経歴詐称による内定取り消しは可能?ケースと企業のリスクを解説

更新日:2026/7/14

執筆者:back check magazine 編集部

経歴詐称

この記事のまとめ(要約)

経歴詐称による内定取り消しは、学歴・職歴・資格に関する重大な虚偽や、重要な情報の意図的な隠蔽があった場合に認められる可能性があります。内定を取り消せるケースや企業側のリスク、内定取り消しを防ぐ対策を解説します。

転職市場では、候補者の経歴詐称という問題が後を絶ちません。

採用活動の中で候補者の経歴詐称が発覚した場合、企業はその候補者に対して内定を取り消す権利はあるのでしょうか?また、経歴詐称による内定取り消しをすることになった場合、企業側にどのようなリスクがあるのでしょうか?

本記事では、経歴詐称による内定取り消しができるケースとできないケースや、経歴詐称により内定取り消しをすると生じる企業側のリスクについて解説します。

目次

経歴詐称による内定取り消しは可能か?

経歴詐称は、候補者がこれまでの経験や経歴などを偽って申告することです。具体例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 学歴詐称:卒業していないのに卒業したことにする、学校名を偽るなど

  • 職歴詐称:勤務した企業名や職務内容、在職期間を偽るなど

  • 犯罪歴詐称:犯罪歴を隠す、偽るなど

候補者の経歴詐称があった場合、内定取り消しが可能なケースと内定取り消しに至らないケースが存在します。それぞれ解説します。

内定取り消しが可能なケース

学歴や資格、職歴などの経歴が明らかな虚偽の場合や、業務やプロジェクトでの実績を大幅に誇張していた場合、企業と候補者の信頼関係を根本から損なうため、企業は内定取り消しができる可能性があります。

また、前職でのトラブルや解雇の経緯、金融トラブル、刑事事件など、職務との関連性が高く、採用判断に重大な影響を与える事項について、企業から申告を求められたにもかかわらず、候補者が意図的に虚偽の申告をした場合も、内定取り消しが認められる可能性があります。

内定取り消しに至らないケース

候補者の記憶違いや細部の誤解など、意図的ではない軽微な申告の誤りは、内定取り消しの対象にはならない場合があります。ただし、軽微な誤りに該当するかどうかは、誤りの内容や職務との関連性、採用判断への影響などによって個別に判断されます。

経歴詐称の疑い自体が誤解である場合、双方の対話で事情が明らかになり、再び信頼関係を築くことができれば、内定取り消しに至らないケースも考えられます。

経歴詐称の主な種類

そもそも経歴詐称とはどのようなものを指すのでしょうか?経歴詐称の主な種類を紹介します。

学歴詐称

学校の名前、卒業年次、学部・学科、取得学位などの情報を偽る行為です。

高卒なのに大卒と偽る、大卒なのに高卒と偽る、または卒業した学校の名前を偽るといった行為はすべて学歴詐称になります。

職歴詐称

前職の職種、業務内容、在籍期間、役職などのこれまでの職務経験を偽る行為です。

候補者は、勤務した企業名や職務内容、在職期間、雇用形態、職歴、転職回数などは応募先の企業に正確に伝える必要があります。

スキルや資格の詐称

実際に持っていないスキルや資格を有していると報告する行為です。

例えば、TOEICのスコアを誇張する、存在しない資格を記載するなどがあります。

推薦の詐称

他者からの推薦や評価を偽る行為です。

例えば、存在しない人物からの推薦状を候補者が企業へ提出するなどがあります。

研修やセミナー参加の詐称

実際に参加していない研修やセミナーに参加したと報告する行為です。

例えば、高度な技術のセミナーに参加したと偽装するなどがあります。

受賞歴の詐称

実際には受賞していない賞や称号を受賞したと報告する行為です。

例えば、企業の業績向上による賞を受賞したと報告するなどがあります。

社会活動やボランティアの詐称

社会的な活動やボランティアの経験を偽る行為です。

例えば、海外でのボランティア経験を誇張する、存在しないNPO団体での活動を報告するなどがあります。

経歴詐称をした候補者の内定取り消しをしない場合のリスク

経歴詐称が発覚した候補者を採用することは、企業にとって多くのリスクをもたらす可能性があります。経歴詐称をした候補者を受け入れた場合のリスクを紹介します。

コンプライアンス上のリスクが生じる

候補者の経歴詐称を十分に確認せず採用すると、資格や経歴が必要な業務を適切に任せられないなど、コンプライアンス上の問題につながる可能性があります。
また、経歴詐称への対応が不適切だった場合、企業の信用やブランド価値が低下するおそれもあります。

期待したパフォーマンスを発揮しない

経歴詐称をした候補者は、実際のスキルや経験が不足している可能性が高いです。

そのため、企業が期待している業績や成果につながるようなパフォーマンスを発揮することができないリスクがあります。

ミスマッチによる早期退職

候補者は詐称した経歴やスキルに基づく業務を遂行することが困難であるため、早期に退職する可能性が高まります。

採用ミスマッチによって、採用コストや教育コストが無駄になるリスクがあります。

本人への事実確認や処分の検討が必要

入社後に新たな詐称が発覚した場合は、本人への事実確認や担当業務の見直し、処分の要否などを検討する必要があります。
こうした対応には時間や労力がかかり、通常業務に影響を及ぼす可能性があります。

他の従業員への対応が必要

経歴詐称をした候補者を採用することで、他の従業員との間に信頼性の問題や摩擦が生じる可能性があります。

職場の人間関係や雰囲気が悪化してしまうリスクがあります。

社内への対応が必要

候補者の経歴詐称が発覚した際、社内全体への説明や対応が求められる可能性があります。また、経歴詐称を容認した経緯や背景についての説明が必要となることも考えられます。

社内への対応や説明には時間や労力がかかり、業務の効率が低下するリスクがあります。

経歴詐称による内定取り消しをした場合のリスク

候補者の経歴詐称が発覚した場合、内定を取り消し、採用を見送ることは悪いことではありませんが、リスクも生じてしまいます。経歴詐称による内定取り消しをした場合のリスクを説明します。

企業のブランド・イメージの低下

内定取り消しは、企業の採用プロセスが不透明または不公平に見える原因となります。

経歴詐称の事実が伏せられ、企業が一方的に内定を取り消したかのような情報がWeb上やSNSで拡散されると、企業の採用プロセスが不透明または不公平であるとの印象を与える可能性があります。その結果、企業の信頼性やブランドイメージが低下し、将来の人材獲得にも影響を及ぼすおそれがあります。

採用コストの増加

一定の選考フローを経て、内定まで出している段階での内定取り消しは、採用にかかったコストが無駄になることを意味します。

再度候補者を採用するまでの時間とコスト、面接の手間などがかかるため、多くのリソースが無駄になる可能性が高まります。

採用活動の遅延

内定取り消しをした後、再度募集をかけたり選考を行うことになるため、採用スケジュールが遅れる可能性があります。

人員不足や業務遅延などのオペレーショナルなリスクが発生することも考えられます。

法的リスク

内定取り消しは、企業と候補者との間で法的なトラブルが生じるリスクも伴います。

採用内定は労働契約が成立していると見なされ、企業が自由に内定を取り消せるわけではありません。

例えば、内定取り消しの理由が不適切であった場合、違法解雇として訴訟の対象となるリスクがあります。一方で内定当時には知り得なかった候補者の経歴詐称などが判明し、それが内定取り消しの理由として客観的に合理的・社会通念上相当と認められる場合には、内定の取り消しは可能となることがあります。

すでに試用期間が開始している場合や、入社後に過去の経歴詐称が発覚した場合の対応は、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:経歴詐称が発覚した場合、懲戒解雇はできる?判例とあわせて対処法を解説 

ステークホルダーからの信用低下

採用活動が公然と行われている場合や業界内での評判が重要な場合には、外部との信頼関係の低下に注意が必要です。

内定取り消しの理由や手続きが不適切で、その事実が公になった場合は、採用候補者だけでなく、取引先などのステークホルダーからも企業姿勢に疑念を持たれる可能性があります。

情報流出のリスク

内定者に機密情報を共有していた場合、内定取り消し後の情報管理にも注意が必要です。また、内定取り消しに至った経緯がSNSなどで公開され、企業の情報管理体制や採用プロセスに疑念を持たれる可能性もあります。

経歴詐称による内定取り消しを防ぐための対策

候補者の経歴詐称は企業にとって大きなリスクをもたらすため、詐称を事前に見抜き、適切な採用活動を行うことが重要です。経歴詐称による内定取り消しを防ぐための具体的な対策を紹介します。

徹底した書類選考

履歴書や職務経歴書の内容を詳細に確認し、矛盾や不自然な点がないかを確認しましょう。

特に、経歴やスキルに関する記述が少なすぎないか、内容が曖昧になっていないかを確認します。一人の担当者だけで判断せず、複数人で確認することも有効です。

面接で見抜く

面接時には、履歴書や職務経歴書の内容を候補者に具体的に尋ねましょう。詳しい経緯や実績の説明を求めることで、反応や答えの内容をもとに真実性を判断します。

専門的な知識や経験を問う質問を用意して、実際のスキルや経験を確認することも有効です。

誓約書の提出を求める

候補者に、履歴書や職務経歴書などの申告内容が事実であることを確認する誓約書の提出を求める方法もあります。

虚偽申告が判明した場合の取り扱いを就業規則や誓約書などに明記し、候補者に事前に説明しておくことが大切です。

コンプライアンスチェックを行う

書類選考や面接を補完する方法として、コンプライアンスチェックを活用することも有効です。

コンプライアンスチェックとは、公的公開情報・Web情報・個別調査によって、候補者申告に虚偽の情報がないか、コンプライアンスリスクがないか等を確認する手法です。

経歴詐称だけではなく、犯罪歴がないか、反社会的勢力に関与していないか、SNSで問題発言をしていないかといった内容も調査できます。

内定取り消しを防ぐためにコンプライアンスチェックを活用

経歴詐称を防ぐためには、上記に挙げた方法のほかに、候補者と一緒に働いたことのある第三者から候補者の情報を得るリファレンスチェックも有効です。

back check株式会社ではオンライン完結型のコンプライアンスチェック・リファレンスチェックサービス「back check(バックチェック)」を提供しています。

経歴詐称を見抜きたいと考えている企業のご担当者様は、ぜひback checkの導入をご検討ください。

採用時におけるリスクの全体像や、企業が取り組むべきリスクマネジメントの基本については、総合解説ページ「採用リスクとは?人材採用のリスクを減らすポイント」で解説しています。

よくある質問

back check magazine 編集部

リファレンスチェック/コンプライアンスチェックサービス「back check」が手がけるコラム「back check magazine」の編集部です。採用担当のみなさまに向けて、役に立つ情報を発信していきます。

関連記事

新着記事