アルムナイ採用とは?メリット・デメリットと成功事例7選を解説

更新日:2025/8/27

執筆者:back check magazine 編集部

採用手法

深刻な人材不足と採用コストの高騰により、多くの企業が効果的な採用戦略の確立に苦慮しています。

そうした中で注目を集めているのが、過去に自社で働いていた退職者を再雇用する「アルムナイ採用」です。企業文化を理解し、即戦力として期待できる元社員の採用は、採用ミスマッチの軽減や教育コストの削減など多くのメリットをもたらします。

本記事では、アルムナイ採用の基本的な仕組みから具体的な導入方法、成功事例、そして導入時の注意点まで詳しく解説します。新たな採用戦略の検討に役立つ実践的な情報をまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。

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本資料は、back checkの概要説明から、特徴、実績まで網羅された内容です。従来の採用手法以外の方法で面接の精度を上げたい、採用ミスマッチを防ぎたいという採用担当者さまにおすすめです。

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目次

アルムナイ採用とは?基本的な仕組みを解説

アルムナイ採用は、従来の採用手法とは異なる新しいアプローチとして、注目を集めており、企業の間で導入が進み始めています。まずはアルムナイ採用の基本的な概念と、注目される背景について詳しく解説します。

アルムナイ採用の定義

アルムナイ採用とは、一度退職した元社員(アルムナイ)を再び雇用する採用手法です。学校の卒業生を指す「アルムナイ(Alumni)」になぞらえ、企業では定年以外の理由で退職した人材を指します。

アルムナイ採用では、企業が退職者との関係性を維持し、必要に応じて再雇用の機会を提供するのが特徴です。昨今はSNSや専用コミュニティを通じてアルムナイネットワークを構築し、退職後も企業から情報発信や交流の場を設けて関係を継続するケースが増えています。

こうしたネットワークに登録した元社員(OB・OG)に対し、自社の求人情報や近況を共有することで、再就職への興味喚起を図る仕組みとなっています。企業にとっては即戦力人材の確保が可能で、元社員にとっては慣れ親しんだ職場へ復帰できる点がメリットです。

アルムナイ採用が注目される3つの背景

アルムナイ採用が注目を集める背景には、現代の労働市場における深刻な課題があります。

まず、日本では少子高齢化による労働力人口の減少が深刻で、優秀な人材の確保競争が激化している状況です。採用しても早期離職やミスマッチが発生しやすく、定着までコストも時間もかかる中、企業文化や業務を理解した元社員は即戦力になりやすく貴重な人材資源となっています。

また、働き方の多様化や人材流動性の高まりにより、「一度辞めても戻れる」キャリアパスが肯定的にとらえられるようになってきました。転職によるキャリアアップが一般的になった現在、複数回の転職を経験した人材が最終的に古巣に戻るケースも珍しくありません。

さらに、人的資本経営の考え方が広がり、社員の経験や知識を中長期的な企業価値向上に活かす戦略が重視されています。経済産業省の「人材版伊藤レポート2.0」(※1)のなかでも、中長期的人材戦略の一つとして「アルムナイとの持続的な関係構築」が挙げられており、退職者も企業にとって重要な「人的資本」ととらえる動きが高まっています。

※1 参考:「 人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書 ~人材版伊藤レポート2.0~」(令和4年5月)

カムバック採用・リファラル採用との違い

アルムナイ採用と混同されやすい採用手法に「カムバック採用」と「リファラル採用」があります。それぞれの違いを正確に理解しておくことが重要です。

以下の表で、3つの採用手法の違いを比較してみましょう。

■アルムナイ採用・カムバック採用・リファラル採用の比較

項目

アルムナイ採用

カムバック採用

リファラル採用

対象者

元社員(退職理由を問わない)

元社員(やむを得ない理由での退職者)

社員の知人・友人

退職理由

転職・独立・結婚・育児等すべて

結婚・育児・介護・配偶者転勤等

-

採用経路

企業から元社員への直接アプローチ

企業から元社員への直接アプローチ

現職社員からの推薦

主な目的

即戦力確保・多様性向上

優秀人材の復帰支援

採用コスト削減・質の高い候補者確保

対象範囲

広範囲(すべての元社員)

限定的(特定条件の元社員)

社員のネットワーク全体

このように、アルムナイ採用は退職理由を問わず広く元社員の再雇用を含むのに対し、カムバック採用は対象者や条件を限定して運用する場合が多いという違いがあります。リファラル採用はそもそも退職者ではなく、社員の知人や友人を紹介によって採用する手法です。

企業によって各採用手法の定義が異なることもあるため、制度設計時には対象範囲を明確にしておくことが大切です。

アルムナイ採用のメリット7選

アルムナイ採用を導入することで、企業は様々な利益を得ることができます。ここでは、特に注目すべき7つのメリットについて詳しく解説します。これらのメリットを理解することで、自社での導入検討に役立てることができるでしょう。

①即戦力人材を確保できる

アルムナイ採用における最大のメリットは、即戦力となる人材を確保できることです。元社員は社内の業務内容や企業文化を理解しているため、入社直後から戦力化が期待できます。

新しく環境適応する時間が不要で、通常の新規採用よりも短期間で成果を上げられる点が魅力です。特に専門性が高い職種や、業務の習得に時間がかかるポジションでは、元社員の再雇用が大きな効果を発揮します。

また、退職前のパフォーマンスを基準に採用判断ができるため、採用後の活躍度をある程度予測できる点も企業にとって大きなメリットです。

②採用・教育コストを削減できる

アルムナイ採用では、求人広告費や人材紹介会社への報酬といった採用コストを大幅に削減することができます。また、研修やOJTにかかる教育費用も一般的な新規採用と比べて少なくなるケースは多く見られます。

限られた採用予算でも効率的に人材確保が可能になるため、特に中小企業にとってはコストパフォーマンスの高い採用手法として注目されています。浮いたコストを他の人材投資に振り向けることで、組織全体の強化にもつながるでしょう。

③採用ミスマッチを軽減できる

以前自社で働いた経験があるために、企業文化や仕事内容への理解が深く、再雇用時のミスマッチ発生リスクが大幅に低減されます。お互いに「よく知った仲」であるため、相性も担保され、組織の安定性向上につながります。

通常の中途採用では、面接や書類選考だけでは見えない部分が多く、入社後に「思っていた仕事と違う」「社風が合わない」といった問題が発生しがちです。しかし、アルムナイ採用では候補者が既に企業の実態を把握しているため、このような齟齬が起こりにくくなります。

④社内に新たな価値観やノウハウを蓄積できる

元社員が他社や異業種で積んだ経験を持ち帰ることで、組織に新しい知見やアイデアをもたらすことができます。例えば、他社で習得した最新技術や業務手法を自社に適用することで、業務効率を大幅に向上させることが可能です。

また、異なる企業文化や働き方を経験した人材が戻ることで、既存の慣習や固定観念に新しい風を吹き込むことができます。新規ビジネスのヒントを得たり、既存事業の改善案を生み出したりするなど、アルムナイ採用は単なる人手補充に留まらず、組織の成長を促す重要な契機となり得るのです。

⑤企業ブランディングの向上

アルムナイが戻ってくる事例は社外への良いアピールとなり、「従業員を大切にする会社」として企業イメージや採用ブランディング強化につながります。一度離れた人が「もう一度働きたい」と思える会社であることは、その企業が魅力的な職場環境を備えている証拠といえるでしょう。

また、アルムナイ自身が自社のアンバサダー(応援者)となり、周囲にポジティブな評判を広めてくれる効果も期待できます。「あの会社は退職後も良い関係を保ってくれる」という口コミは、新規採用においても大きなプラス要素となるでしょう。

⑥社員エンゲージメントの向上

アルムナイ採用の取り組みは、現職社員のモチベーションにも良い影響を及ぼします。退職者と良好な関係を維持し受け入れる姿勢を示すことは、「この会社は社員との縁を大事にする」というメッセージとなり、在籍社員の愛着やエンゲージメント向上につながります。

再入社するアルムナイ本人も、外部を経験した上で改めて自社の良さを実感して戻ってくるケースが多く、非常に高いモチベーションで業務に貢献してくれるでしょう。

また、「もし自分が転職しても、将来戻れる道がある」という安心感は、現職社員の心理的安定をもたらし、かえって定着率向上に寄与する場合もあります。

関連記事:エンゲージメントとは?ビジネスにおける意味と、高めることで得られる3つのメリット、測定方法を解説

⑦人的ネットワーク・ビジネス機会の拡大

アルムナイとのつながりを持ち続けること自体が、将来的なビジネス機会創出やネットワーク強化に資する重要な投資となります。退職者が他社で培った人脈や顧客との関係が、新たな協業や取引のきっかけになる可能性があります。

また、アルムナイ同士のコミュニティは情報交換や相互支援の場となり、結果的に自社の事業発展や採用強化につながることも期待できます。業界内での情報収集や市場動向の把握にも、アルムナイネットワークは有効に機能するでしょう。

アルムナイ採用のデメリットと注意点

多くのメリットがあるアルムナイ採用ですが、導入・運用にあたって注意すべきリスクやデメリットも存在します。事前にこれらの課題を理解し、適切な対策を講じることが成功への鍵となります。

既存社員の退職ハードルが下がる

「辞めても戻れる」という安心感から、現職社員が以前より気軽に退職を考えてしまうことがリスクとして挙げられます。

特にキャリア形成が進んでいない若手社員に対しては、この影響が顕著に現れる可能性があります。「とりあえず他社を経験してから戻ればいい」という軽い気持ちで退職されてしまうと、組織運営に支障をきたすことも考えられます。

このリスクに対処するには、「誰でも無条件に復職できるわけではない」という基準を設けて周知し、退職・復職のハードルを適切にコントロールする必要があります。制度の趣旨や条件を明確に伝え、安易な退職を防ぐ取り組みが求められるでしょう。

既存社員とアルムナイの処遇格差のリスク

アルムナイに相応の給与やポジションを与える場合、既存従業員との待遇バランスに細心の注意が必要です。再雇用者だけが高待遇になると、社内に不公平感が生じ、モチベーション低下や不満につながりかねません。

特に、退職時よりも高いポジションや給与で迎え入れる場合は、既存社員から「なぜ戻ってきただけで昇進・昇給できるのか」という疑問の声が上がる可能性があります。このような状況は組織内の結束を損なう要因となります。

そのため、再雇用時の評価基準や昇進ルールを明確に定め、柔軟かつ公正な人事・賃金制度を整備することが不可欠です。

退職理由が解決されていない場合がある

アルムナイが以前退職した理由が根本的に解決されていない場合、再び同じ問題に直面して早期離職につながるリスクがあります。例えば、労働環境や人間関係、業務内容への不満が退職理由だった場合、それらが改善されていなければ再度の離職は避けられません。

このような問題を防ぐには、復職前の面談で退職理由を詳しく聞き取り、現在の状況や改善点について率直に説明することが重要です。

アルムナイネットワークの構築・維持コスト

アルムナイ採用を効果的に運用するには、退職者との継続的な関係維持が不可欠であり、そのためのコストと労力が継続的に発生します。専任担当者の配置、イベント開催費用、システム運用費など、様々な経費がかかることを理解しなければなりません。

また、アルムナイネットワークは構築したらすぐに効果が現れるものではなく、長期的な取り組みが必要です。数年間は投資ばかりで目に見える成果が出ない期間も想定されるため、継続的な予算確保と経営陣の理解が重要になります。

さらに、ネットワークの規模が大きくなるほど管理が複雑になり、個人情報の取り扱いやプライバシー保護の観点からも慎重な運用が求められます。

【5ステップ】アルムナイ採用の導入手順

アルムナイ採用制度を効果的に運用するには、段階的かつ計画的な導入が重要です。ここでは、一般的な導入プロセスを5つのステップに分けて、具体的な手順と注意点を紹介します。各ステップを丁寧に実行することで、制度構築の精度を高めることができるでしょう。

ステップ①復職の条件を明確化する 

最初に取り組むべきは、どのような元社員を再雇用の対象とするかという復職条件の具体化です。明確な基準を設定することで、公正な採用判断が可能になり、現社員にも制度の趣旨を理解してもらいやすくなります。

代表的な条件設定例として、以下のような項目が考えられます。

■復職条件の設定例

  • 在籍期間3年以上の元社員

  • 正社員として勤務していた方

  • 退職時の人事評価が一定水準以上

  • 懲戒解雇など特定の退職理由に該当しないこと

  • 退職後のブランク期間は10年以内

これらの基準を明文化することで、「誰でも無条件に戻れるわけではない」というメッセージが従業員に伝わります。

条件設定の際は、自社の事業特性や組織風土を考慮し、現実的で運用可能な基準にすることが重要です。あまりに厳格すぎると対象者が限られてしまい、逆に緩すぎると制度の意味が薄れてしまうため、バランスの取れた設定を心がけましょう。

ステップ②退職者と接点を持ち続ける方法を検討する

アルムナイ採用を成功させるには、退職後も元社員との関係を継続することが不可欠です。そのための具体的な仕組みづくりと運用方法を検討する必要があります。

継続的な関係維持のために、以下のような施策を検討しましょう。

■退職者との接点維持施策例

  • 専任の担当者や窓口の設置

  • アルムナイ向けポータルサイトの構築

  • SNSグループの運営

  • 社内報、ニュースレターの定期発行

  • 自社のニュースや求人情報の定期発信

  • 復職成功事例の共有

個人情報の取り扱いには十分注意し、プライバシーポリシーを明確にした上で運用することも忘れてはいけません。退職者の同意を得た上で、適切な範囲での情報交流を行う配慮が求められます。

これらの仕組みにより退職後も緩やかなつながりを保ち、将来的な再雇用の母集団形成につなげることができます。

ステップ③定期的なイベントを開催する

アルムナイとの関係を深めるために、定期的な交流イベントの開催を計画します。これにより、元社員同士のネットワーキングを促進し、会社への愛着心を維持・再醸成する効果が期待できます。

効果的なイベント企画として、以下のような内容が考えられます。

■アルムナイ向けイベント例

  • 年1〜2回のOB・OG会や同窓会形式の懇親会

  • 業界セミナーや勉強会への招待

  • 新製品発表会やプレス発表会への参加

  • オンラインでのウェビナーやバーチャル交流会

  • 現職社員との合同イベント

  • アルムナイの活躍事例発表会

オンラインでの開催も選択肢に入れることで、遠方に住むアルムナイや忙しい人材も参加しやすくなります。ウェビナーやバーチャル交流会など、様々な形式を組み合わせて実施することで、より多くの人に参加機会を提供できるでしょう。

また、現職社員にも参加してもらうことで、アルムナイと現在のメンバーとの橋渡し役を担ってもらうことも重要です。

ステップ④アルムナイの受け入れ態勢を構築する

実際にアルムナイが復職する際にスムーズに業務に馴染めるよう、社内側の受け入れ準備を整えておくことが重要です。復職者が早期に力を発揮できる環境づくりが、制度成功の鍵となります。

まず優先的に取り組むべきことが、再雇用者向けの研修プログラムを用意することです。退職後の期間中に変更された制度やシステム、組織体制について説明する機会を設けます。また、復職後のキャリアプランについてもあらかじめ話し合い、本人の希望と会社のニーズをすり合わせておくことが大切です。

復職者と既存社員のコミュニケーション機会を積極的に設け、チームに迎え入れる雰囲気作りにも配慮します。歓迎会や紹介ミーティングなどを通じて、円滑な人間関係構築をサポートしましょう。

ステップ⑤アルムナイ採用の社内周知をする

制度の準備が整ったら、在職社員に対してアルムナイ採用制度の存在と目的をしっかりと周知します。現社員の理解と協力なくして、制度の円滑な運用はできません。

社内報や研修、イントラネットなどを活用して、「なぜ出戻りを受け入れるのか」「会社にもたらすメリットは何か」を丁寧に説明し、アルムナイ採用のネガティブな印象を払拭します。一部には「辞めた人を今さら」と感じる社員もいるかもしれませんが、そうした誤解を解く働きかけが必要です。

また、退職予定者との面談時には、「再雇用制度」の概要や希望する場合の手続きについて説明し、円満退職への配慮も怠らないようにします。退職時の印象が将来の復職意欲に大きく影響するため、感謝の気持ちを込めて送り出すことが重要です。

アルムナイ採用の成功事例3選

実際にアルムナイ採用を導入し、成果を上げている企業の事例を紹介します。

これらの事例から、効果的な制度設計や運用のヒントを学ぶことができるでしょう。各社の取り組みの特徴や工夫点についても詳しく解説します。

事例①株式会社日立製作所

日立製作所は、アルムナイ施策を単なる人手不足解消ではなく、企業文化変革の一環として位置づけています。2023年に本社に「タレントアクイジション部」を設置し、中途採用や採用ブランディング戦略を強化する中で、転職潜在層へのアプローチ手法としてアルムナイネットワークの活用に本格的に乗り出しました。

同社では、まず成果の出やすいカムバック採用(出戻り再入社)から着手し、グループ全体で共有できるアルムナイ人材データベースを構築するなど基盤整備を進めています。具体的には、退職者情報を集約したプラットフォームをグループ各社で活用し、アルムナイとの双方向コミュニケーションやプロジェクト単位での業務委託など、多様な関わり方を模索しています。

また、一部のグループ企業では社員リターン・エントリー制度(退職者再雇用制度)が設けられており、条件を満たした元社員には再び活躍の場を提供する制度も特徴です。

■日立製作所のアルムナイ採用の特徴

  • グループ全体でアルムナイ人材データベースを構築

  • プロジェクト単位での業務委託など、多様な関わり方を提供

  • 人的資本経営の視点から、アルムナイを企業の戦略的資産として活用

参考:日立が取り組むアルムナイ採用、七転八倒…従業員3万人の大企業が挑む「カムバック採用」のリアル(Business Insider Japan)

参考:ジョブ型人財マネジメントで未来を切り拓く 日立製作所がキャリア採用を強化する背景とは(日経ビジネス)

参考:人的資本を最大化する日立製作所の採用マーケティング──アルムナイ採用・キャリア登録で転職潜在層にアプローチ(My Series)

参考:日立システムズ 社員リターン・エントリー制度(退職者再雇用制度)(株式会社日立システムズ)

事例②株式会社明治

 食品大手の明治では、2020年に退職者の再雇用制度「リ・メイジ制度」を導入しました。名称には「Re(再び)」と「Meiji(明治)」の意味が込められており、退職者が新たな風を吹き込んで再度活躍し、会社も共に成長し続けるという思いを表現しています。

リ・メイジ制度の対象は「正社員として3年以上勤務後に退職した方」と明確に定められており、希望者は同社ホームページの専用フォームから応募できます。その後、所定の選考プロセスを経て再雇用が決定する流れとなっています。

実は、明治にはこの制度以前から出戻り採用の規定がありましたが、新制度で要件を緩和し対象人材の幅を広げました。背景にはダイバーシティ推進や有能な人材の確保といった経営課題があり、外部で培ったスキル・経験を持つ元社員にもう一度活躍してもらうことで、社内イノベーション創出を狙っています。

■明治のアルムナイ採用の特徴

  • 「リ・メイジ制度」として従来からあった制度を再構築

  • ホームページの専用フォームでの応募システムを構築し、手続きを簡素化

  • 既存制度の要件緩和により、対象人材の範囲を戦略的に拡大

参考:広がるダイバーシティへの取り組み 退職後も再就職可能な「リ・メイジ制度」を導入 (株式会社明治 プレスリリース|2020年1月23日)

参考:退職しても変わらなかった会社への愛着──“リ・メイジ”して感じた明治の強みと変化(Talentbook|株式会社明治)

事例③株式会社あきんどスシロー

回転寿司チェーン「スシロー」を展開する株式会社あきんどスシローは、業界では珍しくアルバイト出身者も含めたカムバック採用制度を導入しています。スシローでは元社員だけでなく元アルバイトスタッフも対象に、「おかえりなさい、またご一緒に。」と銘打って積極的に再雇用を呼びかけています。

具体的には、専用のカムバック採用サイトを開設し、復帰希望者が正社員・アルバイトいずれかの形態でエントリーできる仕組みを構築しました。書類選考・面接を経て採用となりますが、ブランクが長くても応募可能で、以前正社員だった人がアルバイトとして戻ることも選択肢とされています。

復職後の働き方も柔軟に相談でき、地域限定社員制度や短時間勤務など、本人の事情に合った形で再スタートできる点が特徴です。また、研修制度も充実しており、ブランクがある復職者でも安心して業務に取り組める環境が整備されています。

公式サイトでは再入社を果たした社員・アルバイトのエピソードを紹介し、「数ヶ月で店長に昇進した」例など成功談を積極的に発信しています。

■あきんどスシローのアルムナイ採用の特徴

  • アルバイト出身者も対象に含める業界でも珍しい制度設計

  • 正社員とアルバイト間での柔軟な雇用形態変更が可能

  • 復職者の成功事例を積極的に発信し、制度への関心と信頼を高める広報戦略

参考:スシロー カムバック採用サイト(株式会社あきんどスシロー)

アルムナイ採用を成功させる4つのポイント

アルムナイ採用制度を効果的に機能させるには、制度を導入するだけでなく運用面での工夫が重要です。ここでは、企業の人事担当者が特に注意すべき成功のポイントを4つに絞って解説します。これらを実践することで、制度の効果を最大化できるでしょう。

退職時のオフボーディング強化

アルムナイ採用の前提条件は、社員が退職する際に会社と良好な関係を保っていることです。そのため、退職が決まった社員には感謝の意を持って気持ちよく送り出すことが何より大切になります。

近年は「イグジットマネジメント」として退職時の対応をマネジメントする考え方も注目されています。円満退社を実現するための具体的な取り組み例は以下の通りです。

■円満退社のための取り組み例

  • 退職理由の丁寧な聞き取りと記録

  • 会社への提案や改善要望を聞く

  • 退職時の記念品贈呈

  • 送別会の開催

  • 最終出社日の見送り

  • アルムナイ制度の説明とネットワーク参加の案内

このような前向きな卒業文化づくりが再雇用率アップに寄与しています。退職者が会社に対してネガティブな印象を持ったまま去ってしまうと、将来的な復職は期待できません。逆に、感謝の気持ちと温かい見送りを受けた退職者は、自社の良いアンバサダーとして活動してくれる可能性が高まります。

定期的な情報発信とイベント開催

アルムナイ採用を成功に導くには、単発のイベント開催だけでなく、継続的な情報発信により元社員との接点を維持し続けることが重要です。定期的なコミュニケーションを通じて復職への関心を高め、実際の採用につなげる戦略的なアプローチが求められます。

効果的な情報発信により採用成果を最大化するには、以下のような施策とコツを活用しましょう。

まず、会社の成長ストーリーや新規事業の展開状況を定期的に共有し、「今この会社で働くことの魅力」を具体的に伝えることが重要です。また、既存社員の成長事例やキャリアアップ実績を紹介することで、復職後の可能性をイメージしてもらいやすくなります。

さらに、業界トレンドや技術動向に関する情報提供を通じて、専門性の高いアルムナイとの継続的な関係構築を図ることも効果的です。単なる求人情報の配信ではなく、価値ある情報の提供者として認識されることで、復職検討時に最初に思い浮かべてもらえる存在になることができます。

明確な採用基準の設定

誰でも自由に戻れる印象を与えると、既存社員の退職ハードルが下がったり、制度の信頼性が損なわれたりする恐れがあります。再雇用の基準や手続きを明文化し、社内外に公開するとともに、実際の運用でも公平性を担保することが重要です。

例えば「在職中の評価が良好であること」「一定のブランク期間内であること」「退職理由が懲戒に関わるものでないこと」などの条件を設ける企業が多く見られます。これらの基準を透明化することで、復職制度の適正な運用が可能になります。

また、復職後の待遇についても、既存社員とのバランスを考慮しなければなりません。昇進・昇給の時期調整やポジション設定などを通じて、社内に不満が溜まらないよう配慮しましょう。

既存社員への制度周知

アルムナイ採用で戻ってきた社員が組織に溶け込み、本来の力を発揮できるかどうかは、既存社員の理解と協力にかかっています。制度を単に導入するだけでなく、復職者を温かく迎え入れる組織風土の醸成と、制度を組織に定着させるための継続的な社内周知が不可欠です。

復職者を受け入れる雰囲気づくりのためには、既存社員が制度の意義と価値を正しく理解していることが前提となります。「なぜその人が戻ってきたのか」「どのような経験を積んできたのか」「組織にどのような価値をもたらしてくれるのか」といった情報を適切に共有し、復職者への期待感を高めることが重要です。

制度の定着を図るためには、復職者の成功事例を継続的に社内で共有し、制度の有効性を実証することも大切です。復職者が実際にどのような成果を上げているか、チームにどのような好影響をもたらしているかを具体的に示すことで、制度への信頼と理解が深まります。

アルムナイ採用のリスクを低減するならback check

アルムナイ採用は即戦力人材の確保や採用コスト削減など多くのメリットがありますが、復職者の経歴や他社での働きぶりを正確に把握することは、面接だけでは限界があります。特に、退職後の期間が長い場合や複数の転職を経験している場合は、その間の実績や成長度合いを客観的に評価することが困難です。

また、アルムナイ採用では「よく知った人材」という安心感から、通常の中途採用よりも選考が甘くなってしまうリスクもあります。しかし、人は時間とともに変化するものであり、退職時の印象だけで再雇用を決定するのは採用ミスマッチの危険性を孕んでいます。

このような課題を解決し、アルムナイ採用の精度を高めるには、候補者の最新の働きぶりや実績を客観的に把握できるリファレンスチェックが効果的です。

back check株式会社では、オンライン完結型のリファレンスチェックサービス「back check(バックチェック)」を提供しています。

back checkでは、公的公開情報・Web情報・個別調査によって候補者の申告内容に虚偽がないか、コンプライアンスリスクがないかなどを確認するコンプライアンスチェックと、候補者と過去一緒に働いたことがある元上司や同僚から評価を得ることで、入社後に顕在化する働きぶりやカルチャーマッチといった言語化しにくい情報を確認するリファレンスチェックを同時に実施できます。

アルムナイ採用においてback checkを併用することにより、復職候補者の退職後の成長や変化を第三者の視点から把握しやすくなります。こうした客観的情報を捕捉することで、採用判断の精度向上を図ることが可能となります。これにより、アルムナイ採用のメリットを享受しながら、リスクを最小限に抑えることができるでしょう。

企業のご担当者様、ぜひback checkの導入をご検討ください。

back check magazine 編集部

リファレンスチェック/コンプライアンスチェックサービス「back check」が手がけるコラム「back check magazine」の編集部です。採用担当のみなさまに向けて、役に立つ情報を発信していきます。

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