目次中途採用とは中途採用とは、他社での就業経験がある人材を企業が採用する事です。「業務経験が〇年以上であれば中途採用」など明確な基準はないため、一度でも就業経験があれば「中途採用」の対象です。そのため、年齢であれば20代前半から60代まで幅広い層が「中途採用」の対象となり、これまで積んできたキャリアも多種多様です。終身雇用制度が前提ではなくなりつつある昨今では、中途採用比率を高めている企業も多くあります。少子化が進み、平均寿命が伸びている中、政府も中途採用の拡大を図る事業主への助成制度を設けるなど中途採用の環境整備を推進しています。参考:中途採用・経験者採用|厚生労働省新卒採用との違い新卒採用とは、大学・大学院など最終学歴を卒業してからおおむね3年以内、かつ他社での就業経験がない人材を対象とする採用です。中途採用と異なる大きなポイントは、この「就業経験の有無」にあります。新卒採用はポテンシャル・人柄・熱意・やる気を重視してカルチャーフィットする人材を採用するのに対し、中途採用はカルチャーフィットも踏まえつつ、経験・実績・知識・資格など即戦力となるスキルも重視して採用が行われます。関連記事:カルチャーフィットとは?カルチャーフィットを選考に利用する際のポイントまた、新卒採用は、一般的には「広報解禁日である3月1日から翌年4月の入社日まで」の約1年が採用活動期間になりますが、中途採用はいつでも実施できます。採用ニーズが発生するタイミングで必要な人材を募集することとなります。採用コスト面では、中途採用が紹介やヘッドハンティングなどコストを抑えた採用手法も取れることに対し、新卒採用はほとんどの場合大手採用サイトやスカウトサイトへの掲載料が必要になります。既卒・第二新卒は新卒?中途?就業経験のない既卒・フリーターやニートなどの候補者は、新卒採用枠でも中途採用枠でも雇用できます。しかし、新卒採用枠の場合、おおむね20代前半までを対象とするのが一般的です。政府としては少なくとも卒業後3年以内は新卒採用枠として応募を受け付けるようにと指針を出しています。他の新卒と同じ立ち位置で教育・研修を受けることになるため、ある程度「同期」として横のコミュニケーションがしやすい人材であれば、新卒として雇用して問題ないでしょう。参考:3年以内既卒者は新卒枠で応募受付を!!|厚生労働省反対に、第二新卒の場合は基本的に中途採用枠で雇用します。「前職を1ヶ月で辞めてしまった」など特別な事例を除き、基本的には最低限のビジネスマナー程度に関しては備わっている可能性が高いです。中途として雇いつつ、早めに現場でのOJTに参加させるなど教育手法を工夫すれば、戦力になってくれるまでの時間を短縮できます。関連記事:第二新卒の採用方法は?メリット・デメリットや採用のコツを解説!中途採用のメリットここからは、中途採用のメリット・デメリットを解説します。まずは中途採用のメリットからチェックしてみましょう。即戦力となる人材を雇用できる中途人材は既に他社で実績・経験を積んでいることが多く、自社で必要とされるスキルセットにマッチする人材であれば、入社後即戦力として稼働が可能です。例えば「前職でトップセールスとして働いていた人材が自社に入って契約件数を大幅に伸ばしてくれた」「類似するプロジェクトに参画した経験の多いエンジニアが、自社ソリューションの開発で大いに貢献してくれた」などの成功事例を持つ企業は少なくありません。自分が持つスキルを最大限に活かせるため、転職者の満足度も高くなる傾向があります。「スキルを活かして会社の成長を後押ししてもらえる」「スキルを活かせるから社内で高く評価してもらえる」という、両者win-winの関係性を構築できるのもメリットです。関連記事:【優秀な人材の見極め方!】即戦力になる中途採用者に共通する特徴自社にはないノウハウやナレッジを吸収できる他社経験が長い人材を中途採用することにより、自社にはないノウハウやナレッジを吸収できます。外からの風を入れることで業務の効率化に繋がったり、イノベーションが起こることも多く、これまでひらめかなかったアイディアや可能性が次々に出てくるかもしれません。また、持ち込まれた技術を応用して新たなソリューションを開発したり、ナレッジをもとに新人教育を行い戦力化するなど、さまざまな波及効果が考えられます。そのため、「自社だけでは成長の限界がある」と感じ始めた企業にこそ中途採用がおすすめです。固定化してしまった考え方から脱却するきっかけになる可能性があります。教育コストを削減できる中途人材は既に基本的なビジネスマナーを習得していることが多く、新卒採用と比べて教育コストを削減できます。最低限のオンボーディングとOJTだけで効率よく稼働できたり、新卒採用者ほど多くの研修プランを用意しなくてよいのがメリットのひとつです。同業他社で働いていた経験のある人材であれば業界知識も持っており、さらに即戦力となるまでのタイムラグを短縮できます。中途採用のデメリット中途採用は多くのメリットがある一方でデメリットがあるのも事実です。ここでは中途採用の主なデメリットを紹介します。若手の成長や自社文化の醸成を阻害する可能性がある上の役職に中途採用者ばかりを任命してしまうと、新卒や若手の、チャンスや昇進の機会が奪われることとなり、モチベーションの低下を招く可能性があります。既にスキルと経験のある中途採用に依存しすぎるあまり、若手が育たないことのないよう、若手育成とのバランスを取る必要があります。社内の年齢層や経験値が偏りすぎないよう、10年・20年先のことも考えた人事戦略を考えていく必要があります。また、多種多様な背景を持った中途採用者が入ることは、多様性の観点で歓迎すべきことですが、中途採用者が多く入れ替わる状況になると、自社カルチャーが社員に定着せず「自社らしさ」が醸成されなかったり失われてしまうことも考えられます。多様性も自社文化もどちらも大切にすべきでしょう。属人的な業務フローになりやすい中途人材は過去の経験や知識に基づく「自分なりのやり方」を持っていることが多く、頼りすぎると業務フローが属人的になるのがデメリットです。「この人がいないと業務が進まない」「休まれてしまうと仕事が回らない」などの落とし穴に陥りやすく、特定の人材に依存してしまうリスクがあるので注意しましょう。そのまま中途採用した人材が離職してしまうと、ノウハウやナレッジも自社から失われてしまいます。中途人材が即戦力になるからと実務を任せるだけでなく、後進となる人材への共有・指導も依頼し、社内の標準化を狙うことが大切です。誰もが同じクオリティで働けるようになれば、属人化からの脱却も叶います。中途採用の流れ中途採用は闇雲に募集をかけても本当に必要な人材を得ることはできません。候補者が入社するまでの全体のフローを確認し、計画に沿って採用活動を進めましょう。Step1:採用計画を立案する中途採用を検討するということは、解決したい問題があり、その解消の手段として中途採用を選ぶということです。まずは問題を明確に言語化することから始めましょう。例えば、「新しい事業を立ち上げたいが、現在の社員の中には必要な専門スキルを持つ人材がいない」「管理職の社員が辞めてしまいマネジメント層の人員が不足してしまっている」など人材管理における問題を洗い出します。この時点で、もし軽微な人手不足が問題であった場合、設備の刷新や、業務フロー・人員配置の見直しで課題解決が可能となる場合もあります。中途採用に取り組むことが最善であるかどうか、一度考える必要があるでしょう。問題を明確化し、採用目的が定まったら、採用活動のゴールとなる詳細な目標を決めていきます。「いつ頃までに」、「どの部署に」、「どのような人材を」、「何名採用する」のかを明確にしましょう。例えば、「年度末までに」「広報部に」「マネジメントができる人材を」「1名採用する」といった外せない条件を決めます。採用活動完了までの期間が決まれば、逆算してこの後の工程をどれくらいの期日で進めるべきか見えてきます。また、全ての条件の重要度が並列でないこともあるでしょう。欠員の補充が目的ではなく、長期的な事業拡大が目的であれば、「優秀な人材であればいつでも選考に応募してほしい」ということがあるかもしれません。その際は「いつ頃までに」という条件は目標に設定せず、「どのような人材を」の目標設定を重視すべきでしょう。Step2:求める人物像と採用基準を定義する採用計画で定めた「どのような人材を」の内容をより詳細にしていきます。Step1で確認した問題を解決するには、どのような人材が必要でしょうか。ここでは、業務に必要な資格や専門スキルなどのハードスキル面だけではなく、協調性やリーダーシップといったソフトスキル面や、働く上での価値観や性格、自社文化との適合も含めて考える必要があります。同じくらいの能力や資格を持っていたとしても、自社の社風に馴染みやすい人物と、自社の経営理念と価値観が合わない人物とでは、より自社で活躍してくれるのは前者でしょう。また、技術は教えられても性格や価値観はなかなか変えられるものではありません。そのため、自社が求める人物像を、能力やスキル以外の点も含めてイメージを明確にしておかなければならないのです。求める人物像のイメージが固まったら、面接官が評価できるように「採用基準」として一覧表化しましょう。その際、求める人物像の条件のうち、「必須となる条件」「あると望ましい条件」にわけて評価項目にしましょう。それぞれの評価項目ごとに、「1(不足)〜5(満たしている)」などの評価レベルも設定しておきます。採用基準の詳しい決め方はこちらの記事でもご紹介しているのでぜひご参照ください。関連記事:採用基準の決め方とは?採用基準の作り方と採用基準を決める際のポイントStep3:募集の仕方を選定し、募集を開始する募集をする条件をまとめて求人票を作成します。最低限、以下の内容を表記する必要があります。業務内容契約期間試用期間就業場所就業時間休憩時間休日時間外労働の有無賃金加入保険募集者の氏名または名称参考:労働者を募集する企業の皆様へ|厚生労働省求める人材に応募してもらうために、ここからさらに情報を付加していくと良いでしょう。必要な資格名や歓迎する経験、平均残業時間などを記載していきます。他にも、例えば、「顧客を優先する価値観を持つ人材がほしい」のであれば、自社は顧客に寄り添う社風であることを記載してアピールすると良いでしょう。「自律志向な人材を採用してどんどんプロジェクトを推し進めてほしい」という場合は、採用後に任せたいミッションやプロジェクトなども記載しておくと興味をひける可能性が高まるでしょう。作成した求人票をどのような方法で求職者に届けるかも重要なポイントとなります。予算や、求める人材に届きやすいか、採用目標を達成しやすいかを考えながら採用手法を選定する必要があります。例えば、採用目標で定めた採用完了までの期間が短く、採用人数が多い場合は、できるだけ多くの求職者の目に止まる必要があります。その場合は転職サイトの利用が適切でしょう。一方で、あまりコストがかけられなかったり、定着率の高い人材がほしい場合は、自社の社員に協力を仰ぎ、リファラル採用を実施すると良いかもしれません。こちらの記事では中途採用における13種類の採用手法をまとめてご紹介しています。関連記事:中途採用手法13選を一覧で比較|最新トレンド、選定のポイントを徹底解説Step4:候補者の選考を行う求人への応募があったら、以下のような選考手法を組み合わせ、候補者の見極めを行います。あらかじめ自社の採用ページなどで、選考フローを明示しておくと候補者は安心感や見通しを持つことができます。書類選考面接適性テストリファレンスチェック筆記試験小論文実技クリエイティブ職の場合、書類選考の一環としてポートフォリオを提出してもらったり、エンジニア職であればコーディングテストを受けてもらったり、職種によって適切な採用フローを作成しましょう。また、上記の選考手法のうちのほとんどは新卒採用でも用いられる手法ですが、リファレンスチェックが採用フローに入ることは中途採用ならではでしょう。リファレンスチェックは、候補者と一緒に働いたことのある第三者(主に前職の上司・同僚)から、人柄・性格・働きぶりなどを教えてもらう手法です。その他、履歴書・職務経歴書に記載されている内容が正しいか確かめる意味合いもあり、確かな技術と経験を持つ人材を採用したいときにも役立ちます。面接などでは見極めきれない実際の働きぶりを確認できるため、最終面接の前に組み込むと良いでしょう。関連記事:リファレンスチェックとは?リファレンスチェックのやり方と内容を解説Step5:内定通知・入社前のフォロー中途採用の場合、すでに現職の退職日が決まっていたり、もう退職していて早く職に就きたかったり、急ぐ事情のある候補者もいます。その場合、並行して複数社の選考を受けていたら、先に内定通知をもらった会社で内定承諾してしまうかもしれません。そのため、内定を出す意思が固まったら、速やかに候補者に通知を出しましょう。また、優秀な人材であれば複数社から内定をもらっている可能性があります。内定通知後も綿密にやり取りし、フォローを欠かさないことで内定承諾の意欲を高めましょう。一方で、現職に退職の意思を伝えずに転職活動をしていた候補者の場合、「この日までは居て欲しい」と引き止めにあったり、引き継ぎに時間を要したりと、実際の入社まで時間がかかる場合もあります。入社までの期間が長い場合も、事業内容の理解を深めてもらうなど、フォローを欠かさないようにしましょう。中途採用に向いている会社の共通点どの企業も中途採用を行うことで、前の章でお伝えしたメリットを享受できるでしょう。しかし、中でも特に中途採用に向いている会社の共通点として、以下が挙げられます。生え抜き社員だけで構成されている会社新卒や未経験から、自社のみで教育されて経験を積んで成長してきた社員で組織が構成されている場合、より良い仕事の仕方やナレッジは、書籍やインターネットなどから得ることとなるでしょう。具体的に自社に当てはめて教えてくれる人はいないので、手探りで実践することになります。そのため、企業の成長ペースがどこかで鈍化してしまう可能性があるのです。そこで、複数社で多くの経験を積み、多角的な視点や様々なナレッジを持った中途社員が入ることで、既存社員はより効率よく業務を行う方法や知識を共有してもらうことができます。組織全体が底上げされ成長を加速させることができるでしょう。深刻な人手不足が問題で実務が回らなくなりつつある会社人手不足が深刻で、新人を一から丁寧に教育している余裕がない場合、新卒採用よりも選考期間やオンボーディング期間が短い中途採用が向いています。同業種で経験があり、自身の判断でどんどん仕事を進めたい性格の人材を採用できれば、少しのオンボーディングですぐに仕事に取り掛かってくれるでしょう。ある程度人手が充足したら新卒採用に力を入れるなど、フェーズごとの戦略を立てましょう。イノベーションを喚起して社内改革や新しいソリューションの開発をしたい会社同業種・同職種の中途採用も即戦力を獲得する上でもちろん大切ですが、イノベーションを起こすには他業種で経験を積んだ優秀人材を採用することも1つの手です。自社の業界で当たり前になっていることを、他業種出身の中途採用者は不思議に感じるかもしれません。その「なぜ?」が足掛かりとなり、「この業種のやり方を組み合わせるといいのでは?」と革新的なアイディアが生まれるかもしれません。他業種も経験している中途採用者が自社内や業界の固定観念を崩してくれるでしょう。ハイレベルな知識・経験を持つ専門職人材が欲しい会社新しい事業に取り掛かりたい時、自社内では必要な専門知識やスキルを持つ適任者がいない可能性があります。特に、経験した場数や知識が重要視される技術職や専門職などでは、自社の社員を勉強させて急遽資格をとらせたところでスムーズな実務は難しいでしょう。ヘッドハンティングや特定の業種向けのスカウトサイトなどで中途採用を実施することで、新規事業を実行に移すことができるでしょう。中途採用を成功させるためのコツ中途採用を成功させるコツとして、以下が挙げられます。中途採用を実施しているのにうまくいかないと感じている方は、自社の状況と照らし合わせてみてください。採用基準を現場とすり合わせるせっかく新しい人材が入社しても、現場が求めていた人物像と異なっていたら採用ミスマッチが発生してしまいます。「中途採用の流れ」の章で採用基準を作ることをお伝えしましたが、求める人物像が机上の空論とならないよう、人事部門だけでは決定しないようにしましょう。候補者が加わることになる現場の社員や、経営層ともこの時点で求める人物像のイメージをすり合わせることがポイントです。関連記事:ミスマッチとは?採用ミスマッチの原因とミスマッチによるリスクを解説入社後のサポートを行うどれだけ優秀な人材でも、自社ではどこに必要な情報があるのか、困ったら誰に聞けばいいのかも分からない状況では、満足に活躍することができません。即戦力を求めて中途採用を行ったとしても、オンボーディングや周囲のサポートは必須です。「お手なみ拝見」という気持ちではなく、早期に活躍してもらえるように積極的に支えることが大切です。【お役立ち資料】中途入社者の早期活躍を促進し定着率を向上させるオンボーディング実践例採用フローの中でリファレンスチェックも実施していたのであれば、その際のレポートがオンボーディングでも役立ちます。どんな仕事から始めてもらうと自社での成功体験を積んでもらいやすいか、どのような場面で上司にケアをしてもらうといいのか、など採用時のリファレンスチェックレポートを見直してみると気づきがあるでしょう。自社のアピールポイントを整理する「有力候補者に途中で選考辞退されてしまった」「そもそも思っていたような人材が応募してきてくれなかった」という場合、自社の魅力が十分に候補者に伝わっていない可能性があります。また、採用担当者としては魅力だと思っていることが候補者には魅力的には映らない場合もあります。既存の社員に「どんな部分が魅力的に感じて入社しようと思ったか」の匿名アンケートを取って、忌憚なく意見を述べてもらい、本当の自社のアピールポイントはどんなことなのか整理してみましょう。それを基に求人票や自社の採用ページ、面接時の自社紹介などの内容を見直してみると良いでしょう。中途採用で本質を見極めるならback check中途採用は、即戦力となる人材の獲得やイノベーション喚起のきっかけとなるなど、新卒採用とは異なるメリットが多くあります。適切に取り入れ、自社の成長を促す推進力にしていきましょう。中途採用の実践にあたり、中途採用ならではの選考手法としてリファレンスチェックをご紹介しました。採用基準を設定したものの、コミュニケーション能力などのソフトスキルや、働きぶり、価値観などはなかなか面接や書類選考だけでは見極めきることが難しいものです。一緒に働いたことのある第三者からの回答で、採用基準に足る人材か確認することで、求める人物像により近い人材を採用することが可能になります。株式会社ROXXが提供するオンライン完結型のリファレンスチェックサービス「back check(バックチェック)」であれば、候補者の情報を登録するだけで、平均4.6日という短期間でレポート取得が可能です。短期間で中途採用を完了しなければならない場合にもご活用いただけます。低コストで効率的にリファレンスチェックを実施して、中途採用を成功させましょう。