目次素行調査とは?素行調査とは、調査対象者の行動や経歴を調査し、問題点がないかをチェックすることです。採用の場面では、採用候補者の過去の行動や性格、信用状況などを調査するプロセスを指します。候補者の素行調査は、候補者が職場に適した人物であるか・入社後にトラブルにつながるおそれはないかなどを評価し、採用のリスクを減らすための重要なステップです。この調査を通じて、候補者が提供する情報の正確性を確認し、職場の安全性や企業の信頼性を確保することができます。ただし、素行調査を行う際には、法的・倫理的な配慮が必要で、調査内容や取得する情報によっては、事前に候補者の同意を得ることが求められます。また、どのような調査結果が出たとしても候補者を不当に差別することなく、透明性を保ちながら適切に評価をすることが重要です。素行調査でどこまで候補者のことが分かる?では、素行調査で候補者のことがどこまで分かるのでしょうか。素行調査で得られる情報の例を紹介します。過去の経歴素行調査を通じて、学歴や職歴、資格の有無など候補者の過去の経歴を確認することができます。候補者が申告した情報の正確性を検証し、履歴書や面接での発言が事実と一致しているかを確認します。また、過去にどのような役職に就いていたか、どのような業務を担当していたかなども詳細に調査することが可能です。素行調査によって、経歴詐称をするような人材の入社を防ぐことができます。交友関係素行調査では、友人や同僚、ビジネスパートナーとの関係など、候補者の交友関係も把握することができます。交友関係を調べることで、候補者がどのような人物と付き合っているのか、社会的な信用があるのか、トラブルを起こすような人材ではないかを評価する手助けとなります。日頃の行動日常の行動パターン、趣味、ライフスタイル、ネット上での活動など候補者の日常的な行動や生活習慣についても調査することができます。日頃の行動を調べることで、候補者の性格や価値観、職場での適応性を判断する材料となります。例えば、SNSでの発言や投稿内容を確認することで、候補者のコミュニケーションスタイルや社会的態度を評価できます。反社会的勢力との関わり素行調査の重要な項目のひとつが、反社会的勢力との関わりを調べることです。反社会的勢力との関わりがある人物を入社させてしまうと、さまざまなリスクを伴います。具体的には、取引先や銀行との取引が中止になる、上場廃止となる、上場ができなくなるといった可能性があります。また、反社会的勢力との関わりを断つことは、政府指針で義務付けられていることでもあります。そのため、反社会的勢力に関与している候補者の採用は、社会的責任の観点からも必ず避けるべきといえるでしょう。参考:企業が反社会的勢力からの被害を防止するための指針について|厚生労働省素行調査の違法性は?採用プロセスにおいて企業が素行調査を行うことは、適切かつ公正な範囲であれば違法性はありません。しかし、調査方法や調査範囲を誤ると、個人情報保護法等に抵触し、違法となるため注意が必要です。具体的にどのようなケースで違法になってしまうのか確認していきましょう。本人の同意なしにプライベート情報の収集候補者の同意を得ずに、個人情報や私生活に関する情報を第三者から取得することは、「個人情報保護法」に違反します。個人情報保護法では「個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。」としています。 第三者である家族や知人、前職などから無断で候補者の情報を取得することは、適正な手段での取得とは言い難く、この条文に違反する可能性があります。そのため、候補者に無断で家族や前職に連絡し、個人的な情報を聞き出すことはしてはいけない調査方法です。募集ポジションの職務や、採用判断に無関係な私生活の調査職業安定法では求人企業は「業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。」としています。参考:令和4年職業安定法の改正について|厚生労働省必要な人材を採用するという採用業務の目的において、例えば候補者の家族の情報や、候補者本人の趣味、政治的思想などは不必要な情報です。無断で、目的の達成に必要でない情報を収集すると、行き過ぎた調査として違法とみなされる可能性があるのです。それらを理由に不採用とすること自体は違法とは定められていないものの、就職差別と見なされる可能性が高いでしょう。もし「就職差別をする企業である」と広く知られた場合、信用低下など不利益を被ることもあります。さらに、素行調査を内定後に実施した場合にはより注意が必要です。労働契約法では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定められており、職務に関係のない情報を理由として内定取り消しをすると、訴訟などに発展する可能性があります。犯罪歴など要配慮個人情報の無断調査要配慮個人情報には以下のような情報が含まれます。人種信条社会的身分病歴犯罪の経歴犯罪により被害を被った事実身体障害・知的障害・精神障害などの障害があること医師等により行われた健康診断その他の検査の結果保健指導診療・調剤情報本人を被疑者又は被告人として逮捕等の刑事事件に関する手続が行われたこと非行・保護処分等の少年の保護事件に関する手続が行われたこと法令に基づく場合などの特別なケースを除き、「あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない。」と個人情報保護法で定められているため、無断で調査した場合は違法となります。参考:「個人情報保護法」を分かりやすく解説。個人情報の取扱いルールとは?|政府広報オンラインただし、業務に関係する犯罪歴の有無であれば、本人の同意を得た上で調査が可能です。例えば教育・保育業界においては性犯罪歴の有無の確認が義務付けられる法律が成立していますし、運送業界であれば何度も交通事故を起こしているドライバーを雇用することは大きなリスクでしょう。業務に関係する範囲の犯罪歴のみを採用可否に利用するよう注意しましょう。参考:学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(こども性暴力防止法)|こども家庭庁採用における素行調査の方法採用における素行調査の具体的な方法を解説します。これらの方法を組み合わせて使用することで、候補者の素行をより正確に把握し、信頼性の高い採用判断を行うことができます。素行調査は、企業の安全性や信頼性を保つために重要なプロセスですが、法的および倫理的な基準を遵守しながら実施することが求められます。インターネットで候補者の情報を検索するインターネット検索は、最も手軽で迅速な素行調査の方法です。候補者の名前を検索エンジンに入力し、過去のニュース記事やブログ投稿、公開された情報を確認します。この方法では、候補者に関する公的な記録や社会的な活動についての情報が得られる可能性があります。ただし、インターネット上の情報は信頼性が不確かであるため、慎重に評価する必要がある・得られる情報に限りがあるといったデメリットもあります。SNSチェックを行うSNSを利用して候補者の行動や性格を調査する方法です。Facebook、X(旧Twitter)、LinkedInなどのSNSをチェックし、候補者の発言内容や友人関係を確認します。SNSからは候補者の日常の活動や価値観、コミュニケーションスタイルなどがうかがえます。また、組織に悪影響を及ぼす人材ではないか?といった観点で、以下のような投稿がないかをチェックすることもあります。攻撃的、差別的な発言SNS上でのマナーを考慮せず、他者のプライバシーを侵害してしまうような投稿政治や宗教など人によって考え方が異なるものについて、価値観を押し付けてしまうような発言関連記事:採用でSNSチェックは必要?採用でSNS調査を行う企業が増えている理由と注意点探偵事務所などの調査機関に依頼する自社で素行調査を行う場合、個人情報保護法をはじめとした各種法律に抵触していないか、採用担当者自身が細心の注意を払わなくてはなりません。また、専門的な調査ノウハウがないと、得られる情報にも限りがあるでしょう。より詳しい情報を、法律に抵触せず取得したいという場合は、専門の探偵事務所や調査会社に素行調査を依頼するという手があります。探偵事務所などの調査機関に依頼することで、法律に抵触する心配なく、より詳しい情報を得ることができます。多額の費用がかかる場合が多いですが、信頼性の高い調査結果を得ることができます。コンプライアンスチェックサービスを利用するコンプライアンスチェックサービスは、候補者の経歴に虚偽や問題がないか、犯罪歴・SNS上での問題行動・破産歴といったリスクがないかなど、候補者のコンプライアンス面でのリスクを総合的に調査するサービスです。コンプライアンスチェックサービスを利用することで、手間を省きながらも高い信頼性を確保することが可能です。関連記事:コンプライアンスチェックとは?コンプライアンスチェックの必要性を解説採用における素行調査にはback check(バックチェック)採用における素行調査には、コンプライアンスチェックサービスの利用がおすすめです。株式会社ROXXではオンライン完結型のコンプライアンスチェック・リファレンスチェックサービス「back check(バックチェック)」を提供しています。back check(バックチェック)は、公的公開情報・WEB情報・個別調査によって、候補者申告に虚偽の情報がないか、コンプライアンスリスクがないか等を確認するコンプライアンスチェックと候補者と一緒に働いたことがある上司・同僚から第三者評価を得ることで、自社で活躍できるか等を確認するリファレンスチェックを行うサービスです。【お役立ち資料】サンプルレポート付き!コンプライアンスチェックでわかる採用リスク候補者の素行調査を行う手段として、back checkが有効です。採用のリスクを減らしたいと考えている企業のご担当者様、ぜひback checkの導入をご検討ください。