キャリア採用とは?中途採用との違いとメリット・デメリット、成功させる7つのポイントを徹底解説
人材不足が深刻化する中で、事業成長のスピードを上げるために即戦力人材の獲得が急務となっている企業が増えています。終身雇用制度の変化や労働市場の流動化により、経験やスキルを持った人材を戦略的に採用する「キャリア採用」が注目を集めています。
しかし、キャリア採用と中途採用の違いがわからない、どのようなメリット・デメリットがあるのか理解できていない人事担当者も少なくありません。また、キャリア採用を導入したものの期待する人材の採用に繋がらないという課題を抱える企業もあります。
本記事では、キャリア採用の基礎知識から中途採用との違い、導入するメリット・デメリット、そして成功させるための具体的なポイントまで詳しく解説します。即戦力人材の獲得に課題を抱える人事担当者の方々に役立つ情報をまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
- キャリア採用とは?基礎知識を解説
- キャリア採用の定義
- キャリア採用が注目される背景
- キャリア採用と中途採用の違いとは?
- キャリア採用と中途採用の比較
- キャリア採用とその他の採用の違い
- キャリア採用の3つのメリット
- 即戦力の人材が採用できる
- 教育コストの削減に繋がる
- 社内に新たなノウハウや人脈が生まれる
- キャリア採用の3つのデメリットとは?
- 競争率が高く採用が難しい
- 採用単価が高額になりがち
- ミスマッチによる短期離職のリスクがある
- キャリア採用が多い職種は?採用のポイントも解説
- ITエンジニア・システム開発職
- 営業・事業開発職
- マーケティング・広報職
- 法務・コンプライアンス職
- 財務・経理職
- キャリア採用を成功させる7つのポイントとは?
- ①求める人物像を明確に定義する
- ②競争力のある待遇を設定する
- ③適切な採用チャネルを選択する
- ④選考プロセスを最適化する
- ⑤受け入れ体制を整備する
- ⑥ネガティブな情報も正直に伝える
- ⑦継続的な関係構築を行う
- キャリア採用の成功事例4選
- 事例①株式会社Salesforce Japan
- 事例②株式会社SmartHR
- 事例③株式会社ワイ・デー・ケー九州
- キャリア採用を成功させるにはback check
キャリア採用とは?基礎知識を解説

キャリア採用について理解を深めるため、まずは基本的な定義と背景から解説していきます。近年の人材市場の変化により、多くの企業が注目するこのキャリア採用手法の基礎知識を押さえていきましょう。
キャリア採用の定義
キャリア採用とは、既に社会人としての就業経験があり、かつ募集する職種や業界での実務経験・スキルを有する人材を採用する手法のことです。
新卒採用のように社会人経験のない人材ではなく、即戦力となる専門知識・技能を備えた人材を迎え入れることを目的としています。そのため、求人票に「同業界・同職種で○年以上の経験」や「マネジメント経験者」など具体的な応募条件を定めるケースが多く見られます。
いわゆる「未経験者歓迎」の募集はキャリア採用には該当せず、実務経験がなくても意欲や潜在能力を評価するポテンシャル採用とは正反対の採用形態と言えるでしょう。
キャリア採用が注目される背景
キャリア採用は、ここ数年で多くの企業が導入を検討している採用手法です。その背景には、主に二つの社会的要因があります。
第一の要因としては、転職の一般化による人材流動性の高まりが挙げられます。かつて日本では、新卒で入社した会社に定年まで勤め上げる終身雇用が一般的でした。しかし、経済の停滞や少子高齢化、価値観の多様化などにより、より良い環境やキャリアアップを求める転職が当たり前になっています。
第二に挙げられる要因が、ビジネス環境の急速な変化に対応できる専門人材の必要性です。技術革新や市場変化のスピードが加速する現代において、高度な専門知識やスキルを持つ人材ニーズは右肩上がりを続けています。自社内での人材育成では変化のスピードに追いつけないケースも多く、即戦力を迎え入れて体制を強化する手段としてキャリア採用が重視されているのです。
このように、キャリア採用は終身雇用崩壊後の人材流動化と、変化の激しい時代における即戦力ニーズという二つの潮流を背景に、その重要性を増しています。
キャリア採用と中途採用の違いとは?
キャリア採用を正しく理解するためには、類似する用語との違いを明確にしておく必要があります。キャリア採用をより正確に認識するためにも、他の採用形式との違いについて詳しく見ていきましょう。
キャリア採用と中途採用の比較
「キャリア採用」とよく似た言葉に「中途採用」があります。一見すると同義のようですが、厳密には含まれる対象範囲が異なります。
■キャリア採用と中途採用の違い
キャリア採用:特定の業界・職種を経験した人材の採用
中途採用:社会人経験者の採用
中途採用とは、「一度でも正社員などで就業経験がある人」を広く対象とした採用の総称で、業種や職種での経験の有無は問いません。そのため、社会人経験が浅い第二新卒や、異業種・未経験職種へのキャリアチェンジ希望者まで含まれる広い概念です。
一方でキャリア採用は、中途採用という大きなくくりの中に含まれる一手法であり、「経験者採用」とも言えます。特定の業界・職種で求められるスキルや知識を既に持っている人材、つまり同業界・同職種の実務経験者のみを対象とする即戦力採用がキャリア採用です。
中途採用は幅広く人材を募集するのに対し、キャリア採用は「募集職種に関連する十分な経験・スキルがあること」が応募条件となり門戸が狭い点が大きく異なります。
関連記事:中途採用とは?新卒採用との違いやメリット・デメリット、中途採用を成功させるコツを解説
キャリア採用とその他の採用の違い
キャリア採用と対比されるその他の採用手法として、ポテンシャル採用・リファラル採用・アルムナイ採用などがあります。それぞれの特徴を比較すると次の通りです。
採用手法 | 対象者 | 評価軸 | 採用コスト | 定着率 |
|---|---|---|---|---|
キャリア採用 | 同業界・同職種経験者 | 現在のスキル・実務経験 | 高い | 中程度 |
ポテンシャル採用 | 新卒・第二新卒・若手 | 将来性・潜在能力・人柄 | 低い | 高い |
リファラル採用 | 社員の紹介者 | 人柄・価値観・信頼性 | 非常に低い | 非常に高い |
アルムナイ採用 | 元社員(退職者) | 過去実績・自社理解度 | 低い | 高い |
ポテンシャル採用は応募者の現在のスキルや経験よりも、将来の伸びしろや人柄・素質といった潜在能力を重視する採用手法です。即戦力を求めて現時点の実務スキルを重視するキャリア採用とは評価基準が真逆であり、「未経験者可」の求人はまさにポテンシャル採用の典型といえます。
リファラル採用は社員の友人・知人など信頼できる人脈を通じて候補者を紹介・推薦してもらう採用手法です。企業と応募者とのミスマッチが起こりにくく、入社後の定着率向上につながりやすくなっています。
アルムナイ採用は一度自社を退職した元社員を再雇用する採用手法です。自社の文化や業務に精通している強みがあり、外部で培った知見やネットワークを持ち帰って即戦力として活躍できる点で注目されています。
それぞれの採用手法はターゲットとする候補者や、採用コスト、定着率などに違いがあるので、どの手法を自社で取り組むべきかをよく考えるようにしましょう。
関連記事:リファラル採用とはどんな採用方法?リファラル採用の特徴を解説
関連記事:アルムナイ採用とは?メリット・デメリットと成功事例7選を解説
キャリア採用の3つのメリット
ここでは企業がキャリア採用によって得られる主要な3つのメリットについて詳しく解説します。
即戦力人材の獲得が事業成長にどのように貢献するのか、具体的に見ていきましょう。
即戦力の人材が採用できる
キャリア採用の最大のメリットは、何と言っても即戦力となる人材を採用できることです。
募集職種の業務に直結する経験・知識・スキルを備えた人材をターゲットとしているため、入社後比較的早期から成果を上げてくれる可能性が高まります。新卒採用者を一から育成して一人前にするには数年単位の時間が必要ですが、キャリア採用ならばそれより格段に早く戦力化することができるでしょう。
現場の業務も理解している即戦力人材であれば、数週間から数ヶ月のうちに戦力化し、企業の目標達成に貢献してくれることが期待できます。
教育コストの削減に繋がる
キャリア採用には教育にかかる時間・費用を抑えられるメリットもあります。
新卒や未経験者を採用した場合、基礎研修からOJTまで一から手厚く教育する必要があり、人事・現場双方に大きな負担とコストが発生します。しかし、キャリア採用であれば、採用した人材は既に基本的な業務知識やスキルを備えているため、ゼロから育成する必要がありません。
現場配属後も基本的なビジネススキルは備えているため、業務の専門知識習得や自社固有のルール把握に専念してもらえます。例えば新卒を1人採用し戦力化するまでにかかるコストと時間を100とすれば、経験者採用ならその一部(例えば半分以下)で済むケースも多いと考えられます。
社内に新たなノウハウや人脈が生まれる
キャリア採用は自社に不足していたノウハウやネットワークをもたらす効果もあります。
採用する即戦力人材は、それまで勤務した企業で培った豊富な経験や専門知識を持ち込んでくれます。他社で効率的だった業務の進め方やノウハウ、異なる価値観など、社内にはない新風を吹き込んで組織を活性化してくれるでしょう。
加えて、キャリア採用者が前職で築いた業界内の人脈も貴重な資源です。営業職なら前職時代の顧客とのコネクション、マーケティング職ならメディアや代理店とのネットワークなど、組織にはなかった新たな人的ネットワークが生まれる可能性があります。
キャリア採用の3つのデメリットとは?
キャリア採用にはメリットがある一方で、企業が注意すべきデメリットも存在します。導入前にこれらの課題を理解し、適切な対策を検討することが重要です。
競争率が高く採用が難しい
キャリア採用には競争が激化しやすく、求める人材を採用するハードルが高いというデメリットがあります。
多くの企業が即戦力人材を求めてキャリア採用に取り組む一方で、肝心のハイレベル人材の数は限られています。その結果、限られた人材の取り合い状態となり、「応募をかけても該当する人がなかなか見つからない」「書類選考で母集団を形成すること自体が難しい」というケースも少なくありません。
実際のところ、ハイレベル人材ほど他社からも引く手あまたで、転職市場での競争率は非常に高くなります。せっかく自社が求人を出してアプローチしても、こちらと接点を持つ前に他社で内定・入社が決まってしまう、といったこともしばしば起こります。
採用単価が高額になりがち
キャリア採用では1人当たりの採用コストや給与水準が高くなる傾向があります。
即戦力人材を獲得するために、求人媒体への掲載費や人材紹介会社への手数料など外部コストを投じるケースが多く、1人採用するために100万円単位のコストが発生することもあるでしょう。
また、実務経験豊富な転職者は前職で一定の給与を得ていることも多く、転職にあたっては「現職以上の条件」を求める人も少なくありません。そのため、満足のいくオファーを提示しようとすると提示年収が膨らみ、採用単価も上昇しがちです。
加えて、採用プロセスにかかる時間や労力のコストも見逃せません。書類選考や面接に関わる現場管理職・役員の工数、内定者フォローのための人件費など、見えにくい内部コストも重くなる場合があるでしょう。
ミスマッチによる短期離職のリスクがある
キャリア採用では採用後のミスマッチにより、入社者が短期間で離職してしまうリスクも存在します。
中途採用全般に言えることですが、企業と転職者との認識のズレから「こんなはずではなかった」というギャップが生じるケースは少なくありません。キャリア採用の場合、応募条件に合致する経験・スキルを持った人材であっても、社風や価値観が合わなければ実力を発揮できず早期に辞めてしまう可能性があります。
例えば「前職では成果主義の外資カルチャーにいた人が、日本企業の年功序列的な雰囲気に馴染めなかった」「即戦力と期待されたが業務プロセスの違いに戸惑い力を出し切れなかった」等、スキル面では問題なくとも文化的フィットが原因で定着しないケースが挙げられます。
せっかくコストをかけ採用した人材が短期で退職してしまえば、企業にとって大きな損失になります。こうしたミスマッチを防ぐためには、採用段階でお互いの認識をできるだけすり合わせておくことが重要です。
キャリア採用が多い職種は?採用のポイントも解説

キャリア採用は専門的な知識・スキルが要求される職種や、経験の有無が成果に直結しやすい職種で特に導入される傾向があります。
ここでは、キャリア採用が盛んな代表的な5つの職種と、それぞれの採用ポイントについて解説します。
ITエンジニア・システム開発職
ITエンジニアはキャリア採用の代表格と言える職種です。
IT業界は技術の進歩が目まぐるしく、新しい知識やスキルを常にアップデートできる人材が求められます。高度な技術力が必要なうえ、人材需給の逼迫も著しいため、社内でゼロから育成するより経験者を採用する方が効果的です。
人工知能(AI)やデータサイエンス、クラウドコンピューティングなど専門領域ごとに最新スキルを持つ人材が不足しており、経験者を優先的に確保したいという企業は少なくありません。
採用のポイントとしては、求人票で求める技術分野・使用言語などを明確に記載し、ターゲット人材に刺さる内容にすることが挙げられます。また経験豊富な優秀層ほど複数オファーを比較していますので、提示する待遇やプロジェクト内容の魅力をしっかりアピールすることが大切です。
営業・事業開発職
営業職もキャリア採用を検討すべき主要職種です。
営業の世界では経験値やスキルの有無がダイレクトに業績に表れるため、未経験者を一から育てるのは容易ではありません。特に法人営業や大口取引の開拓では、業界知識や顧客との関係構築ノウハウがものを言います。
「新規顧客の開拓を急ぎたい」「大手企業との大型取引を実現したい」などのニーズがある場合は、豊富な人脈や実績を持つ営業経験者を採用することで課題解決につながります。
採用の際は、業界知識・クライアント知識が豊富な人材かどうか、過去の実績をしっかりチェックすることがポイントです。候補者には自社の営業スタイルや顧客訪問頻度、担当顧客数などの詳細も伝えられると良いでしょう。
事業開発職では、自社にない視点やネットワークを持つ人材が重宝されます。営業・事業開発系のキャリア採用では、成果主義的な報酬制度や裁量の大きさなど、優秀層に響く魅力づけも重要になります。
マーケティング・広報職
マーケティング職も専門スキルが要求されるため、キャリア採用が適しています。
商品・サービスのプロモーション戦略立案や、SEO対策・SNS運用といったデジタルマーケ領域まで、マーケティング担当者には広範な知識と分析力が必要です。これらの業務ノウハウなどは実践経験によって磨かれる部分が大きく、未経験から短期間で身につけるのは容易ではありません。
多くの企業ではマーケティング部門の人員規模が大きくなく、社内に専門人材がいない場合もあります。そのため即戦力のマーケターを中途採用するニーズが高まっています。
採用時は、具体的な成果を面接で確認し、自社課題を解決できるスキルセットか見極めることが重要です。候補者には自社の課題に加え、使用できる各種ツールや媒体なども併せて伝えることで、入社後の業務をイメージしてもらいやすくなるでしょう。
法務・コンプライアンス職
法務職やコンプライアンス担当も、専門知識が要求される代表的な職種です。会社の法務業務には各種法律の深い知識や契約書レビュー力、リスクマネジメントのノウハウが欠かせません。
コンプライアンス推進においても社内規程の整備や教育など、高度な知見と経験が求められます。これらの分野は法律知識も必要になることから、未経験者に任せることが現実的ではありません。また近年はガバナンス強化の一環でコンプライアンス室の新設なども増えており、その立ち上げ経験者や内部監査のプロを招へいするといったニーズもあります。
採用のポイントは、有資格者(弁護士・司法書士など)かどうかだけでなく、実務経験とビジネス感覚を持ち合わせているかを見極めることです。
財務・経理職
財務・経理分野も、専門知識・スキルがものを言う職種としてキャリア採用の対象になりやすいです。
日々の仕訳や月次決算レベルであれば未経験でも教育可能かもしれませんが、連結決算や開示業務、資金調達・資金繰りなど財務領域の仕事は高度な経験が必要です。
企業規模が大きくなればなるほど経理処理は複雑になるため、公認会計士や税理士などの即戦力を中途で迎えることで経理財務部門のレベルアップを図る企業は多くあります。
採用時には、扱っている会計基準、経験した業務範囲などを詳しくヒアリングし、自社ニーズとのマッチ度を判断します。面談時には社内で導入しているツールや業務量、繁忙期などの細かい部分も伝えるように意識しましょう。
キャリア採用を成功させる7つのポイントとは?
キャリア採用の基礎知識や職種別の特徴を踏まえ、ここからは実際に成功させるための具体的なポイントを解説します。
即戦力人材の採用は競争も激しく難易度が高いですが、以下のポイントを押さえて計画・実行すれば、採用成功率を高めることができるでしょう。
①求める人物像を明確に定義する
キャリア採用を始めるにあたって最初にすべきことは、自社が求める人物像(ペルソナ)を具体的に描くことです。どんなスキル・経験・資質を持った人材が必要なのか、採用の目的や背景を踏まえて洗い出しましょう。
ここで重要なのは、条件を盛り込みすぎて理想像が高くなりすぎないようにすることです。要件を詰め込みすぎると該当者が極端に少なくなり、採用が難航します。
■求める人物像の定義例
条件の種類 | 内容例 |
|---|---|
MUST(必須) | 同業界で5年以上の実務経験 |
WANT(歓迎) | マネジメント経験あり |
NG(望ましくない) | 転職回数5回以上 |
また、採用現場と経営陣で理想像がズレないよう、事前に認識合わせをしておくことも大切です。現場の本音として「人柄重視でほしい」「このスキルは必須」などがあるかもしれませんので、各部門へのヒアリングを行いながらペルソナを策定しましょう。
必要に応じて、「こんな人は合わない」というネガティブ要件も共有しておけば選考のミスマッチを減らせます。
②競争力のある待遇を設定する
前述の通りキャリア採用市場は売り手市場であり、優秀な人材ほど複数企業からオファーを得ています。その中から自社を選んでもらうには、提示する待遇や働く環境面で魅力がなければなりません。
求職者は転職先を決める際、仕事内容だけでなく給与・待遇やキャリアを活かせる環境かどうかをシビアに比較しています。したがって、年収水準や役職、福利厚生などで競合他社に見劣りしない条件を用意することが重要です。
■おすすめの待遇設定例
項目 | 内容 |
|---|---|
年収 | 市場相場より10-20%高い水準での提示 |
役職・裁量 | 部長・課長クラスでの採用 |
働き方 | リモート・フレックス制度 |
福利厚生 | 住宅手当・交通費支給 |
キャリア支援 | 専門資格取得支援 |
また、自社で働く魅力を言語化しアピールすることも大切です。単にお金の話だけでなく、「この会社なら成長できる」「社会的意義がある仕事ができる」と感じてもらえるよう、やりがいや企業ビジョンも含めて伝えるようにします。
③適切な採用チャネルを選択する
即戦力人材を効率よく採用するには、適切な採用チャネル(募集経路)選びも重要です。キャリア採用では求人広告に加え、スカウト型(ダイレクトリクルーティング)や社員紹介のリファラル採用など複数の手法を組み合わせるのが効果的だとされています。
優秀な人材ほど自ら積極的に転職活動をしていない「潜在層」であるケースも多いため、待ちの姿勢ではなくこちらからアプローチするチャネルを活用しましょう。
■採用チャネルの比較
採用チャネル | 特徴 | メリット | デメリット | 適用職種 |
|---|---|---|---|---|
人材紹介会社 | エージェント経由での推薦 | 質の高い候補者 | 高い紹介料(年収の30%程度) | 管理職 |
ダイレクトリクルーティング | 企業から直接スカウト | 潜在層へのアプローチ | スカウトのスキルと工数が必要 | ITエンジニア |
転職サイト | 求人掲載での応募獲得 | 母集団形成力 | 競合多数 | 全職種対応 |
リファラル採用 | 社員による人材紹介 | 文化適合性 | 社内制度構築 | 全職種 |
プロフェッショナルSNS | グローバル人材 | 国内普及率が低い | 外資系 |
例えば、短期間で多人数を採用したい場合は転職サイトへの掲載で母集団形成を図りつつ、ピンポイントで欲しい人材がいる場合は人材紹介会社への依頼やダイレクトリクルーティングを検討する、といった具合です。
採用ターゲットや目的によって効果的な媒体は異なりますので、各チャネルの専門性を見極めて選択しましょう。
④選考プロセスを最適化する
優秀な人材を逃さず採用するには、選考プロセス自体の工夫も欠かせません。
特に重要なのが「スピード感」です。中途採用では応募から内定までのスピードが命といわれるほど、迅速な選考が成功の鍵を握ります。求職者は限られた期間で転職活動を行っており、選考の間隔が開けば開くほど先に他社から内定が出て辞退されるリスクが高まります。
■選考プロセス最適化のポイント
書類応募から2~3週間以内で最終面接・内定まで完結させる
面接回数を必要最低限抑える
現場責任者と採用決定者が同席し、一度で採否判断できる体制を作る
選考の連絡や候補者からの問い合わせ対応を迅速に行う
選考スケジュールを事前に伝え、候補者の不安を軽減する
候補者の立場からすると、素早い連絡や丁寧な対応の企業には好印象を受けます。応募後の確認連絡はできるだけ当日〜翌日中に行い、中間フォローもこまめに入れるなど、「温度感」をもって候補者と接することが大切です。
⑤受け入れ体制を整備する
キャリア採用者を迎え入れる社内体制の整備(オンボーディング)も重要なポイントです。
即戦力とはいえ環境が変われば戸惑いもありますから、入社後できるだけ早く戦力化・活躍してもらうための受け入れ施策を用意しましょう。
■受け入れ体制の具体的項目
項目 | 内容 |
|---|---|
入社後研修 | 入社初日から数週間の自社ビジョン・文化説明 |
メンター・OJT担当の配置 | 実務面・人間関係面双方でサポートする専任者の設定 |
役割・期待値の明確化 | 入社者への具体的な期待内容と達成目標の明示 |
社内交流サポート | ランチ会 |
既存社員への事前説明 | 新人の人物像・経歴の共有 |
定期的なフォロー | 入社後1週間の人事面談 |
配属時に役割・期待値の擦り合わせを丁寧に行うことも重要です。入社者が「自分に何が求められているか」を明確に理解できれば、力を発揮しやすくなりますし、逆にそこの認識違いがあるとミスマッチに繋がりかねません。
また、既存社員側の受け入れ意識醸成も重要なポイントです。新たな経験者が入ることで刺激になる反面、「自分たちより待遇が良いのでは」「やり方が違って戸惑う」といった摩擦が起きる可能性もあります。事前に上長からチームメンバーへ説明し、前向きに迎える雰囲気を作るよう努めましょう。
⑥ネガティブな情報も正直に伝える
候補者に対しては、自社の良い面だけでなくネガティブな情報も包み隠さず伝える姿勢が大切です。
人材獲得競争が激しいとつい自社をよく見せたくなりますが、入社後に「聞いていた話と違う」「こんな大変な問題があるなんて知らなかった」となればミスマッチにつながり、早期離職を招きかねません。そうした事態を防ぐためにも、会社の課題点や仕事の厳しさについても正直に共有しましょう。
例えば、「現在〇〇の分野が弱く、入社いただく方にはその立て直しをお願いしたい」「残業が月平均○時間あり、繁忙期は△時間になる」といった現実も伝えます。応募者からすればマイナス情報も事前に知ることで、より現実的で具体的な職場イメージを持つことができ、結果として入社後のギャップが減って定着率向上に寄与します。
ただし、マイナス面を伝えっぱなしにするのではなく、その課題に対して会社がどう取り組んでいるか、今後どう改善しようとしているかも併せて説明するようにしましょう。ネガティブ情報と改善策をセットで伝えれば、候補者にも前向きな印象を持ってもらいやすくなります。
⑦継続的な関係構築を行う
キャリア採用では長期的に候補者とコミュニケーションを取る意識も重要です。
優秀な即戦力人材は今すぐ採用できなくても、将来的に必要になった時のために関係を継続しておく発想が重要になります。
■関係構築の具体的手法
項目 | 内容 |
|---|---|
タレントプールの構築 | 過去の選考者や業界イベントで知り合った人材の継続的なフォローアップ |
リファラル採用の推進 | 社員ネットワークを活用した人材紹介制度の構築と運用 |
アルムナイネットワーク | 元社員との良好な関係維持 |
採用広報の強化 | 自社ブログ・SNSでの情報発信 |
長期的な候補者フォロー | 定期的な近況確認 |
人材確保のためには、過去に接点を持った有望な候補者に定期的にアプローチし続けたり、OB/OGとのネットワークを維持したりといった活動も有効です。いざ欠員や新規プロジェクトで人材ニーズが発生した際に、温めておいた候補に声をかけてスピーディーに採用できる可能性が高まります。
さらに、人材市場全体の動きにアンテナを張り、母集団形成を長期的視野で行うことも重要です。優秀な人材ほど短期間で探し出すのは難しいため、日頃から採用広報や自社ブランディングを強化し、自社に興味を持ってもらえる層を少しずつ増やす努力を続けます。
キャリア採用の成功事例4選
理論だけでなく、実際にキャリア採用で成果を上げている企業の事例をご紹介します。
これらの事例から、成功のヒントを見つけていただければと思います。企業規模や業種を問わず、工夫次第でキャリア採用は成功させることができます。
事例①株式会社Salesforce Japan
Salesforce Japanは、社員による紹介採用(リファラル採用)を強化しました。元々2012年頃から制度は存在したものの一部でしか活用されていなかったため、近年採用人数の拡大と定着率向上を目的に全社的にリファラル採用を推進しました。
具体的には、「○○のポジションが空いているので紹介してほしい」などのメッセージを社内ツールで告知し、経営層からの情報発信も徹底しました。さらに紹介者への旅行券プレゼント等のインセンティブキャンペーンを実施し、社員が自発的に紹介に取り組む仕組みを整えました。
■施策の成果
リファラル経由の採用が増加した結果、社員の離職率が低下し、一人ひとりの生産性も向上しました。
社員が自社にマッチする人材を見極めて紹介するため、ミスマッチが減り定着率向上につながった点がポイントです。また現在では、年間採用人数の約半数を社員紹介で占めるまでに至っています。
参考:HirinGeek「約半数をリファラルで採用するSalesforceの成果を支える「コアバリュー採用」とは」(2023年4年20日)
事例②株式会社SmartHR
クラウド型人事労務システムを販売するSmartHRでは、採用競争の激化に対応すべく、2020年7月に採用広報プロジェクトを始動しています。
それまで人材エージェント頼みだった採用手法を見直し、コーポレートサイト、求人媒体、ダイレクトリクルーティング、イベント、リファラルなどあらゆるチャネルを活用して母集団形成を図りました。
各チャネル・候補者フェーズに応じて最適な情報を提供するよう工夫し、加えて創業当初からの「情報オープン」文化を採用広報に活かして、社内報・社員ブログ・代表メッセージ等を積極的に社外発信しました。オンライン上で「公開雑談」イベントを開催するなどユニークな取り組みも行い、会社の実像や雰囲気を等身大で伝える手法が特徴的です。
■施策の成果
これらの地道な施策により、約1年間で3,700名ものタレントプールを構築する成果を上げました。
従来の課題だった母集団不足を解消し、候補者の裾野を大幅に拡大しています。加えて、社員が自社の魅力を自発的に発信する企業文化が醸成されたことで候補者の共感や企業理解も促進され、年間200名規模の中途採用計画を上場後も順調に達成できています。
参考:HirinGeek「ナイル渡邉が気になる、あの会社の採用広報 #1 SmartHR瀧田成紗氏|採用広報のカギは“カルチャー”を発信すること」(2023年4年20日)
事例③株式会社ワイ・デー・ケー九州
株式会社ワイ・デー・ケー九州は、佐賀県に本社を置く半導体製造装置など産業設備の製造・開発企業です。2021年から大手求人サイト「マイナビ転職」を活用し、従来のハローワーク頼みの"待ち"の採用から母集団を拡大しました。
しかし、応募者増加に伴い日程調整や選考業務の負荷が増大したため、採用プロセスの一部をアウトソーシングすることにしました。マイナビ社のサービス「マイナビ転職Booster」を導入し、応募者の一次スクリーニングや面接日程調整を専門スタッフに代行してもらいました。
このサービスでは、求人票を無料掲載でき、応募者の中から要件に合う人材の推薦や候補者への連絡調整を代行してくれるため、採用担当者は候補者とのコミュニケーションなどの採用コア業務に集中できるようになったのです。
■施策の成果
採用プロセスを一部アウトソーシングしたことで、応募数とマッチング精度が飛躍的に向上しました。
技術職の募集では掲載のたびに複数名の面接候補者が紹介され、Booster導入から現在までに10名以上の採用に成功しています。応募者の質も高まり、電気設計・機械設計など即戦力の理系人材や、総務・経理・調達といった管理部門まで幅広く人材を確保できました。
このアウトソーシングを活用した成功事例は、多くの中小企業が抱える「応募が少ない」「選考プロセスに時間が割けない」という課題の解決策として参考にできるでしょう。
参考:Japan Innovation Review「採用に手が回らない」中小企業を成功に導いた“マッチング重視”の逆転策(2025年6年27日)
キャリア採用を成功させるにはback check
キャリア採用は即戦力人材の確保において大きな効果を発揮する一方で、候補者のスキルや経験のみの評価によって入社後のミスマッチが高まる可能性があります。
特に履歴書や面接だけでは候補者の実際の働きぶりや人柄を十分に把握できないまま採用を決定することで、社風との不適合や早期離職といった課題が生じることも少なくありません。このようなミスマッチを防ぐには、候補者の実際の仕事ぶりや職場での評判を客観的に把握できるリファレンスチェックが効果的です。
back check株式会社では、オンライン完結型のリファレンスチェック・コンプライアンスチェックサービス「back check(バックチェック)」を提供しています。
キャリア採用においてback checkを活用することで、スキルや経験だけでなく候補者の実際の業務遂行能力やコミュニケーション力、チームワーク、リーダーシップなどを客観的に把握することが可能になります。これにより、即戦力人材の採用精度を高めつつ、入社後のミスマッチリスクを大幅に軽減できるでしょう。
優秀な即戦力人材を確保しつつ、早期離職や職場環境とのミスマッチを防ぎたいという企業のご担当者様は、ぜひback checkの導入をご検討ください。


back check magazine 編集部
リファレンスチェック/コンプライアンスチェックサービス「back check」が手がけるコラム「back check magazine」の編集部です。採用担当のみなさまに向けて、役に立つ情報を発信していきます。










