が必要です。複数の証言の整合性なども考慮し、公正に判断してください。
リファレンスチェックの実施タイミング別メリット・デメリット
リファレンスチェックは「いつ実施するか」によって、得られるメリットや留意すべきデメリットが異なります。
ここではタイミング別にそのメリット・デメリットを整理し、人事担当者が自社の採用フローに最適な進め方を検討できるよう解説します。
最終面接前に実施する場合
最終面接前にリファレンスチェックを行う最大のメリットは、候補者の適性や信頼性を事前に把握できるため、最終面接をより有意義にできる点です。
面接前に第三者からの評価情報を得ておけば、面接官は候補者の強み・弱みを踏まえた深掘り質問ができます。
最終面接前に実施するメリットとデメリットを以下の表で整理しました。
■最終面接前実施のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
|---|---|
・候補者の適性を事前把握し最終面接を有意義にできる | ・スケジュール調整や対応の手間が増加する |
デメリットとしては、まだ選考途上の段階で候補者・推薦者双方の都合を合わせる必要があり、企業側にも負荷がかかります。
候補者も「まだ内定していないのに…」と不安を覚える場合があるため、現職上司への照会が難しい場合には前職や取引先担当者など代替の推薦者を提案するなど、柔軟な対応も必要です。
実施タイミングによるメリット・デメリットについては下記記事でより詳しく解説しておりますので併せてご確認ください。
関連記事:リファレンスチェックをするのは最終面接の前?後?タイミングごとのメリット・デメリットを解説!
最終面接後・内定前に実施する場合
最終面接終了後、正式な内定通知を出す前にリファレンスチェックを行う方法もあります。このタイミングのメリットは、実質的な最終確認として客観情報を得られる点です。
最終面接まで終えた段階では候補者もかなり絞られているため、一人ひとりに十分時間をかけて丁寧にリファレンスチェックを実施できます。
候補者側も「選考も最終段階」という認識があるため、推薦者協力の依頼にも比較的応じやすい段階と言えるでしょう。
■最終面接後・内定前実施のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
|---|---|
・最終確認として客観情報を得られる | ・採用決定までの期間が延びる(1〜2週間程度) |
デメリットとしては、採用決定までに時間がかかり、競合他社に先行される可能性があります。
対策として、人事は候補者に対しプロセスの見通しを共有しつつ、可能な限り迅速にリファレンスチェックを完了させるよう努めることが重要です。
【原則NG】内定後に実施する場合
結論から言えば、内定通知を出した後でリファレンスチェックを行うのは原則避けるべきです。
法的にも内定後は労働契約が成立したとみなされ、企業は簡単に内定を取り消せない強い拘束を受けます。
内定後実施の法的リスクと例外的に認められるケースを以下にまとめました。
■内定後実施の法的リスク
項目 | 内容 |
|---|---|
法的位置付け | 労働契約成立後とみなされ、内定取消は解雇と同等 |
内定取消の要件 | 客観的に合理的な理由があり社会通念上相当と認められる場合のみ有効 |
例外的に認められるケース | ・重大な経歴詐称 |
単に現職や前職での評価が低い、勤務態度や素行が悪いだけでは、内定取消しをしても良い理由とはなりません。
人事担当者としては、内定前に十分なチェックを終えるプロセス設計を心掛け、「内定後に撤回せざるを得ない事態」は絶対に起こさないという前提で採用活動を進めましょう。
候補者への適切な説明方法と誤解を防ぐ伝え方
リファレンスチェックをスムーズかつ効果的に進めるには、候補者への事前説明とコミュニケーションが非常に重要です。
候補者に無用な誤解や不安を抱かせないために、人事担当者が意識すべき伝え方のポイントをまとめます。
リファレンスチェックの目的を明確に伝える
まず基本として、候補者には「なぜリファレンスチェックを行うのか」その目的を正直かつ前向きに説明しましょう。企業がリファレンスチェックを実施するのは、最終的なミスマッチ防止やお互いのための確認作業であることを強調します。
候補者への説明時には、以下のポイントを明確に伝えることをおすすめします。
■候補者に伝えるべきリファレンスチェックの目的
入社後のミスマッチを防ぎ、双方にとって最適な判断をするため
候補者の強みや実績を第三者の視点から確認し、より深く理解するため
面接だけでは把握しきれない実際の働きぶりや人柄を知るため
候補者が最大限に力を発揮できる環境を整えるための情報収集
例えば、「〇〇さんのこれまでのご活躍ぶりを第三者の視点からも伺い、入社後に最大限力を発揮いただけるよう相互理解を深めたいと考えています」といった前向きな伝え方が考えられます。
目的への理解が進めば候補者の協力姿勢も高まり、リファレンスチェックを円滑に進めることができるでしょう。
実施タイミングと結果のフィードバック時期を示す
次に、リファレンスチェックの実施タイミングと、その結果をいつ候補者にフィードバックできるかを明確に伝えます。どの選考段階で誰に連絡する予定か、プロセスに要するおおよその期間など、見通しを具体的に共有することが大切です。
例えば「最終面接後、◯月◯日までの間に2人の方へ照会を行います。その上で◯月◯日頃までに最終結果をご連絡します」といった形です。
特に最終面接後にリファレンスチェックを実施する場合は、合否連絡が通常より遅れる理由をしっかり説明しておく必要があります。
「現在最終選考の候補として最有力ですが、最終確認のプロセスとしてリファレンスチェックを行っています」などと伝えれば、候補者も状況を理解できるでしょう。
「内定確定ではない」ことを明示する
最後に最も重要なポイントとして、リファレンスチェックの実施が内定確約を意味するものではないことを候補者に明示しておきます。ここは伝えにくいセンシティブな部分ではありますが、誤解によるトラブルを避けるためには敢えて言葉にして伝えることが必要です。
例えば、「最終確認のプロセスですので、これが終わるまで正式な合否は決められません」といった表現で、まだ選考段階である旨をやんわりと伝達します。
併せて、候補者から質問が出やすい懸念事項にも事前に答えられる準備をしておきましょう。
■候補者の不安に対する適切な対応例
候補者の懸念 | 適切な回答例 |
|---|---|
現職に知られないか | リファレンスチェックは候補者の同意のもとで進めます。現在の職場に無断で連絡することは決してありません。 |
推薦者が見つからない | 推薦者の選定は候補者にお任せします。現職の方以外(前職の上司や取引先など)でも構いません。 |
どうしても協力者がいない | 推薦者の手配が難しい場合は、他の評価手法(実技テストや課題提出など)で対応することも可能です。 |
このように候補者の事情に寄り添った柔軟な対応策も示しつつ、「リファレンスチェックはあくまで最終確認であり内定ではない」旨を丁寧に説明することが、後のトラブルを回避するために有効です。
関連記事:リファレンスチェックで転職がバレる?転職バレの原因と対策を徹底解説
リファレンスチェックで採用精度を高めるならback check
リファレンスチェックは採用精度を高める有効な手段である一方で、実施タイミングや候補者とのコミュニケーションを誤ると、思わぬトラブルを招くリスクもあります。適切なタイミングで正しく活用すれば、ミスマッチの少ない最適な採用と入社後の早期活躍につながる採用活動を推進できるはずです。
特にその人のバックグラウンドや価値観を把握しないまま採用を決定することで、チームとの協働や職場環境への適応に課題が生じることも少なくありません。このようなミスマッチを防ぐには、候補者の人柄や実際の仕事ぶりを客観的に把握できるリファレンスチェックが効果的です。
back check株式会社では、オンライン完結型のリファレンスチェック・コンプライアンスチェックサービス「back check(バックチェック)」を提供しています。
back checkでは、公的公開情報・Web情報・個別調査によって候補者の申告内容に虚偽がないか、コンプライアンスリスクがないかなどを確認するコンプライアンスチェックと、候補者と過去一緒に働いたことがある元上司や同僚から評価を得ることで、入社後に顕在化する働きぶりやカルチャーマッチといった言語化しにくい情報を確認するリファレンスチェックを同時に実施できます。
リファレンスチェックの実施によって「ほぼ内定」という誤解を防ぎつつ、公平で効果的なリファレンスチェック運用を実現しましょう。本記事で解説した不採用基準や実施タイミング、候補者への説明方法を踏まえることで、採用精度を高めながらリスクを回避する運用が可能になります。
企業のご担当者様、ぜひback checkの導入をご検討ください。


back check magazine 編集部
リファレンスチェック/コンプライアンスチェックサービス「back check」が手がけるコラム「back check magazine」の編集部です。採用担当のみなさまに向けて、役に立つ情報を発信していきます。







