ワークサンプルテストとは?メリット・デメリット、導入手順を職種別の例題とともに徹底解説
人材不足により売り手市場の傾向が強まるなかで、早期離職によるコスト増や即戦力人材の不足に悩む企業が増えています。その背景には、採用時のミスマッチが原因となっているケースも少なくありません。
本記事では、実務に近い課題を通じて候補者のスキルやカルチャーフィットを見極める「ワークサンプルテスト」について解説します。メリット・デメリットはもちろん、職種別の具体的事例や導入ステップまでを徹底的にご紹介します。他社事例の流用ではなく、自社ならではのワークサンプルテストを導入するポイントを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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本資料は、back checkの概要説明から、特徴、実績まで網羅された内容です。従来の採用手法以外の方法で面接の精度を上げたい、採用ミスマッチを防ぎたいという採用担当者さまにおすすめです。

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目次
- ワークサンプルテストとは
- ワークサンプルテストの概要
- ワークサンプルテストが注目される背景
- ワークサンプルテストを導入する4つのメリット
- 実務レベルを確認できる
- 候補者に業務のイメージを伝えられる
- 面接時間を有効活用できる
- 候補者の動機付けにつながる
- ワークサンプルテスト導入のデメリット
- 採用工数の増加
- 受け入れ現場の負担
- 候補者の応募減少リスク
- 【職種別】ワークサンプルテストの例題6選
- ①営業
- ②ITエンジニア
- ③マーケティング
- ④デザイナー
- ⑤製造職
- ⑥人事
- 【6ステップ】ワークサンプルテストの導入方法
- ステップ①採用ターゲットを明確にする
- ステップ②テスト内容を検討する
- ステップ③評価の方法・基準を明確にする
- ステップ④実施タイミングを決定する
- ステップ⑤テストを実施する
- ステップ⑥候補者へのフィードバックを行う
- ワークサンプルテストの導入で避けるべき3つのポイント
- 他社のテストをそのまま取り入れる
- テストの難度を高くしすぎる
- ワークサンプルテストの結果だけで合否を決める
- 【事例紹介】ワークサンプルテストの導入事例3選
- 事例①株式会社kubell
- 事例②ラクスル株式会社
- 事例③株式会社アッテル
- 採用精度をさらに向上させるならback check
ワークサンプルテストとは

ワークサンプルテストとはどのような採用手法なのでしょうか。こちらでワークサンプルテストの基本的な内容について解説していきます。
ワークサンプルテストの概要
ワークサンプルテストとは、実際の業務を想定したテストを実施する採用選考の手法です。職務能力をチェックするための最善の手法の一つとされています。
Googleの元人事担当上級副社長であるラズロ・ボック氏は著書『ワーク・ルールズ!』(※1)の中で、ワークサンプルテストは29%の予測力を持ち、構造化面接(26%)や一般認識能力テスト(26%)よりも高い効果があると述べています。
※1 ラズロ・ボック著『ワーク・ルールズ! ―君の生き方とリーダーシップを変える』東洋経済新報社、2015年
ワークサンプルテストでは主に以下のようなスキルを評価できます。
技術スキル
ソフトスキル
認知能力
問題解決スキル
注意深さ
より実務に近い形式でテストを行うことで、候補者の実力や入社後の活躍イメージを理解することが可能です。
ワークサンプルテストが注目される背景
ワークサンプルテストは、もともとジョブ型採用が主流の欧米で広がりを見せていました。近年は日本でもジョブ型採用が浸透しつつあり、それと共にワークサンプルテストの活用を検討する企業が増えています。
特に新卒採用においてワークサンプルテストのニーズが高まっており、オンラインで完結できるものが求められるようになりました。
また、マーケティング職や企画職、ソリューション型の営業職など、高い水準の問題解決能力が求められる職種ではワークサンプルテストの導入傾向が高い点も特徴です。
このように、候補者のスキルを正確に見極めるための有効な手段として、ワークサンプルテストは日本でも徐々に注目され始めています。
ワークサンプルテストを導入する4つのメリット
ワークサンプルテストは企業・候補者双方にとって多くのメリットがあります。主な4つのメリットについて詳しく解説します。
実務レベルを確認できる
ワークサンプルテストの最大のメリットは、候補者の実務スキルを客観的に評価できる点です。面接だけでは見えにくい実践的な業務遂行能力を、実際の業務に近い課題を通じて測定することができます。
たとえば、エンジニア職であれば実際にコードを書いてもらうことで、コーディングスキルやロジカルシンキング能力を直接評価できます。営業職であれば、提案資料の作成や模擬商談を通して、提案力やコミュニケーション能力を確認することが可能です。
これにより、「面接では良かったのに実務能力が思ったより低かった」というミスマッチを大幅に減らすことが期待できます。
関連記事:【面接官として押さえておきたい】面接する側のポイントや心得を事前準備から面接後まで徹底解説
候補者に業務のイメージを伝えられる
ワークサンプルテストは、候補者に「入社後どのような業務を行うのか」を具体的にイメージしてもらう機会にもなります。実際の業務に近い課題に取り組むことで、候補者は入社後の仕事内容や求められるスキルを事前に把握することができるのです。
これにより候補者は、その企業・職種が自分の希望するキャリアパスと合致しているかを判断できるので、早期離職の防止にも繋がります。特に中途採用では、前職との業務の違いを事前に認識してもらうことが重要です。
関連記事:早期離職の解決策はある?早期離職を解決・改善する方法を解説
面接時間を有効活用できる
通常の面接では、候補者のスキルレベルを口頭で確認するため多くの時間を要します。
しかし、ワークサンプルテストを事前に実施することで、面接ではテスト結果を基に具体的な質問や議論ができるためより深い対話が可能になります。
たとえば「なぜこのような解決策を考えたのか」「別のアプローチを検討したか」など、思考プロセスや意思決定の背景に踏み込んだ質問が可能です。
これにより限られた面接時間をより有効に活用し、候補者の適性をより正確に判断できるでしょう。
候補者の動機付けにつながる
良質なワークサンプルテストは、候補者の企業への興味や入社意欲を高める効果もあります。実際の業務内容に触れ、社員と協働する機会を通じて、候補者は企業文化や仕事の魅力を体感します。
面接だけでは伝わりにくい「この会社で働く具体的なイメージ」を持ってもらうことで、内定後の辞退率低下にも繋がる点もポイントです。実際、ワークサンプルテストを導入している企業の多くは、候補者からのポジティブなフィードバックを得ています。
ワークサンプルテスト導入のデメリット

ワークサンプルテストには多くのメリットがある一方で、導入にあたって考慮すべきデメリットも存在します。以下で主な3つのデメリットを解説します。
採用工数の増加
ワークサンプルテストを実施することで、採用プロセス全体の工数が増加します。テストの設計・準備、実施、評価のそれぞれの段階で人的リソースが必要となるでしょう。
特に以下の点で工数が発生します。
テスト内容の設計や準備資料の作成
テスト実施中の管理やサポート
提出物の評価や面接の振り返り
中小企業や採用担当者のリソースが限られている企業では、この追加工数が大きな負担となる可能性があります。採用数が多い場合は特に影響が大きく、効率的な運用方法を見出すことが必要です。
受け入れ現場の負担
ワークサンプルテストは、実際の業務に近い課題を設定・評価するため、採用担当だけでなく現場の社員も関与することが多くなります。これにより現場の社員には様々な負担がかかる点もデメリットです。
まず、課題内容の考案や設計には、採用部署の現場の意見が欠かせません。また、テスト実施時には立ち会いやサポートが必要となり、現場社員の時間を取ることになります。さらに、提出された成果物の評価や候補者へのフィードバックも現場社員が担当することが多く、これらの業務は通常の職務に加えて発生するものです。
繁忙期やプロジェクトの山場と重なると、現場の社員は通常業務とワークサンプルテストの両立に苦労することがあります。そのため、事前に現場のスケジュールを考慮した計画が必要です。
候補者の応募減少リスク
ワークサンプルテストを実施すると、選考プロセスが長期化したり、候補者の負担が増加したりする可能性があります。これにより様々な問題が生じる可能性があるのです。
たとえば、候補者がワークサンプルテストを実施していない他社の選考を優先してしまうことがあります。また、多忙な優秀人材が選考の手間から脱落してしまうケースも少なくありません。
特に売り手市場の環境では、候補者は複数の企業から内定を得られる可能性が高いため、選考プロセスが長いと敬遠されがちです。テストの実施時間や難易度は、候補者の負担を考慮して適切に設計する必要があります。
【職種別】ワークサンプルテストの例題6選
ここでは、職種ごとに効果的なワークサンプルテストの具体例を紹介します。自社の採用活動に合わせて参考にしてください。
①営業
営業職のワークサンプルテストでは、コミュニケーション力や顧客への提案力、問題解決能力を評価できる課題が効果的です。
テスト名 | 内容 | 形式 | 評価ポイント |
|---|---|---|---|
トークスクリプト作成 | 見込み顧客への最初のアプローチを想定し、「初回の電話や訪問での話し方」を短いスクリプト形式で作成 | メールやチャットツールなどで提出 | コミュニケーション力、サービスや商品価値を的確に伝える表現力 |
提案資料作成+プレゼン | 架空の課題(売上が伸び悩んでいる飲食店など)を提示し、その課題を解決するための営業提案書を作成・10分程度のプレゼンを実施 | 事前に資料作成し、プレゼンは対面またはオンラインで実施 | 課題整理力、提案内容のロジック、プレゼンテーション能力 |
ロールプレイ | 顧客の業種・抱えている課題を詳細に設定し、商談の進め方をロールプレイ形式で実施 | 対面またはオンラインで実施 | 顧客理解、ヒアリング力、質疑応答への的確な対応力、契約クロージングの進め方 |
②ITエンジニア
ITエンジニア職はワークサンプルテストを組みやすい職種です。コーディングスキルだけでなく設計能力や問題解決アプローチも評価できます。
テスト名 | 内容 | 形式 | 評価ポイント |
|---|---|---|---|
簡単なプログラム修正 | バグのあるサンプルコードを提示し、誤りを修正して動作を改善する | オンラインテストプラットフォームまたはペーパーテスト | 基礎的なプログラム理解、バグ発見・修正能力 |
小規模アプリケーションの実装 | ToDoリストやブログ投稿など、基本的なCRUD機能を持つミニアプリを作成 | 数日かけてソースコードと簡単な使用方法のドキュメントを提出 | 設計力、コーディングスタイル、基礎的なセキュリティ対策・保守性 |
要件定義から実装までのミニプロジェクト | ビジネス要件(例:在庫管理システムの一部機能)を整理し、要件定義書→基本設計→実装までを簡易的に行う | 数日~1週間かけて成果物(ドキュメント+コード)を提出し、プレゼン・質疑応答を実施 | 要件定義力、設計の整合性、チーム開発を想定したコード品質 |
③マーケティング
マーケティング職のワークサンプルテストでは、データ分析能力や戦略立案スキル、創造性などを評価します。実際の案件を想定してテストを設計しましょう。
テスト名 | 内容 | 形式 | 評価ポイント |
|---|---|---|---|
簡易アンケート分析 | 5問程度の顧客アンケート結果(数値のみ)を提示し、そのデータから得られる示唆をまとめる | レポート提出 | 基本的なデータ読み取り能力、分析結果の言語化スキル |
ペルソナ設定&施策立案 | 新商品のターゲットとなるペルソナを設定し、そのペルソナに響く広告施策やチャネル戦略を提案 | スライドまたはレポートで提出 | ターゲット分析、マーケティングフレームワークの活用、施策の具体性 |
ランディングページ改善案の作成 | 現状のLPスクリーンショットや文章を提示し、CVR向上のための改修案を具体的に提案 | 書面提出+質疑応答 | UI/UX視点、コピーライティング、マーケティング観点から見た説得力 |
④デザイナー
デザイナー職は候補者のポートフォリオを見ればどの程度の実力を持っているか知ることができるでしょう。デザイナー職のワークサンプルテストでは、課題発見能力や提案力などを中心に評価することをおすすめします。
テスト名 | 内容 | 形式 | 評価ポイント |
|---|---|---|---|
既存デザインの改善提案 | 既存のチラシやバナーを見せ、「どこをどう改善すると良いか」を口頭で簡潔に説明 | 面談時に口頭説明 | デザインの課題発見力、説明のわかりやすさ |
Webページのモックアップ作成 | 1ページ構成のLPモックアップを作成(ワイヤーフレームでも可) | デザインツール(Figma, XDなど)で提出 | 情報整理、ユーザビリティ、ブランドイメージの統一 |
Webデザインコンセプト提案 | 新規サービスサイト(トップページ+下層2ページ程度)のビジュアルデザイン案を提出し、コンセプトを説明 | デザインツール+プレゼン | 世界観の表現力、全体レイアウト、ユーザー導線設計、デザインの再現性 |
⑤製造職
製造職のワークサンプルテストでは技術的な実力だけでなく、改善提案能力や細部への配慮も評価が可能です。職種に合わせて求められる能力が変わるので、テストの内容を複数用意すると良いでしょう。
テスト名 | 内容 | 形式 | 評価ポイント |
|---|---|---|---|
図面の簡易チェック | 簡単な機械部品の図面を提示し、「寸法記入漏れ」や「図面記号の誤り」を見つける | 紙ベースまたはPDFで提出 | 図面の基礎理解、注意力、製造工程の基本知識 |
CAD演習(2Dまたは3D) | 指定された形状をCADで作図し、寸法を入れて提出 | CADソフトでの実技(画面共有などでも可) | CAD操作スキル、図面作成ルールの理解、精度 |
製造ライン改善提案 | 現状の簡単な製造ラインフロー図を渡し、ボトルネックや無駄を見つけて改善提案をする | レポート提出+質疑応答 | 工程分析力、改善案の実現性、コスト意識 |
⑥人事
人事は採用や人材育成、組織課題の解決など業務の振り幅が大きく変わります。自社の求める業務に焦点を合わせたテストを作るようにしましょう。
テスト名 | 内容 | 形式 | 評価ポイント |
|---|---|---|---|
採用面接質問リストの作成 | エントリーシートや応募情報を元に、候補者に対してどんな質問をするかリストアップ | ペーパーテストまたは書面で提出 | 目的の明確化、ヒアリングポイントの整理、基本的なコミュニケーション力 |
採用プロセス改善提案 | 現状の採用フロー(書類選考→一次面接→最終面接など)を提示し、ボトルネックや改善策を提案 | レポート提出+質疑応答 | 課題発見力、改善施策の現実性、採用KPIへの理解 |
組織課題のケーススタディ解決 | 離職率が高い、部門間のコミュニケーションが不足しているなどのケースを提示し、人事施策でどう解決するかのプランをまとめる | プレゼン資料提出+ディスカッション | 組織診断力、施策の具体性、関係部署との連携案 |
【6ステップ】ワークサンプルテストの導入方法
ここではワークサンプルテストを効果的に導入するための6つのステップを解説します。より精度の高いワークサンプルテストを実施するためにも、それぞれのステップをぜひ参考にしてください。
ステップ①採用ターゲットを明確にする
ワークサンプルテスト導入の最初のステップは、「どのような人材を採用したいのか」という採用ターゲットを具体的に定義することです。
まず、募集するポジションの職務内容を確認し、その業務を遂行するために必要なスキル、知識、経験を明確に洗い出します。スキル面だけでなく、自社の企業文化や価値観に合致するか、チーム内で良好な関係を築き協力して業務を進められるかといった、人物面の要件も具体化することが重要です。
採用に関わる人事担当者だけでなく、配属予定部署のマネージャーやメンバーとも綿密にすり合わせを行い、関係者間での共通認識を形成することをおすすめします。既存の職務記述書があればそれを活用し、なければこの機会に作成・見直しを行うと良いでしょう。
ステップ②テスト内容を検討する
採用ターゲットと評価すべき要件が明確になったら、次にそれらを具体的に測るためのテスト内容を検討します。テストの形式は、評価したい内容や候補者の負担、選考フローなどを考慮して選択しましょう。テストの主な形式には以下のようなものがあります。
■テストの出題形式例
実技テスト
プレゼンテーション
ロールプレイング
グループワーク
課題提出
課題の内容はできるだけ実際の業務に近いもの、あるいは業務の一部を切り出したものにすることが重要です。課題に取り組む上で必要な資料・データや使用するツールは事前に明確にし、準備または指示を行いましょう。
ステップ③評価の方法・基準を明確にする
続いて、ワークサンプルテストを正しく評価するために、明確な評価基準と評価方法を定めます。これにより評価者による主観的なブレを最小限に抑え、客観的で公平な評価が可能になります。
まず、ステップ①で定義した採用ターゲットの要件に基づき、「何を」「どのように」評価するのか、具体的な評価項目を設定しましょう。次に、各評価項目について、具体的な評価段階(例:S/A/B/C/D、5段階評価など)とその判断基準を詳細に記述した評価シートを作成します。
評価方法・評価基準を設定する際には以下の内容に注意してください。
■評価のポイント:
評価項目を具体的に記述する
評価シートを作成して文書化する
評価のレベル(ABCなど)を明確に分ける
評価の目線合わせを行い評価のブレを無くす
評価基準の概要は候補者にも事前に伝えておくことをおすすめします。事前に内容を共有することで、何を期待されているかを理解しやすくなり、より的確なアウトプットに繋がる可能性があります。
ただし、細かすぎる評価基準を伝えるとかえって候補者の本来の実力を見えにくくする可能性もあるため、評価基準を伝える範囲はよく考えましょう。
ステップ④実施タイミングを決定する
ワークサンプルテストを採用選考プロセスのどの段階で実施するかは、その効果や候補者・企業双方の負担に大きく影響します。
主な実施タイミングと、それぞれのメリット・デメリットは以下の表の通りです。
実施タイミング | メリット | デメリット |
|---|---|---|
書類選考後 | ・候補者のスキルを早期にスクリーニング可能 | ・企業側の評価工数が大きくなる |
一次面接後 | ・ある程度絞られた候補者に対して実施できるため、工数と負担のバランスが良い | ・早期スクリーニング効果は限定的となる |
最終面接と同時 | ・評価工数を最小限に抑えられる | ・この段階でスキル不足が判明すると、それまでの選考が無駄になる可能性がある |
どのタイミングが最適かは、企業の採用戦略、募集職種、候補者のレベル、選考のスピード感、かけられる工数などによって異なります。
たとえば、高度な専門スキルが必須の職種であれば早期の実施が有効ですし、ポテンシャルやカルチャーフィットをより重視する場合は、面接で人物面をしっかり見極めた後の方が良い場合もあるでしょう。
ステップ⑤テストを実施する
ここまでの計画に基づき、ワークサンプルテストを実施します。候補者が安心して実力を発揮して企業側が正確に評価を行うには、事前の準備と当日の対応が重要になります。
候補者に対しては、事前にテスト実施の目的、課題の概要、所要時間の目安、評価のポイントなどをメール等で明確に伝達しましょう。不明点がないか確認し、不安を取り除くよう努めてください。
当日は、開始前に改めてテストの目的や流れを説明し、質疑応答の時間を設けます。候補者がリラックスできるよう、アイスブレイクを取り入れたり、穏やかな口調で接したりする雰囲気作りも大切です。
ステップ⑥候補者へのフィードバックを行う
ワークサンプルテストの実施後は、設定した評価基準に基づいて評価を行い、その結果を候補者へフィードバックします。
効果的なフィードバックを行うためには、以下の点を意識すると良いでしょう。
■具体的にフィードバックする内容の例
評価結果/合否を明確に伝える
良い点と改善点を具体的に伝える
自社の評価基準と照らし合わせて結果を伝える
工夫したことや頑張った点などを候補者へ質問をする
フィードバックの方法は、次の面接の場、合否連絡と同時(メールや電話)、あるいは別途オンライン等でフィードバック面談を設定するなど、選考フローや工数に応じて検討します。タイミングとしては、可能な限り早く行うことが望ましいです。
フィードバックは単なる結果通知ではなく、候補者との良好な関係を築くための重要なコミュニケーションと捉えて取り組みましょう。また、候補者への真摯な対応は、候補者による好意的な口コミに繋がる可能性もあります。
ワークサンプルテストの導入で避けるべき3つのポイント
ワークサンプルテストは採用ミスマッチを防ぐ強力なツールですが、その導入や運用方法を誤るとかえって採用活動に悪影響を及ぼしかねません。ここでは、多くの企業が陥りやすい3つのポイントと、それらを回避するための考え方について解説します。
他社のテストをそのまま取り入れる
他社がワークサンプルテストで成功していると聞くと「同じような課題を使えば、自社でもうまくいくのでは?」と考えがちです。しかし、そのテスト課題をそのまま自社に取り入れても上手くいかない場合があります。
企業ごとに求める人材像、具体的な業務内容、企業文化はさまざまです。他社のニーズに合わせて作られた課題では、自社が本当に見極めたいスキルや特性を正確に測定できない可能性が高いのです。
他社の事例はあくまでヒントとして捉え「自社の場合はどうだろうか?」と考えながらテストを作成するようにしましょう。自社ならではのオリジナルのワークサンプルテストを作成することが、本当に自社にマッチする人材を見極めるための重要な鍵となります。
テストの難度を高くしすぎる
「優秀な人材を採用したい」「候補者の本当の実力をしっかりと見極めたい」という想いが強くなるあまり、ワークサンプルテストの課題の難易度をつい高く設定してしまう、というのもよく聞く話です。
候補者のレベルに対して必要以上に難易度の高い課題は、候補者にとって大きな負担となります。また、テストの難度を上げすぎると、本来であれば自社で活躍できたはずの優秀な人材を、選考の初期段階で逃してしまうことになりかねません。
このような事態を避けるためには、採用ターゲットのレベルを考慮した適切な難易度設定が不可欠です。可能であれば、導入前に自社の社員に課題を試してもらい、所要時間や難易度が適切かどうかを確認してみましょう。
ワークサンプルテストの結果だけで合否を決める
ワークサンプルテストは候補者のスキルレベルを客観的な形で評価できるため、その結果で合否を決めればいいと考えるかもしれません。しかし、ワークサンプルテストで測定できるのは、候補者が持つ能力や資質の一部分のみです。
候補者の人柄、チームへの適応性、ストレス耐性、仕事への価値観などはテストだけでは測りきれません。多面的な要素を見落としてしまうことは、採用のミスマッチを起こす要因となりかねないでしょう。
ワークサンプルテストで得られた評価はあくまで判断材料の一つとして捉え、面接での対話を通じて得られる情報を組み合わせて候補者を評価する視点を持つようにしましょう。
【事例紹介】ワークサンプルテストの導入事例3選
実際にワークサンプルテストを導入し、採用活動に活かしている企業の事例を3つご紹介します。各社がどのような目的で、どのような工夫を凝らしてテストを実施しているのかを見ていきましょう。
事例①株式会社kubell
国内利用者数No.1のビジネスチャット「Chatwork」を提供する株式会社kubellは、候補者と企業の相互理解を深め、入社後のミスマッチを防ぐことを大きな目的としてワークサンプルテストを活用しています。
最終面接前に「1日体験入社」という形でワークサンプルテストを実施し、単に候補者のスキルを評価するだけでなく、既存社員と交流する機会を重視している点が特徴です。
■株式会社kubell ワークサンプルテスト事例
項目 | 内容 |
|---|---|
実施タイミング | 最終面接前(2次面接後) |
形式 | 1日体験入社 |
主な内容 | ・配属予定部署が実際に抱えている課題に取り組み、解決策をプレゼンテーション |
評価ポイント | ・課題解決能力、論理的思考力、アウトプットの質 |
このワークサンプルテスト導入により、株式会社kubellでは内定辞退率や入社後の早期離職率が低下し、採用ミスマッチが大幅に減少したという顕著な効果が報告されています。
単なる課題提出やスキルチェックに留まらず、候補者が実際の職場環境や社員の雰囲気に触れる機会を意図的に設けている点がポイントです。ランチタイムなどインフォーマルな交流の場は、候補者がリラックスして本音で質問したり、社員の生の声を直接聞いたりする貴重な機会となり、企業と候補者双方の理解促進を深めています。
参考:社員満足度日本一のChatworkが、体験入社を行う3つの理由とは?
事例②ラクスル株式会社
ラクスル株式会社は、印刷・広告のシェアリングプラットフォーム「ラクスル」や物流プラットフォーム「ハコベル」などを運営する会社です。
自律的に課題を発見し解決していける人材を求め、2015年という比較的早い段階からワークサンプルテストを導入しています。
■ラクスル株式会社 ワークサンプルテスト事例
項目 | 内容 |
|---|---|
実施タイミング | 一次面接後(二次面接相当の位置づけ) |
形式 | ・ビジネス職:半日程度のワークショップ形式(個人ワークでのリサーチ・企画、社員へのプレゼン、社員とのディスカッション) |
主な内容 | ・ビジネス職:「世の中にあるサービスを選んで、テレビCM戦略を考えてください」など、実際のビジネスに近い思考を問う課題 |
評価ポイント | ・課題解決能力、論理的思考力、分析力、企画力・仕事の進め方、思考プロセス |
ワークサンプルテストの導入により、ラクスルでは以前発生していた入社後のミスマッチが著しく減少しました。
募集する職種の特性に合わせて、テストの形式や課題内容を最適化しているところが特徴です。また、評価においては候補者の潜在的な能力やチームでの協調性など、多面的な側面を見極めるために、課題への取り組み方やディスカッションでの対話を重視しています。
参考:ラクスル、FiNCが実践する「採用ミスマッチ」への予防策・対処法
事例③株式会社アッテル
AIを活用した人事管理サービス「アッテル(Attuned)」などを提供する株式会社アッテルは、創業当初からワークサンプルテストを採用プロセスに導入しています。
職務能力を予測する上でワークサンプルテストが有効であるという科学的な研究結果に基づき、採用の見極め精度を高めています。
■株式会社アッテル ワークサンプルテスト事例
項目 | 内容 |
|---|---|
実施タイミング | 選考プロセスの中盤~後半 |
形式 | ・職種に応じた課題遂行 + 社員とのディスカッション |
主な内容 | ・ビジネス、エンジニア、デザイナー、コーポレート部門など、各職種の実務に関連する課題 |
評価ポイント | ・職務遂行能力、問題解決能力、思考プロセス |
アッテルはワークサンプルテストによって採用精度が高まっていると実感されており、「スキルは高いが自社の文化には合わない」といったミスマッチを事前に防ぐ効果が確認されています。
大きなポイントは、候補者の同意の上でテストやディスカッションの様子を録画し、それを複数の評価者で確認・評価するという手法です。複数人で評価を行うことで個人の主観やバイアスを低減し、評価の客観性と公平性を担保できる内容となっています。
参考:株式会社アッテルが創業当初からワークサンプルテストを導入している理由 ~業務スキルの見極めに役立つ、だけじゃない!~
採用精度をさらに向上させるならback check
ワークサンプルテストは候補者の実務スキルを客観的に評価し、入社後のミスマッチを防ぐ効果的な手法であることがわかります。
しかし、ワークサンプルテストだけで候補者の全てを見極めることはできません。たとえば、前職での実績・評価、性格や嗜好性、職場の人との関係性、人柄などは、テストでは十分に把握できないでしょう。こうした情報を補完し、客観的な視点も踏まえ総合的に候補者評価を行うためにはリファレンスチェックの併用がおすすめです。
back check株式会社では、オンライン完結型のリファレンスチェックサービス「back check(バックチェック)」を提供しています。
back checkでは、候補者と一緒に働いたことがある上司・同僚から客観的な評価を得ることで、候補者の実際の働きぶりをより把握することが可能となります。
また、ワークサンプルテストと併用することで、実務能力と人柄や働き方、実績を第三者の視点から検証し、採用の精度をさらに高めることも期待されます。
候補者のスキルや知識だけでなく、社風や企業文化とのマッチ度を多角的に判断したいご担当者さまは、ぜひback checkの導入をご検討ください。


back check magazine 編集部
リファレンスチェック/コンプライアンスチェックサービス「back check」が手がけるコラム「back check magazine」の編集部です。採用担当のみなさまに向けて、役に立つ情報を発信していきます。


