ワークエンゲージメントの尺度とは? 3つの指標の測定方法と質問項目を徹底解説
従業員のワークエンゲージメントを向上させたいと考えても、まずは現状を正確に把握しなければ効果的な施策は打てません。そこで重要となるのが、ワークエンゲージメントを客観的に測定できる「尺度」の活用です。
しかし、「どの尺度を使えばいいのか」「具体的にどんな質問をすればいいのか」「結果をどう解釈すればいいのか」といった疑問を持つ人事担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、世界的に活用されている3つの主要なワークエンゲージメント尺度(UWES、MBI-GS、OLBI)について、それぞれの特徴や使い分け方、具体的な質問項目、評価方法、スコアの算出方法を解説します。ワークエンゲージメント向上への第一歩を踏み出すための実務的なガイドとして、ぜひ参考にしてください。
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目次
- ワークエンゲージメント尺度とは?測定の重要性と3つの主要ツール
- ワークエンゲージメントとは
- ワークエンゲージメントを測定する3つの尺度
- UWES(ユトレヒト・ワークエンゲージメント尺度)について
- UWESの特徴【仕事のやりがいを可視化】
- UWESの具体的な質問項目
- UWESの導入が推奨される組織
- MBI-GS(マスラック・バーンアウト・インベントリー)について
- MBI-GSの特徴【バーンアウト度から逆算】
- MBI-GSの具体的な質問項目
- MBI-GSの導入が推奨される組織
- OLBI(オルデンバーグ・バーンアウト・インベントリー)について
- OLBIの特徴【手軽なバーンアウト度チェック】
- OLBIの具体的な質問項目
- OLBIの導入が推奨される組織
- ワークエンゲージメント尺度の運用ステップ
- ①自社に適したワークエンゲージメント尺度の選定
- ②質問項目の選定・質問票の作成
- ③サーベイの実施
- ④回答結果の分析
- ⑤改善施策の検討・実施
- ワークエンゲージメント尺度の導入事例3選
- ①太陽誘電株式会社
- ②スギホールディングス株式会社
- ③アネスト岩田株式会社
- ワークエンゲージメントの高い人材の採用ならback check
ワークエンゲージメント尺度とは?測定の重要性と3つの主要ツール

従業員のワークエンゲージメントを向上させることは、現代の人事戦略において重要な課題となっています。
しかし、「やりがい」や「熱意」といった目に見えない状態を客観的に把握するには、適切な測定ツールが必要です。ここでは、ワークエンゲージメント尺度の基礎知識と、主要な3つの測定ツールについて解説します。
ワークエンゲージメントとは
ワークエンゲージメントは、オランダのシャウフェリ教授によって提唱された概念で、「仕事に関連するポジティブで充実した心理状態」と定義されます。これは「活力」「熱意」「没頭」の3要素によって特徴付けられる状態です。
■ワークエンゲージメントの3要素
要素 | 定義 | 具体的な状態 |
|---|---|---|
活力 | 仕事からエネルギーを得て生き生きとしている状態 | 困難に直面しても意欲的に乗り越えようとする、疲労を感じにくい |
熱意 | 仕事に誇りややりがいを感じている状態 | 強い意義付けをもって積極的に取り組む、仕事への愛着が深い |
没頭 | 仕事に深く集中・没頭している状態 | 時間を忘れるほど没入する、業務に高い集中力を発揮する |
これら3つの要素が高い水準で満たされているとき、従業員は仕事に対して生き生きと熱心に取り組んでおり、これを「ワークエンゲージメントが高い」状態といいます。
ワークエンゲージメントが高い職場では、従業員の生産性向上や創造性発揮、メンタルヘルス向上、離職率低減など多くのメリットがあります。逆にエンゲージメントが低いと、生産性低下や優秀人材の流出など組織全体に悪影響が及ぶケースも多いです。
関連記事:ワークエンゲージメントとは?測定方法から向上施策まで、人事が知るべきポイントを解説
ワークエンゲージメントを測定する3つの尺度
従業員のエンゲージメント度合いを数値として測定するには、主に3種類の尺度(測定ツール)が広く利用されています。以下の3つが代表的な尺度です。
■UWES(ユトレヒト・ワークエンゲージメント尺度)
ワークエンゲージメントそのもの(活力・熱意・没頭)を直接測定する尺度です。広く研究・実務で活用されており、17項目版のほか9項目版や3項目版の短縮版も用意されています。
■MBI-GS(マスラック・バーンアウト・インベントリー一般版)
バーンアウト(燃え尽き症候群)の程度を測定し、その結果からワークエンゲージメントの水準を間接的に推定することもできる尺度です。疲弊感、シニシズム、職務効力感の3側面から評価を行います。
■OLBI(オルデンバーグ・バーンアウト・インベントリー)
MBIと同様にバーンアウト度合いを測定する尺度で、質問文にポジティブ・ネガティブ両面を含めて設計されており、比較的手軽にバーンアウト度をチェックする方法として活用されています。
一般的にはUWESが広く使用されており、従業員の活力・熱意・没頭の高さを直接数値化します。一方、MBI-GSとOLBIはバーンアウトの度合い(疲弊感や仕事への無関心さ)を測ることで、エンゲージメントの低さを把握するアプローチを取ります。
各尺度には特徴や利点・欠点があり、目的に応じた使い分けが重要です。例えば「ポジティブなやる気を可視化したい」ならUWES、「ストレスや燃え尽き度合いも把握したい」ならMBI/OLBIなど、自社の状況に応じて適切な尺度を選定することをおすすめします。
UWES(ユトレヒト・ワークエンゲージメント尺度)について
UWES(Utrecht Work Engagement Scale)は、ワークエンゲージメントを測定するため世界的に広く用いられている尺度です。
オランダのユトレヒト大学で開発されたこの質問票は、「活力」「熱意」「没頭」の3要素それぞれに関する設問によって、従業員がどの程度仕事に積極的・熱心に取り組めているかを測定します。
【日本語版】慶應義塾大学 島津明人研究室
https://hp3.jp/tool/uwes
【海外版】Wilmar Schaufeli教授の公式サイト
https://www.wilmarschaufeli.nl/
UWESの特徴【仕事のやりがいを可視化】
UWESの大きな特徴は、ワークエンゲージメントを構成する要素を直接測定できる点です。
他の尺度がバーンアウト側面の測定であるのに対し、UWESはポジティブなエネルギーや没頭度合いをそのまま測ります。
オリジナル版は全17項目ですが、短縮版(9項目)や超短縮版(3項目)も用意されており、調査時間や対象者の負担に合わせて選択できます。回答は「全く感じない(0点)」〜「いつも感じる(6点)」の7段階で評価し、活力・熱意・没頭の各要素ごとに平均スコアを算出します。
国際的に実証研究が多く信頼性が確立された指標で、日本語版も整備されている点もメリットです。
UWESの具体的な質問項目
UWESでは従業員の仕事に対する感じ方や行動について尋ねる定性的な質問が並びます。通常版17項目のうち、代表的な質問例を以下に示します。
■活力に関する質問例
「仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる」
「仕事をしているとき、とても元気だと感じる」
「仕事から帰ってきても、次の日の仕事のことを考えるとワクワクする」
■熱意に関する質問例
「自分の仕事に、意義や価値を大いに感じる」
「自分の仕事に誇りを感じる」
「私にとって、仕事は非常にやりがいがある」
■没頭に関する質問例
「仕事をしていると、時間がたつのが速い」
「仕事に没頭しているとき、幸せだと感じる」
「仕事をしているとき、他のことは全て忘れてしまう」
いずれも仕事中にポジティブな感情や充実感を得ているかを問う内容です。それぞれ対応する活力・熱意・没頭という要素ごとのスコアを測定し、総合的なエンゲージメント度合いを評価します。
UWESの導入が推奨される組織
UWESはポジティブ心理学の観点から開発された尺度であり、社員のモチベーションややりがいに着目したい企業に広く適しています。以下のような組織での導入が特に推奨されます。
エンゲージメント向上を経営目標に掲げている組織
ポジティブな組織風土づくりを重視する企業
幅広い業種・職種で比較したい場合
前向きな雰囲気づくりを図りたい組織
UWESは従業員のやりがいや意欲を前向きに評価できる尺度であり、組織全体のモチベーション向上を目指す企業にとって、有力な選択肢の一つとされています。
学術研究用途では無料で利用できますが、企業での実務利用時には開発者への連絡が必要な点に留意が必要です。
関連記事:モチベーションとエンゲージメントの違いと関係性は?生産性向上のためのアクションと、見落としてはいけない大切なこと
MBI-GS(マスラック・バーンアウト・インベントリー)について
MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)は、本来は職業上のバーンアウト(燃え尽き症候群)の程度を測定するために開発された尺度です。
ワークエンゲージメントとは対極にある「心身の疲弊や仕事への無関心」のレベルを数値化し、そのスコアが低いほどエンゲージメントが高いと判断します。いわば「エンゲージメント不足(バーンアウト状態)の測定」によって裏からワークエンゲージメントの高さを推し量る手法です。
■公式販売先 Mind Garden(アメリカ)※有料
https://www.mindgarden.com/312-mbi-general-survey
MBI-GSの特徴【バーンアウト度から逆算】
MBI-GSの大きな特徴は、エンゲージメントとバーンアウトを同時に評価できる点です。
疲弊感、シニシズム(仕事への無関心)、職務効力感の3側面について計16項目で測定します。スコアが高いほどバーンアウト状態に近く、低いほどワークエンゲージメントが高いと解釈されます。「なぜエンゲージメントが低いのか」の要因分析が可能になる点がメリットです。
組織のストレス要因や業務負荷の問題を浮き彫りにし、健康管理や労務対策へ繋げることもできます。ただし、著作権管理されたツールのため利用時には購入や許諾が必要です。
MBI-GSの具体的な質問項目
MBI-GSの設問は、主に仕事による疲労感や意欲喪失感について率直に問う内容です。その一部を例示します。
■疲弊感に関する質問例
「1日の仕事が終わると疲れ果ててぐったりすることがある」
「朝起きて、また1日仕事をしなければならないと思うとうんざりする」
「一日中仕事をするのは、本当にストレスが溜まる」
■シニシズムに関する質問例
「自分がしている仕事の意味や大切さが分からなくなることがある」
「仕事に就いて以来、仕事に対する関心が薄れてきている」
「自分の仕事が、他の人の人生にどんな影響を与えているのか疑問に思う」
■職務効力感に関する質問例
「自分は職場で役に立っていると思うことがある」
「私は、仕事で直面する問題を効果的に解決している」
「私は仕事を通じて、他の人たちの人生に良い影響を与えている」
前の2つはネガティブな感情を問うもの、3つ目はポジティブな実感を問うものですが、MBIではこれら全てをバーンアウトの指標として扱います。
つまり「疲弊感・シニシズムは高いほどバーンアウト度高」、「職務効力感は低いほどバーンアウト度高い(※効力感は反転項目)」と解釈します。
MBI-GSの導入が推奨される組織
MBI-GSは従業員の疲労やストレス状況を把握するために開発された尺度であり、ストレス要因の把握を重視する組織で利用されるケースもあります。以下のような場面で有効と考えられます。
バーンアウトが問題となっている職場
高ストレス環境下で働く従業員が多い業界・職場
エンゲージメント向上施策と併せて健康管理を重視する企業
メンタルヘルス対策を行いたい企業
MBI-GSはエンゲージメント向上と社員の燃え尽き防止を両立させたい企業にとって、有効な分析ツールとなるでしょう。ただし、「スコアが低いほど良い」という逆指標である点に注意が必要で、実施時には十分な説明と調査後のフォロー体制を整えることが重要です。
関連記事:エンゲージメントを向上させるには?6つの施策と実践プロセスを解説
OLBI(オルデンバーグ・バーンアウト・インベントリー)について
OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)は、ドイツで開発されたバーンアウト測定尺度で、MBIと同様にエンゲージメントの対極にあるバーンアウト状態を測定するツールです。
質問項目にポジティブ表現とネガティブ表現を織り交ぜている点で、回答者の主観的バイアスを抑えつつバーンアウト度合いをチェックできる工夫がされています。
■OLBIを利用可能なプラットフォーム NovoPsych
https://novopsych.com/assessments/well-being/oldenburg-burnout-inventory-olbi/
OLBIの特徴【手軽なバーンアウト度チェック】
OLBIでは「離脱(仕事への没入欠如)」と「疲弊(エネルギー枯渇)」の2側面について計16項目で測定します。
各側面につきネガティブ項目とポジティブ項目が4問ずつあり、4段階評価で回答します。ポジティブ項目が混在することで極端な回答傾向を抑制できる点がメリットです。MBIより平易で回答しやすく、「手軽にバーンアウト度合いを確認できる指標」として位置付けられます。
ただし、現時点で公式な日本語版は存在しないため、国内企業が利用するにはやや難易度が高くなっています。欧州を中心にMBIの代替として活用が広がっている尺度です。
OLBIの具体的な質問項目
OLBIの代表的な質問例をいくつか挙げます。公式から日本語版の設問が出ていないため、元の質問を意訳した内容となる点をご了承ください。
■疲弊に関するネガティブ項目
「仕事の前にすでに疲労感がある」
「仕事の後、回復するのに長時間かかる」
■離脱に関するネガティブ項目
「仕事にうんざりしている」
「仕事について話すことに消極的である」
■離脱に関するポジティブ項目
「私は仕事にしっかり没頭できている」
「私は自分の仕事に誇りを持っている」
■疲弊に関するポジティブ項目
「仕事から活力を得ている」
「仕事をしている間、私は元気でいられる」
ネガティブ項目はMBIと似たニュアンスですが、ポジティブ項目が混在することで回答者は無意識に矛盾のない回答を意識するため、極端に偏った回答になりにくいとされています。
OLBIの導入が推奨される組織
OLBIは簡便さと質問バランスの良さから、以下のようなケースで導入が検討できます。
従業員に直接「燃え尽き度合い」を問うことに抵抗がある場合
調査コストを抑えて試験的にバーンアウト度を測定したい企業
ポジティブ・ネガティブ両面からバランスよく評価したい組織
MBIよりも手軽にバーンアウトチェックをしたい場合
総じて、OLBIは「手軽さ」と「バランスの取れた質問設計」が魅力の尺度です。ただし、日本での実用例が少ない点には留意し、必要に応じて専門家の支援を受けて導入することが推奨されます。
ワークエンゲージメント尺度の運用ステップ

ワークエンゲージメント尺度を自社で導入し有効活用するには、計画的なステップを踏むことが重要です。単発の測定で終わらせず、継続的な改善につなげるためには適切な運用プロセスが欠かせません。
ここでは一般的な運用の5つのステップを詳しく解説します。
①自社に適したワークエンゲージメント尺度の選定
まずは自社の目的に合った尺度を選ぶところから始めます。前述のとおり、UWES・MBI-GS・OLBIにはそれぞれ特徴があります。
自社で何を明らかにしたいか(ポジティブなエンゲージメント度か、バーンアウトのリスクか、両方か)を明確にし、それに適したツールを選びましょう。例えば「社員のやる気度をシンプルに知りたい」ならUWESを、「職場のストレス要因も含めて分析したい」ならMBIも併用する、といった選択肢があります。
また、ワークエンゲージメント調査対象の範囲や頻度も考慮しましょう。全社一斉に年1回行うのか、一部部署で試行してみるのか、継続測定するのかなど、目的とリソースに応じて計画を立てます。
尺度選定にあたっては、経営層や人事部門で目的を共有し合意を得ることも大切です。「なぜワークエンゲージメントを測るのか」「結果をどう活用するのか」を明確にしておくことで、後々のステップがスムーズに進みます。
②質問項目の選定・質問票の作成
尺度が決まったら、実際に従業員に回答してもらう質問票(アンケート)の準備を行います。
基本的には選定した公式尺度の設問を使用しますが、バージョンの選択や必要に応じた補足質問の追加も検討します。例えば、UWESなら17項目版か9項目版のどちらにするか、MBIなら職務効力感の設問を企業風土に合わせ微調整するかなどです。
ただし、尺度の信頼性を保つため、可能な限り原典に忠実に設問を用いることが望まれます。
質問項目を選定する際は、以下のコツを参考にしてください。
■質問項目を選定するコツ
調査時間と対象者の負担を考慮して項目数を決定する
企業風土や業界特性に合わない設問がないかチェックする
回答しやすい言葉遣いになっているか確認する
属性データ(部署・職種・勤続年数など)の必要性を検討する
プライバシー保護に関する説明文を必ず含める
社内のオンラインアンケートツールや紙フォームを使って回答フォーマットを整備したら、質問票は完成です。実施前に人事担当者や一部社員で試し回答し、所要時間や設問の分かりやすさを確認しておくと良いでしょう。
③サーベイの実施
次に、実際に従業員へのサーベイ(調査)を実施します。
事前に経営トップや人事部から調査の目的と意義を全社員へ周知し、協力を呼びかけておくと良いでしょう。「会社として従業員の声を尊重し働きやすい環境を作りたい。そのために本調査への率直な回答をお願いします」といったメッセージを伝えることで、社員の理解と協力を得やすくなります。
調査はできるだけ勤務時間内に、かつ回答者が落ち着いて取り組める期間に設定するのがベストです。繁忙期や締切間際を避け、回答には1〜2週間程度の猶予期間を設けると回収率が上がります。
■サーベイを実施する際の注意点
繁忙期や重要なプロジェクトの締切時期を避ける
勤務時間内での回答を推奨し、時間的余裕を確保する
匿名性を徹底し、個人が特定されないよう配慮する
回答は任意であることを明確に伝える
定期的なリマインド連絡で回収率向上を図る
Webアンケートの場合はURLをメール配信し、紙アンケートなら回収BOXを設置するなどし、匿名性を確保します。匿名性は「本音を引き出す」ため非常に重要です。
また、回答率を上げるためにもフォローアップも行います。締切前にリマインド連絡をしたり、管理職にも周知協力してもらったりして、できる限り多くの回答を集めましょう。
④回答結果の分析
調査が終わったら、集まった回答データを集計・分析します。
まずは尺度の手引きに従いスコアを算出します。UWESであれば各人の活力・熱意・没頭の平均値や総合スコア、MBIであれば疲弊感・シニシズムなどの平均値などを計算します。その上で、集団全体のエンゲージメント指標(平均値や分布)を明らかにします。
次に、部署や属性ごとの比較分析を行います。例えば部署AとBでエンゲージメントスコアに差はあるか、管理職と一般社員で傾向は違うか、入社年数によって変化があるかなどを見ます。統計的に有意な差が出ていれば、どこに課題があるかの手がかりになります。
■分析項目の例
全社および部署別の平均スコアと分布状況
職種、役職、勤続年数別のエンゲージメント傾向
エンゲージメントと他の指標(残業時間、離職率など)との相関分析
前回調査との比較による経年変化の把握
業界平均やベンチマークデータとの比較
エンゲージメントが高い・低い部署の特徴分析
さらに、関連要因の分析も有効です。エンゲージメントと他の業務データ(残業時間や離職率、業績指標など)を突き合わせて相関を見ることで、根本の課題が見えてきます。
⑤改善施策の検討・実施
分析結果を踏まえて、エンゲージメント向上のための具体的な改善施策を立案・実行します。
施策の検討には人事部門だけでなく、現場管理職や経営層も巻き込むと効果的です。調査で浮き彫りになった課題に対して、以下のような改善施策を検討しましょう。
課題 | 施策例 |
|---|---|
上司からのフィードバック不足 | 1on1面談の定期実施 |
仕事の裁量権の不足 | 業務決定権限の委譲 |
キャリアパスの不明確さ | キャリア面談の実施 |
職場のコミュニケーション不足 | 部署間交流イベント |
業務負荷の過多 | 業務プロセスの見直し |
成長機会の不足 | 研修制度の拡充 |
評価制度への不満 | 評価基準の明確化 |
ワークライフバランスの悪化 | 有給取得促進 |
このように組織風土・制度面と個人支援面の両方向から改善策を実施し、その効果を次回のエンゲージメント測定で検証するサイクルを回します。
重要なのは、一度測定して終わりではなく継続的に評価と改善を繰り返すことです。定期的なフォローアップ調査を行い、施策の効果やエンゲージメントの推移を確認しながら、必要に応じて対策を見直していきます。
ワークエンゲージメント尺度の導入事例3選
実際にワークエンゲージメントの測定を導入し活用している企業の事例を3つ紹介します。
それぞれ異なる業種の企業が、自社の課題に合わせてエンゲージメント尺度を取り入れ、改善に役立てている好例です。これらの事例から、尺度導入の具体的なメリットや運用のポイントを学ぶことができるでしょう。
①太陽誘電株式会社
電子部品メーカーの太陽誘電では、中期経営計画で「活力みなぎって働く従業員を増やす」ことを重要課題に掲げ、ワークエンゲージメント平均値2.5以上という数値目標を設定しました。
2020年度より全社でUWES短縮版(9項目)による年次調査を実施し、2021年度2.3から2023年度2.5へと着実に向上しています。調査結果の分析から「高ストレス者が多い部署ではエンゲージメントが低い」という傾向を発見し、改善策としてストレスチェック結果と合わせて部署別フィードバックを実施しました。
その結果、管理職のマネジメントスタイル改善が必要と判明したため、管理監督者への研修強化や評価制度見直しを進めています。エンゲージメントを経営指標として位置付け、PDCAサイクルを回している好例です。
参考:太陽誘電株式会社 『INTEGRATED REPORT 2024』
②スギホールディングス株式会社
ドラッグストアチェーンのスギ薬局グループでは、2022年度から全従業員対象のUWES調査を開始し、労働生産性向上・離職率低減・組織活性化を目指しています。
エンゲージメント平均値は2022年度3.1から2024年度3.5へ向上し、外部機関との連携で高度な分析を実施しています。「上司とのコミュニケーション質」「ワークライフバランス」がエンゲージメントと強く相関することを発見し、「エンゲージメント高い店舗では売上が約10%高い」という業績との関連も確認しました。
この結果を受け、人事制度に指標を組み込み、管理職評価にチームのエンゲージメント向上度を反映しています。長時間労働撲滅や社員提案制度導入など総合的な職場環境改善を推進し、働きがいスコアの着実な上昇を実現しました。
参考:スギ薬局グループ 『スギ薬局グループ 統合報告書2023』
③アネスト岩田株式会社
産業機器メーカーのアネスト岩田では、健康経営の一環として年次の「健康意識調査」にワークエンゲージメント測定項目を組み込んでいます。
「自社への貢献実感」や「職場での生き生き度」といった設問でエンゲージメント状態を定量化し、健康診断・ストレスチェック結果と合わせて総合分析を実施中です。従業員の健康習慣が良好なほどエンゲージメントが高い傾向を確認し、「健康でいきいきと働くこと」が「仕事への熱意」に直結するという信念を実証しています。
フレックスタイム制度や有給取得奨励などのワークライフバランス支援、経営陣との対話機会創出を推進中です。管理職向け研修でエンゲージメント概念を教育し、エンゲージメントサーベイツールの試験導入も行うなど、健康経営と従業員エンゲージメント向上を両輪で進めています。
参考:アネスト岩田株式会社 『アネスト岩田株式会社 統合報告書2024』
ワークエンゲージメントの高い人材の採用ならback check
ワークエンゲージメント尺度を活用することで、従業員の熱意や活力を数値化し、組織の現状把握から改善施策の立案まで体系的に取り組むことが可能になります。UWES、MBI-GS、OLBIといった主要な3つの尺度は、それぞれ異なる視点からエンゲージメントをとらえることができ、自社の目的に応じた選択と運用が重要です。
一方で、既存社員のエンゲージメント向上と同時に、新たに採用する人材についても高いワークエンゲージメントを持つ候補者を見極めることが、組織全体の活性化につながります。しかし、面接だけでは候補者の実際の働きぶりや職場での熱意、同僚との協働姿勢を正確に把握することは難しく、入社後にエンゲージメントの低さが判明するケースも少なくありません。
このような課題には、候補者の過去の働きぶりを客観的に把握できるリファレンスチェックが効果的です。
back check株式会社では、オンライン完結型のリファレンスチェックサービス「back check(バックチェック)」を提供しています。
back checkでは、候補者と過去一緒に働いたことがある元上司や同僚から評価を得ることで、入社後に顕在化する働きぶりやカルチャーマッチといった言語化しにくい情報を確認するリファレンスチェックと、公的公開情報・Web情報・個別調査によって候補者の申告内容に虚偽がないか、コンプライアンスリスクがないかなどを確認するコンプライアンスチェックを同時に実施できます。
特に、前職での仕事への取り組み姿勢、チームワーク、困難な状況での対応力、自発性や責任感といった、ワークエンゲージメントの高い人材に共通する特性を事前に把握することで、採用後のミスマッチを軽減し、組織全体のエンゲージメント向上に寄与する人材を採用することが可能になります。
ワークエンゲージメント向上と高エンゲージメント人材の採用を両輪で進め、より活力ある組織づくりを実現するために、ぜひback checkの導入をご検討ください。


back check magazine 編集部
リファレンスチェック/コンプライアンスチェックサービス「back check」が手がけるコラム「back check magazine」の編集部です。採用担当のみなさまに向けて、役に立つ情報を発信していきます。










