目次オンライン採用とはまずはオンライン採用の基本を解説します。オンライン採用は候補者にも需要があるオンライン採用は候補者にも需要がある取り組みです。「説明会や面接の日程調整が難しい」「会場までの距離が遠くて負担が大きい」などの理由で、候補者が応募そのものをあきらめざるを得ないことも少なくありません。オンライン採用でこれらの課題をクリアすれば、候補者の応募の選択肢が広がり、企業がまだ見ぬ人材に出会える機会も拡大します。Indeed japan株式会社が行った調査では、大企業のうち91.5%は採用プロセスにオンライン化を導入しており、そのうち75.9%の企業で「成果があった」と回答していることが分かっています。このうち最も成果が上がった部分は「応募者の増加」です。オンライン採用の導入は、企業と候補者の双方にとってプラスに働くようです。参考:企業の採用担当者を対象に「人材採用プロセスのオンライン化」に関する調査を実施|Indeed Japan株式会社オンライン採用の導入企業は4割以上中小企業においても、オンライン採用の導入は4割を超えています。ProFuture株式会社/HR総研が行った調査では、最終面接まですべてオンラインのみで実施した中小企業の割合は44%です。新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、対面での説明会や面接選考が実施できなくなったことで、オンライン採用の導入件数は飛躍的に高まりました。すべての選考プロセスをオンライン化するのが難しい場合でも、オンライン面接と対面面接の両方を行って部分的に効率化を図る企業もあります。参考:2021年卒及び2022年卒採用活動動向調査 結果報告|HR総研オンライン採用のメリットオンライン採用を導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的な効果をチェックしてみましょう。情報量が限られるため採用の精度を上げやすい採用で最も注力すべきなのは、自社と相性の良い人材を見極めることです。自社との相性や候補者の能力の見極めに集中する必要があります。しかし人間の印象は様々な要素によって変わります。例えば対面で面接をする場合、スーツなどの服装、身長、体型、顔、立ち振舞いなど、実際の能力に直接関係ない要素によって候補者への評価が変わってしまうケースも珍しくありません。オンライン採用では、画面から得られる候補者の情報量が限られます。情報が限られる分、候補者の第一印象によって左右されることが減り、より候補者の能力を適切に評価し、企業と候補者のミスマッチを防ぎやすくなります。母集団の形成が早い母集団形成とは、採用活動において自社の求人に興味や関心の高い候補者を集める最初のステップです。これまでは会社説明会やセミナー、就職ガイダンスといったオフラインでの手段が主な母集団の形成方法でした。それらの母集団の形成方法をオンライン化することで、候補者に手軽に企業のことを認知してもらえる機会も増え、母集団形成のスピードが早くなります。さらに会社説明会の動画配信、オンライン面接などを導入すれば、時間や場所の制約が取り払われるため、これまでの方法ではマッチングしなかった候補者と出会える可能性もあります。オンライン採用の導入によって、母集団形成に必要だった時間やコスト、人的リソースも軽減されます。候補者の時間や費用の負担を削減できるオンライン採用は、候補者の時間や費用面での負担を軽減します。例えば、説明会や面接会場まで足を運ぶ移動時間、交通費などが不要になります。遠方からの候補者の場合、交通費の負担が大きくなる上、滞在費が必要になるケースもあり、それが複数回続くこともあります。新卒採用の現場では、滞在費や交通費を候補者が負担するケースも多く、優秀な地方の人材に出会えないことになり機会損失が生まれてしまうこともあります。オンライン化が進めばこれらの負担がほぼなくなるため、候補者に余裕が生まれ、より多くの候補者との接点を獲得できます。選考の負担軽減や早期化を期待できるオンライン採用の導入によって、採用業務のデジタル化を進めやすくなります。採用担当者は、候補者の書類管理から面接のセッティング、会場への案内送付、各種連絡や候補者のフォローなどありとあらゆる業務に追われます。さらに対面面接では、候補者のスケジュールや会場までにかかる移動時間などを考慮して調整をする必要があります。また面接会場の手配や案内なども必要です。このプロセスにはかなりの時間を要しており、採用担当者の負担となっているはずです。オンライン採用なら、面接は簡易的な狭いスペースでも問題ありません。候補者の移動時間を考慮しなくていい分、面接時間の設定も自由になります。お互いの都合さえ合えば、応募がきたその日のうちに面接を行うことも可能です。面接担当者のスケジュールもおさえやすくなるため、全体的な選考プロセスの時間短縮も期待できます。リモートワーク時のコミュニケーションイメージが湧きやすいオンライン採用を導入していれば、候補者に採用後のリモートワーク時のコミュニケーションイメージも持ってもらいやすくなります。画面共有のみのコミュニケーションは、表情が読み取りにくいことや通信に若干のタイムラグが生じるなど、対面で話すより難易度が高いとされています。面接時にビデオ通信でのコミュニケーションの取り方をある程度把握してもらうことで、実際の業務における意思疎通の取り方やトラブル対処などのリハーサルが可能です。オンライン採用は、リモートワークを見越しての準備としても活用できます。【お役立ち資料】優秀人材を採用するために不可欠な3つのポイントオンライン採用のデメリットオンライン採用には、メリットだけでなくデメリットもあります。課題点も考慮してオンライン採用の準備を進めると良いでしょう。お互いに伝えられる情報量が限られるオンライン面接は、対面面接に比べて得られる情報量が少なくなります。情報量が限られることは、メリットでもありデメリットにもなります。非言語的な情報が限られてしまうため、お互いに本来の姿を確認し合うのが難しくなる可能性も否定できません。また通信のタイムラグが生じることで会話のテンポが取りずらいと感じることもあります。このような課題点は、会話量を多くすることでクリアできます。候補者の選考書類をしっかりと読み込み、事前に質問したいことをピックアップしておきましょう。一歩踏み込んだ話をすることで候補者の人柄を感じ取りやすくなります。またオンライン面接で好感触を得られたら、対面で話す機会を設けて印象を再確認するようにしている企業も多いです。すべてをオンラインで完結させるのではなく、必要な部分だけオフラインも取り入れて、オンラインとオフラインを使い分けることも有効です。未消化感につながりやすいオンライン採用は、非言語情報の少なさやミスコミュニケーションが増えることから、お互いに未消化感が残ることも少なくありません。相手の発言を聞き取れなかったり、聞き間違えたりといったすれ違いも起こりやすくなります。お互いの認識がズレたまま会話が進行してしまうケースもあるでしょう。さらにオンライン採用は、非言語情報が少ない分、相手が語る言葉やその内容は伝わりやすくなります。しかし「伝わった」という実感は相槌や表情、身体の揺れ方などの非言語情報に強く表れます。つまり、お互いに「伝わった感」が得にくいのです。オンライン採用では、お互いの認識や理解のズレが生じやすいため、結果的に未消化感が残ってしまうこともあります。この課題をクリアするには、より分かりやすい言葉ではっきりと伝えるように意識することが大切です。機材などの環境による影響も小さくないオンライン採用を導入する際は、機材や通信環境のトラブルにも注意しましょう。オンライン面接では、通信環境が悪いことで相手の会話が途切れたりフリーズしたりすることがあります。使用するオンラインツールの影響で、ミーティングルームにアクセスできないといったトラブルが起こることも少なくありません。これでは予定通り面接を進められず、中断となる可能性もあります。このようなシステム上の課題は、社内の通信環境や機材、ツールの整備を徹底することで解決できます。例えば、日ごろから通信環境のテストを行い、状況に応じて通信会社やオンラインツールの見直しなども検討しましょう。同時進行しやすいため候補者の志望度を上げにくいオンライン採用は、候補者の志望度を上げにくいことや志望動機の形成がしにくいという課題もあります。例えば、合同企業説明会のようなイベントでは、知名度の高い企業や規模の大きい企業を目当てに来場した候補者が、知らない企業ブースにたまたま立ち寄ったことで心動かされ、応募を決めるというような偶発的な出会いも生まれていました。このような事例は、候補者が企業に対して感情面で魅力を感じている状態です。有名度や規模といったステレオタイプに引っ張られることなく、オリジナルの志望動機も確立しやすかったため、偶発的な志望度の引き上げも可能でした。オンライン採用は、このような偶発的な出会いや縁が生まれにくくなります。複数企業に同時進行で応募するなど効率化を重視するようになっていることが、逆に企業と人材のマッチング機会を妨げてしまう側面もあります。この課題を解決するには、オンラインでの会社説明会のやり方や動画の見せ方などの工夫が必要です。会社紹介動画には社内の普段の様子、社員へのインタビューなどを盛り込み、社内の風土や文化、雰囲気をリアルに伝えられるようにしましょう。候補者と対面でコンタクトを取れるような、小規模なコミュニケーションの機会を別途設けることも有効です。集団面接やグループディスカッションがしにくいオンライン採用は、集団面接やグループディスカッションの実施は難易度が高くなります。オンライン面接では非言語情報が得にくく、発言者の数も限られます。そのため一度に参加する候補者が多ければ多い分、一人ひとりの特徴や様子の変化などに気づくことが難しいです。集団面接やグループディスカッションをする際は、全員が話せるように工夫したり、緊張が高まりすぎないようにすることも必要なため、ファシリテーターの力量が試されます。オンラインで複数人の選考を進める際は、十分な準備とシュミレーションをしてから臨みましょう。時間配分の設計や質問事項の整理など、細かい部分まで計画を立てておくと安心です。オンライン採用を成功させるコツオンライン採用を成功させるには、以下のポイントを重点的にチェックしてください。選考プロセスをオンライン中心に再設計する選考プロセスをオンライン中心の流れに再設計していきましょう。全体の採用フローを整理し、どの部分をオンライン化できるかを見極めることから始めます。自社の採用フローを可視化するオンライン化が可能な部分を確認する自社に適したオンライン採用フローを再構築する一般的な採用フローのうち、オンライン化が可能なのは会社説明会や面接です。会社説明会は、社内の様子や企業PRを動画化して候補者に見てもらう方法が多いです。面接は、オンラインミーティングツールを準備し、候補者に参加案内を送信します。もしくは、企業からの質問に対する回答をビデオで撮影してもらい、その動画を企業に送ってもらう手法を取るケースもあります。ただし、すべての企業が同じ採用フローや手法を取る必要はありません。例えば「会社説明会はオンラインでも問題なさそうだけど、面接がオンラインだと不安」という企業もあるはずです。企業ごとにオンライン化できる(したい)範囲は異なるため、自社の現状を把握しつつオンライン採用を設計していきましょう。ツールやトラブル時の対応を整備するオンライン採用に使用できるツールの情報収集をしっかりと行いましょう。特にトラブル発生時の対処法を明確に定め、マニュアル化しておくと安心です。オンライン面接で起こりやすいトラブルは、音声トラブルや映像の乱れ、タイムラグなどです。音声が聞こえなかったり途切れたりする不具合は、イヤホンの抜き差しで改善することがあります。また映像が出なかったりタイムラグや乱れなどがひどいときは、ミーティングルームを一度退出して入り直せば、回避できることもあります。ただし、このような対処法を試しても状況が改善しないケースもあります。あらかじめ複数のミーティングツールを用意しておき、他のツールで代用できる体制を整えておきましょう。面接を中断するとスケジュールの再設定に手間と時間がかかってしまうため、ツールは複数準備しておくと良いです。一般的にはSkypeやZoomといったミーティングツールが有名ですが、他にもオンライン面接に便利なツールはたくさんあります。情報取集を積極的に行いツールの選定に役立ててください。言語以外にも情報量を増やすオンライン採用では、言語以外の情報量を増やすように心がけてください。普段通りの面接のやり方をしていても、オンライン上では無表情で威圧的な態度と候補者に感じられてしまうこともあります。表情の明るさや相槌の大きさ、動作なども工夫してみましょう。特にオンラインでは「伝わっている感」や「理解度」の部分がお互いに伝わりにくいため、候補者の回答に対しては大きめのアクションを交えながら反応を見せてください。候補者が初めてオンライン面接を体験するケースもあります。緊張感や警戒心が強く働き、本来の姿でコミュニケーションが取れないことも往々にしてあるでしょう。面接担当者は、自己紹介や軽い雑談などのアイスブレイクを長めに取り入れて、場の緊張をほぐす工夫をすると良いです。同時に、企業側も候補者の表情や空気感といった非言語情報を読み取りにくくなります。エントリシートや履歴書などの書類を丁寧に読み込んで、情報をより多く取得することに努めましょう。評価基準や要件定義を明確にするオンライン採用の精度を上げるためには、自社の採用における評価基準や要件定義を明確にしておく必要があります。【評価基準とは?】評価基準とは、候補者をより正確に、客観的に評価するために設ける基準です。評価基準は「なぜこの項目を見る必要があるか?」「なぜこの項目を優先的に評価するのか?」など、目的や意図を明確にしながら設定します。【要件定義とは?】要件定義とは、自社が人材に求める要件を定義づけることをいいます。これは面接担当者の主観や場の雰囲気によって評価がブレてしまうのを避けるためです。面接担当者が候補者に個人的な感情移入をすることを防ぎ、公正な採用をするのに重要な指針となります。これまでの対面面接では、評価基準や要件定義を明確化しなくても、会って接触したときのフィーリングや直感的な感覚で判断できることもありました。一方、非言語的情報が得にくいオンライン採用では、要件定義を基にした質問事項を用意し、明確な評価基準を設けておかないとスムーズな会話のやり取りが成り立たなくなる可能性があります。お互いの未消化感を軽減するためにも、候補者への質問は明確な基準や要件を基に準備しておくことが大切です。リファレンスチェックで候補者の情報量を増やすリファレンスチェックとは、候補者と過去一緒に働いたことのある関係者に対して聞き取り調査を行うものです。書類や面接だけでは分かりにくい、候補者の過去の実績や社内での評価などを知ることができます。リファレンスチェックはオンライン採用との相性が良いため、積極的に取り入れる企業が増加中です。候補者の本当の人物像や仕事での立ち居振る舞いなどを詳細にヒアリングできるので、人柄が伝わりにくいオンライン採用の穴を埋めてくれる手段となります。ただ、リファレンスチェックは候補者の承諾がなければ実施できません。候補者にリファレンスチェックの目的を必ず伝えた上で、許可を得てから実施するようにしましょう。関連記事:【企業向け】リファレンスチェックとは?リファレンスチェックのやり方と内容を解説まとめオンライン採用は、新しい採用方式のスタンダードになりつつあります。採用フローや母集団形成の迅速化、時間やコストの削減などさまざまなメリットがあるため、多くの企業が積極的に導入しています。しかしその一方で、表情や雰囲気、反応といった非言語情報が読み取りにくくなることから「意思疎通が図れている実感」や「候補者の志望度が上がりにくい」といった課題点もあります。特に候補者に関する情報量が限られる点は、採用後の業務におけるミスマッチにも影響しやすいです。オンライン採用を導入する際は、念入りな準備と計画、リファレンスチェックの活用などを視野に入れ、不足分を補うような仕組みづくりが重要です。採用ミスマッチを防ぎ、より自社に適した人材を迎え入れることができるよう、オンラインリファレンスチェックサービス「back check(バックチェック)」の導入もぜひご検討ください。