目次通年採用とは通年採用とは、新卒・中途問わず、年間を通して採用活動を行う採用手法のことを指します。中途採用については一般的に、企業が人材不足を感じた時や特定のスキルを持つ人材が必要になったときに、タイミングを問わず募集をかけることが多く、通年採用が既に馴染んでいます。一方で日本における新卒採用は毎年春に新卒社員を大量に採用し、同期入社として一斉に研修や教育を行う文化が根付いてきました。このような一括採用は、長期間の雇用を前提に、ある程度の時間をかけて同期入社者に一括で研修を行えることで、文化や価値観も含めて新卒からじっくりと育成することが出来ますし、年次ごとのキャリアステップの管理もしやすいため、年功序列や終身雇用といった従来の労働慣行と相性が良い手法でした。しかし年功序列や終身雇用が崩壊しつつある昨今、新卒採用においても通年採用を実施する企業が見られるようになってきています。通年採用を実施する企業が増えている背景とは?まずは通年採用を取り入れる企業が増加している背景について説明します。労働人口の減少少子高齢化による労働人口不足は、現在の日本の大きな課題の一つです。ただでさえ労働人口の母数が少ない中で新卒の一括採用では人気企業に人が集中するので、多くの企業が「人が集まらない」という悩みを抱えています。そこで、候補者との接点を増やすため、採用活動の期間を限定せずに通年採用を取り入れる企業が増加しています。通年採用に切り替え、募集対象も新卒者に限らず、第二新卒や既卒にも間口を広げることで、若年層を確保しやすくする狙いがあります。海外大学生や留学経験者の受け入れニーズの高まりグローバル化の影響により海外大学の出身者や留学経験者、および外国人材を積極的に採用する企業が増えていることも、通年採用が増加している背景にあります。海外では新卒も通年採用が一般的であったり、海外の大学の卒業タイミングや留学から帰国するタイミングが日本の一括採用の時期とずれていることもあり、多様な候補者と出会うために採用活動を年間を通して行う企業が増えています。働き方や生き方の多様化現代は情報が溢れ、自分のキャリアや生き方を積極的に選択する人が増えました。もはや転職が当たり前と言っても過言ではない昨今においては、人の動きが非常に流動的です。新卒で入った企業を短期間で退職する第二新卒やヤングキャリアと呼ばれる人々や、従来の「卒業後にすぐ正社員」という道には進まず、卒業後にはまず起業や留学をする人々もいます。彼らが自社に入社したいと興味を持ったタイミングで応募が出来なければ、他社へと流れてしまうでしょう。多様なニーズに応え常に門を開いておくことで業界未経験でも優秀な人材を確保するきっかけとしたい狙いがあります。関連記事:第二新卒の採用方法は?メリット・デメリットや採用のコツを解説!通年採用のメリットここからは通年採用の代表的なメリットを3つご紹介します。様々な候補者と出会うことができる通年採用を導入することによる大きなメリットは、前項で述べたように「さまざまな候補者と出会える」ということです。中途採用の場合、自社の求める優秀な人材がいつ転職に関心を持つか分かりません。通年採用を行っておくことで、各候補者の転職への熱量が高いタイミングで応募できるため、候補者の母数を増やすことが可能です。新卒採用の場合、通年採用により第二新卒・既卒・ヤングキャリアが応募しやすくなりますし、以下のような事情を持つ若手とも出会うことができます。日本の一般的な就職活動とは異なるスケジュールで動いている海外大学生留学に行っており帰国後のタイミングでは新卒募集が締め切られていた学生卒業研究や卒業制作に集中するため、一般的な一括採用の時期よりも早く就職先を決めたい学生卒業研究や卒業制作が終わってから自分のタイミングで就職活動がしたい学生新卒一括採用の場合は大手企業や人気企業と選考スケジュールが重なることで、自社に興味を持ってくれていた学生も、自社の選考に参加できない可能性がありますが、通年採用を行うことで別の日程に参加してくれるでしょう。また、志望していた大手企業には社風に合わず不採用だったものの、優秀な学生も多くいます。大手企業の選考が終わったタイミングでも募集を行っている企業があれば、学生の目に止まる可能性も高くなります。新卒一括採用に比べて、より多くの候補者の中から自社に適した人材を選考することが可能になるでしょう。時間をかけて、慎重に選考を進めることができる通年採用を導入することで、1度の選考に集まる候補者の人数は一括採用に比べると少なくなる傾向にあります。それによって、候補者一人当たりにかけることができる時間が増えるのも通年採用のメリットだと言えるでしょう。自社に適した人材なのかを、ゆとりを持って慎重に判断することが可能になります。結果として採用後のミスマッチ防止や早期離職を防ぐことも期待できるでしょう。内定辞退に素早く対応できる候補者はさまざまな企業の情報を調べ、多くの場合複数の募集に応募をします。接点を多く作り、慎重に選考を進めたとしても内定辞退を100パーセント防ぐことは難しいでしょう。しかし、採用活動の期間を限定せず通年採用を導入することで、内定辞退にも素早く対応することが可能です。採用計画と照らし合わせ、内定辞退により採用予定人数に満たなくなってしまったとしても、柔軟に補完計画を立てることができます。前回の採用プロセスをブラッシュアップし、スムーズな人材補充を進めることができるでしょう。【お役立ち資料】「優秀人材を逃がしてしまう面接担当者3つのNG」通年採用のデメリットここからは通年採用のデメリットと言われる3つのポイントを説明します。 採用活動にかかる時間が長くなるため、採用担当者の負担が大きい通年採用の導入により応募の時期が分散するため、採用活動にかかる時間が長くなり、候補者との対応回数も増えます。その結果採用担当者への負担が大きくなるのは言うまでもありません。スケジュール管理や採用活動の精度を上げるための工夫は必要不可欠ですし、採用担当者が採用活動に専念できるような環境を整えることが望ましいです。採用担当者が別業務を兼務している場合には、社内の協力体制が充実しているかどうかも重要な要素です。採用管理ツールやアウトソーシングなども活用しつつ、採用活動を効率化していきましょう。滑り止め企業のような位置付けとなってしまういつでも採用の門が開いているということを、「いつでも応募できる」ととらえる候補者も一定数いるでしょう。大手企業や人気企業には募集が集中するので、そちらの選考にまずは力を注ぎ、結果によってその後の応募を検討するという候補者も出てくる可能性があります。結果として通年採用をしている企業が「滑り止め」的な位置付けとなり、先に選考を受けた他社に確保されてしまうことで優秀な人材の獲得が難しくなる場合もあります。通年採用を導入する場合には、自社のビジョンを一層しっかりと発信し、候補者に魅力的だと感じてもらえるような工夫に力を入れる必要があるでしょう。採用活動から入社後の教育までを含めて、採用コストが高くなる採用活動が長期化することで、採用にかかるコストは当然高くなります。求人媒体への情報掲載費用や、採用活動に関わる従業員の人件費などは「未来への投資」であり、会社の存続のために欠かせない「利益」は、その時点では一切生まれません。入社後の教育についても新卒一括採用であれば毎年研修も一括で済ませることが可能ですが、随時入社する形式だと都度教育を行うことになります。それにもかかわらず、コストをかけて個別に教育を行ってきた人材が早期離職してしまったり、期待通り活躍してくれない可能性もあります。かけたコストを無駄にしないため、通年採用を導入するならば、採用活動の「精度」と「採用活動のゴールがどこにあるのか」に、より一層こだわらなければならないのです。また、ある程度まとめて研修や教育を行うため、募集は通年で行うものの、入社タイミングは半年に1度、四半期に1度、などと定めている企業もあります。通年採用を成功させる4つのポイント最後に、通年採用を成功させるための4つのポイントについて紹介します。自社に適した人材を獲得するために、自社の課題を分析する漠然と通年採用を導入して出会える候補者数だけが増えても、本当に必要な人材を採用することはできません。まずはどんな人材が自社にとって必要なのか、「求める人物像」をはっきりとさせる必要があります。企業が採用活動を行う根本的な目的とは、企業の存続と発展のためであり、存続と発展に必要なのは「利益」です。利益を生み出すための事業を「推進」したり、事業が抱える問題を「解決」するための方法の一つが採用活動なのだと、今一度理解しなければいけません。現場の声を聞き、自社の現状をしっかりと見つめて課題を分析することで、自社に必要な人材が明確になるでしょう。その上で、多様な人材と出会うことが可能な通年採用を導入することにより、明確な採用基準のもと、精度の高い採用活動を行うことが可能になります。関連記事:採用基準の例とは?新卒・中途採用における採用基準の例や重要性を解説自社のメンバーを巻き込み、受け入れ施策を整える採用担当者がいかに周囲の従業員を巻き込めるかが、通年採用においては非常に重要です。募集ポジションの部署の課題分析、現場の声を吸い上げた上での募集人材モデル設定、同僚社員や上長との面接機会の設定などが、通年採用の場合は年間を通して発生し続けます。採用担当者が現場と良好な関係を築き、協力してもらい易い環境を整えておくことで、現場社員も自分の業務をこなしながらでも前向きに採用活動に協力してくれるでしょう。入社後も、全社的に新入社員をフォローする「オンボーディング施策」をうまく進めることで、早期離職を防ぎ、採用コストが無駄になるリスクを回避できます。関連記事:オンボーディング施策とは?目的や実施方法、成功のための9つのポイントを解説【お役立ち資料】中途入社者の早期活躍を促進し定着率を向上させるオンボーディング実践例自社とのマッチングを意識し、慎重に採用活動を行う通年採用を導入して多くの人材と出会い、多くの時間を投資するからこそ、自社に適した人材なのかどうかを見極めることが非常に大切です。採用後、自社に定着し早期に活躍してくれる人材であるかは、スキルだけではなく人柄や価値観、性格も大いに影響します。しかし応募書類や時間の限られた面接だけで候補者の内面や本質まで見抜くことは容易いことではありません。そこで、これまでお伝えした2つの成功ポイントに加えて、より慎重な採用活動をする上で有効なのが適性検査やリファレンスチェックです。候補者が新卒・既卒で就業歴がない場合、候補者自身に答えさせる適性検査を用いて自社の社風と合う人材であるのか確認すると良いでしょう。第二新卒以降の就業歴がある候補者の場合、候補者の前職での仕事ぶりや経歴、人柄や価値観について、上司や同僚に調査するリファレンスチェックを活用すると良いでしょう。どのようなキャラクターなのか、どのような環境で成果を出し易いのかなどをヒアリングし、自社とのマッチングについて第三者的な意見を加えて検討することが可能になります。通年採用を行っていることをアピールする近年の転職市場、就活市場は売り手市場です。自社のホームページの求人ページに通年採用をしていることを記載し、待つだけでは求職者に届かない可能性があります。さまざまな採用手法や媒体を通じて通年採用を行っていることをアピールしていきましょう。関連記事:【2024年最新版】採用方法・種類18選!中途・新卒採用のトレンドも紹介また、新卒採用の場合、従来の一括採用の存在しか知らず、通年採用を知らない学生もいるでしょう。その場合、そもそも就活シーズンが近づくまで就活サイトなどの求人媒体にアクセスもしない可能性があります。学生がよく利用するSNSに広告を出稿したり、アカウントを作成して普段の働く様子や通年採用、インターンシップなどを行っていることを投稿したりと、学生の目に止まる活動を行っていくと良いでしょう。以上の4点を意識して取り入れることで、未来への投資に見合うだけの成果を得る可能性を高めることができるでしょう。リファレンスチェックならback check通年採用のメリットとデメリット、成功のためのポイントについて解説してきました。通年採用では多様な人材と多く出会えるメリットがある反面、かかるコストが高くなる可能性が高いです。かけたコストを無駄にしないよう、ポイントおさえて採用活動を行い、人材の見極め精度を高め、自社にとって適切な人材を採用しましょう。第二新卒以降の就業歴がある候補者の選考においてはリファレンスチェックをうまく活用することで、自社に適した人材を選考する精度を高めることができます。株式会社ROXXが提供するオンライン完結型のリファレンスチェックサービス「back check(バックチェック)」であれば、候補者の情報を登録するだけで安価にレポートを取得することができるため、コストの増加を抑えつつ採用精度を高めることが可能です。通年採用の導入に欠かせない「採用活動の精度向上」を解決できるback checkの導入を、この機会にぜひご検討ください。