目次ポテンシャル採用とは?ポテンシャル採用とは、実務経験や現状のスキルよりも、今後の成長可能性を重視した採用方法です。若年層を主なターゲットとし、他業種等で就業経験がある人材でも新卒採用と同じく未経験者枠として扱い、将来性に着目して選考を行います。候補者にとっては、経験者を優遇するキャリア採用とは異なることから、未経験の分野にチャレンジしやすいといったメリットがあります。企業は候補者が増えることに期待する一方で、ポテンシャル採用を導入したところで本当に人材戦略がうまくいくのか気になるのではないでしょうか。まずはポテンシャル採用の概要として下記の3つを押さえておきましょう。ポテンシャル採用を導入する企業が増えている理由ポテンシャル採用に該当するのは何歳まで?新卒・中途に関わらず実施できる?それぞれについて、解説していきます。1.ポテンシャル採用を導入する企業が増えている理由ポテンシャル採用を導入する企業が増えている理由として、若手の人材不足が挙げられます。少子化に伴い新卒者の数が減少したことで、多くの企業は採用難に見舞われました。特に中小企業は、若い人材の確保が難しくなっており、新卒採用やキャリア採用だけでは深刻な人材不足となり得る状況です。そこで、候補者の数を増やすことを目的に、ポテンシャル採用を取り入れる企業が増えてきました。特定の企業や業種で働きたい意欲はあるものの、既に就業経験があるので新卒採用の応募条件を満たせない、しかし業界・業種の経験もないのでキャリア採用にも応募できない、という層に着目したのです。新卒採用やキャリア採用しか行ってこなかった企業も、ポテンシャル採用を続々と導入し、採用の間口を広げています。またポテンシャル採用は、単に若い人材を確保するためのものではありません。素質のある未経験者を集めることができるので、将来を見越した有力人材の確保にもつながります。2.ポテンシャル採用に該当するのは何歳まで?明確に何歳までという定義はありませんが、ポテンシャル採用の年齢上限は「20代後半」と認識されていることがほとんどです。応募要項に明確に「30歳以下まで」「〇〇年卒以降」と記載している企業もあります。ポテンシャル採用では、企業は社会人歴が浅く、キャリアの軌道修正が見込める層を求めています。また長期的な就業と自社の方針を吸収することを目的としているので、若ければ若いほど良いというのが本音です。では、30代以降はポテンシャル採用に応募すらできないのか、気になる方も少なくないでしょう。結論から言うと、応募要項に明記がなければ応募はできるが採用される可能性は低いのが実情です。30代以降になると、それまでに経験してきたスキルや実務のほうを重視されやすくなります。30代以降の方で、ポテンシャル採用にチャレンジしたい場合は、並大抵ならぬ努力が必要です。採用担当者に「この人だったら今後の活躍が期待できるかも」と、思わせるほどの熱意と成果を示さなければいけません。3.新卒・中途に関わらず実施できる?ポテンシャル採用の対象者は、新卒・中途で区別するものではありません。重視されるのは「今できること」ではなく、「将来できるようになる可能性」です。そもそも新卒とは、高校・専門学校・大学などを卒業予定の学生を指します。学生には就労経験がなく、即戦力となる実務経験もありません。新卒社員では今あるスキルではなく、入社後に経験を積んで戦力になれるか、将来性を見込まれて採用されます。そのため広義では新卒もポテンシャル採用の一種になるのです。一方、中途はポテンシャル採用とキャリア採用、どちらかに区別されます。経験やスキルがある人はキャリア採用、未経験者はポテンシャル採用となるのです。明確に「ポテンシャル採用」と銘打って応募窓口を分けていない企業もあり、新卒採用の応募要項の中に、「就業経験があっても新卒採用に応募可能」な旨を記載して、ポテンシャル採用を行っている場合もあります。ポテンシャル採用のメリットポテンシャル採用には企業にとって、下記4つのメリットがあります。高い意欲を持った人を採用できる幹部候補を育成できるビジネスマナーから教育する必要がない企業存続につながる企業の成長や発展にもつながりやすいので、1つずつチェックしていきましょう。1.高い意欲を持った人を採用できるポテンシャル採用に応募する候補者は、成長意欲があり、仕事に対するモチベーションが高い傾向が見られます。新卒で入社した後、「自分の可能性を広げたい」「能力を最大限に発揮できる企業で働きたい」と考える若手社員は少なくありません。また、働き出して社会に慣れた頃、夢や将来の目標を諦めきれず、「やっぱりあの業界・企業に入りたい」と憧れの未経験業界を志すこともあるでしょう。実際に、大手企業から中小企業やベンチャー企業へ転職するケースも珍しくないようです。ポテンシャル採用の導入は、高い意欲を持つ若手人材を獲得できるチャンスを増やすことができるのです。ポテンシャル採用で入社した若手の熱意や勢いは組織全体を活気づけてくれるでしょう。2.幹部候補を育成できる若い社員が不足している企業では、幹部候補が不足する状態に陥りやすいです。幹部候補はリーダーにもなり得るので、企業の成長や運営上の問題へと発展しかねません。ポテンシャル採用を導入することで、新卒採用者だけでは不足していたリーダーとしての潜在能力がある人材を確保しやすくなります。スキルや経験ではなく、候補者のポテンシャルを見抜くことに注力するため、キャリア採用よりも本質を見抜きやすくなるでしょう。また前職での勤続年数が短いため吸収力が高く、自社が築き上げてきたものを純粋に継承できるといったメリットもあります。3.ビジネスマナーから教育する必要がない完全に就業経験のない新卒の場合、社会のいろはから教育する必要があります。一方で、他社での就業経験がある人材をポテンシャル採用する場合、業種・業界・自社特有のルールやスキルの教育から始めることが可能です。4.企業存続につながるポテンシャル採用は、企業の若返りが期待できる採用方法です。候補者の大半は20代なので若い社員を増やすことができ、企業存続につなげやすくなるでしょう。ポテンシャル採用を実施し、若手を多く採用することが出来れば、組織の高齢化を止めることが出来、次世代に技術やノウハウを継承していくことが可能になります。若い社員が増えなければ経営は次第に衰退し、事業の継続は難しくなるでしょう。企業存続のためには、若い社員の確保が必須です。ポテンシャル採用なら20代の将来性のある人材を確保できます。ポテンシャル採用のデメリット魅力的なメリットがある一方で、デメリットがあるのも事実です。業界未経験のため育成コストがかかるミスマッチが起こる可能性がある転職を繰り返す可能性がある理想的な人材に成長しないリスクもある企業はこれらのデメリットを踏まえ、ポテンシャル採用を導入するか判断しましょう。1.業界未経験のため育成コストがかかるポテンシャル採用は、キャリア採用に比べると育成コストがかかりやすいです。将来性があるとはいえ業界は未経験者だったり、キャリア採用の応募要項に満たないほど経験年数の少ない人材です。業界の専門知識や職種に必要なスキルを一から育成しなければいけません。一方、キャリア採用では即戦力となる人材が集まるので、育成コストは低く済みます。2.ミスマッチが起こる可能性がある企業と候補者の間で、ミスマッチが起こる可能性は十分にあります。面接において、実務やスキルのない候補者から得られる情報は限られており、本質を見抜くことは容易ではありません。また候補者は、企業の特性や制度などを正しく把握できていないと、「思っていた職務ではなかった」といったことが起こり得るのです。双方の認識にズレが生じれば、早期離職につながる可能性は高くなります。企業にとっては、入社から退職までの給与・採用にかかった費用・教育にかかった費用など、すべてムダになってしまいます。ミスマッチを防ぐためには、採用前に自社が求める人物像を明確にすること、そして候補者の本質を見抜くスキルが重要です。【お役立ち資料】採用ミスマッチ1人あたり数百万の損失!?3.転職を繰り返す可能性がある離職する理由は、主に下記2つです。転職に対して抵抗が低い社内に居場所を見つけられない一度転職を経験すると、2回目以降の転職はハードルが下がりがちです。ポテンシャル採用に応募して転職入社した人材も例外ではなく、「この会社は合わない」と感じれば、すぐに次の転職先を探し始めてしまう可能性もあるでしょう。またポテンシャル採用の場合、同期がいない中で自分だけが分からない環境となることが多く、居づらさを感じる可能性が高いです。年下から教わることも多々あるでしょう。人によっては孤独に耐えられず、途中で離職してしまう可能性が十分にあります。企業はポテンシャル採用された人が長く働けるよう、環境を整えてあげることが重要です。【お役立ち資料】中途入社者の早期活躍を促進し定着率を向上させるオンボーディング実践例4.理想的な人材に成長しないリスクもあるポテンシャル採用で確保した人材が、必ずしも理想的な人材に成長するとは限りません。採用時に行われる面接や書類選考だけでは、その人のポテンシャルを完全に見極めるのは難しいのが実情です。そもそもポテンシャル採用は、候補者の将来性を買って採用する、いわば投資のようなものです。リスクのない投資が存在しないのと同じで、ポテンシャル採用も見誤る可能性は十分にあります。ポテンシャル採用で失敗しないコツ5選ポテンシャル採用で失敗しないコツとして、下記の5つが挙げられます。採用管理システムやマッチングサービスなどのITツールを活用する適性検査やリファレンスチェックサービスを利用する重視するポテンシャルを明確にするオンライン求人ページの情報を充実させる退職理由に違和感がないかを確認するポテンシャル採用が上手くいくよう、それぞれについて詳しく見てみましょう。1.採用管理システムやマッチングサービスなどのITツールを活用する1つ目のコツは、ITツールの活用です。ITツールを活用することで、業務の効率アップやサービス品質の向上など、さまざまなメリットが得られます。これはポテンシャル採用においても例外ではありません。採用管理システムで置き換え可能な業務は自動化・簡略化し、候補者の見極めに時間を割けるようにしましょう。また、ポテンシャル採用を行う上で、採用担当者は『候補者の潜在能力』を見抜く必要がありますが、スキルも経験もない候補者の本質を見抜くのは容易いことではありません。そこで活用したいのが、企業と候補者、双方の適性を判断するツールです。企業の特性や制度、求める能力と、候補者の個性や性格、能力などを照合し、合致する人材を見つけることが目的です。キャリア採用でも活用される「転職マッチングサービス」や「人材マッチングサービス」を用いることで効率よく求める人材を発見できる可能性があります。2.適性検査やリファレンスチェックを利用する2つ目のコツは、採用フローの中に適性診断やリファレンスチェックを組み込むことです。応募書類や、時間の限られた面接だけでは将来性や人柄を見極めきることが難しい場合があります。面接では候補者は自分をよりよく見せようとすることが多いため、本来の候補者が見られないこともあります。そのため、候補者の本質を知るには選考過程の中で、「適性検査」や「適性テスト」と呼ばれるテストを候補者に受けてもらったり、リファレンスチェックを実施したりすると良いでしょう。尚、リファレンスチェックとは、候補者の人柄や働きぶりを第三者(前職の上司や同僚など)に質問し、教えてもらうことをいいます。面接で話している内容にギャップはないか、前職ではどのような働きをしていたのか、候補者自身が把握しきれていない強みや弱みは何か、などを知ることができる選考手法です。関連記事:リファレンスチェックとは?リファレンスチェックのやり方と内容を解説3.重視するポテンシャルを明確にする3つ目のコツは、重視するポテンシャルの明確化です。どのような人物を求めるかによって、必要なポテンシャルは変わります。重視するポテンシャルを明確にすることで「なんとなく良さそう」といった曖昧な判断ではなく、確からしい評価を下せるようになるのです。例えば、アイディアの発案が求められるなら発想力、営業であれば行動力やコミュニケーション力など、職種や業種によって、求められるポテンシャルは大きく異なります。重視すべきポテンシャルを持っていない人を採用してしまうと、企業にとっても候補者にとってもデメリットでしかありません。自社で求めるポテンシャルは何かを、今一度考えておくと良いでしょう。自社で既に活躍している社員の特性がヒントになることもあります。関連記事:ハイパフォーマーの特徴とは?育成のポイントや分析方法も解説4.オンライン求人ページの情報を充実させる4つ目のコツは、オンライン求人ページの情報を充実させることです。20代の候補者は、スマホやタブレットなど、Web上の求人情報を見ながら就職先を探している傾向が見られます。オンライン求人情報を充実させることで候補者の目に入りやすくなり、候補者を集めることができるのです。少子化の今、多くの企業では人手不足で候補者を取り合う状況となっています。そのため十分な候補者を確保する工夫が必要です。オンライン求人ページの情報を充実させることは、候補者を増やす一助となるでしょう。また、求人ページに適切で十分な情報開示を行っておくことは採用ミスマッチを減らす上でも重要です。候補者の確保に躍起になると、ネガティブな情報を伏せたり、必要以上に魅力的に見せようとしたり、現状をそのまま伝えられなくなりがちですが、採用した候補者に離職されてしまっては採用コストが無駄になってしまいます。事実を適切に記載しましょう。5.退職理由に違和感がないかを確認する5つ目のコツは、退職理由の確認です。前職を辞めた理由によっては、自社にとってマイナスの影響が出る可能性があります。退職理由を知られることに不都合があった場合、候補者は嘘の理由を伝えるかもしれません。すると、採用担当者は違和感を覚えるはずです。その違和感を見逃さないことがポイントとなります。例えば、本当は人間関係が原因で退職していたのに、「キャリアアップや事業成長が見込めないことが退職の理由です」と面接で伝えられたとします。本当の退職理由を企業側が見抜けずに採用してしまうと、また同じ理由で組織に馴染めなかったり、一緒に働くメンバーも業務に支障が出る恐れがあります。何を理由に前職を退職したのかは、納得感が出るまで確認するようにしましょう。ポテンシャル採用を導入している企業の事例既にポテンシャル採用を実施している企業も多くあります。実際にポテンシャル採用を導入している企業の事例をご紹介します。サイボウズ株式会社サイボウズ株式会社は、IT業界・職種未経験でも自社に興味を持ってくれている人向けに、チャレンジ採用枠としてポテンシャル採用を実施しています。若手と呼ばれる年代に限らず募集を行っているようです。年齢や過去の経験に縛られず、多様な背景を持つ人材を募集することで、実際に前職が看護や食品など、全くの他業種からの採用が成功しています。参考:ポテンシャル採用|サイボウズ株式会社ソフトバンク株式会社ソフトバンク株式会社は、2015年から提唱している「ユニバーサル採用」の考えに基づき、新卒採用枠の中でポテンシャル採用を実施しています。新卒採用の対象者は、「入社時30歳未満の新卒/既卒/就業者」とされており、30歳未満であれば未経験者でも応募が可能です。また、毎年4月入社に向けて、その年に卒業する学生を一括採用するのが一般的な新卒採用ですが、「挑戦する意欲ある方には広く門戸を開き、自由な時期に自己の意思で活動を行えるように」という考えのもと4月・10月の2回の入社タイミングがあります。参考:ユニバーサル採用 | ソフトバンク株式会社株式会社リクルート「一人ひとりが個性や強みを発揮して自律的に働くために、社員が成長できる機会・環境を提供する会社でありたい。」という考えのもと、株式会社リクルートでは新卒採用の中でポテンシャル採用を行っています。「1. 2025年4月に入社できること」「2. 30歳以下であること」の2条件さえ満たせば、どんな人でも応募可能としています。参考:募集要項 | 株式会社リクルートみずほフィナンシャルグループみずほフィナンシャルグループでは、第二新卒採用枠として、入社日時点で社会人経験5年未満の人材を対象に、「ポテンシャルキャリア採用」を実施しています。「ポテンシャルもキャリア」という考えのもと、業種経験不問で募集を行っています。実際に、物流会社やゼネコン、国家公務員など、広い業種からの採用に成功しており、未経験者を丁寧に育てていく土壌も出来ているようです。参考:ポテンシャルキャリア採用 | みずほフィナンシャルグループポテンシャル採用で失敗を防ぐためにリファレンスチェックを活用!ポテンシャル採用は若手の人材不足が深刻な今、多くの企業にとって採用の間口を広げる新たな採用手法として注目されている方法です。ポテンシャル採用の導入は様々なメリットが得られる反面、デメリットが生じるリスクもあります。そのリスクを軽減する方法の1つとして、リファレンスチェックをご紹介しました。しかし、リファレンスチェックは電話やメール、対面インタビューなど自社で行うと採用担当者の負担が増えてしまい、結果的に採用効率を悪くする恐れがあります。そこでおすすめなのが、オンラインで完結できるタイプのリファレンスチェックサービスです。株式会社ROXXの提供するオンライン完結型リファレンスチェックサービス「back check(バックチェック)」では、候補者の情報を登録したら担当者はあとは待つだけでレポートを取得することが可能です。採用担当者の作業負担が大きく増えることなく、候補者の本質を見抜きやすくなります。ポテンシャル採用を成功させたい採用担当者の方はぜひご検討ください。