目次経歴詐称・学歴詐称とは経歴詐称とは、候補者がこれまでの経験や経歴などを偽って申告することです。具体例として、以下のようなものがあげられます。学歴詐称:卒業していないのに卒業したことにする、学校名を偽るなど職歴詐称:勤務した企業名や職務内容、在職期間を偽るなど犯罪歴詐称:犯罪歴を隠す、偽るなど経歴詐称・学歴詐称は罪?犯罪となるケース4選基本的に経歴詐称や学歴詐称は、犯罪行為ではありません。しかし、詐称の内容によっては犯罪となり得るケースもあります。経歴詐称や学歴詐称したことで問われる可能性のある犯罪は、以下の通りです。詐欺罪軽犯罪法違反私文書偽造罪民事責任(損害賠償、懲戒解雇など)実際にどのようなケースが犯罪行為と見なされるのか、1つずつ解説します。(1)詐欺罪の場合経歴詐称や学歴詐称が金銭目的で行われた場合、詐欺罪になる可能性があります。例えば、宅地建物取引士や建築士、管理栄養士といった国家資格を持っている人には資格手当が支払われます。資格を持っていないにも関わらず、嘘の申告をして資格手当を受け取っていれば詐欺罪にあたるでしょう。そもそも経歴詐称や学歴詐称をして入社したとしても、給与を受け取るだけでは詐欺罪にあたりません。給与そのものは、労務に対して支払われる対価だからです。ポイントとなるのは、労務以外のところで金銭が発生していないかどうかです。今回の例でいえば、有していないはずの資格に対して報酬が支払われています。ちなみに詐欺罪の法定刑は10年以下です。罰金刑がなく、懲役刑のみになるので重度な罪であることは言うまでもないでしょう。(2)軽犯罪法違反の場合軽犯罪法とは、その名の通り軽い犯罪を取り締まるために作られた法律です。そのため、罪を犯している意識のない行為で逮捕されてしまうケースもあります。今回の経歴詐称や学歴詐称では、軽犯罪法第1条15号が該当します。「官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者 」引用元:軽犯罪法|e-Gov法令検索つまり、学位や資格がないのにあると偽る、公務員でないのにその職を名乗るなどの行為は軽犯罪法違反に該当するのです。経歴詐称や学歴詐称そのものが軽犯罪法違反にあたる可能性があるので、注意が必要です。(3)私文書偽造罪の場合他人の名義を使用し、私文書を偽造した場合に問われる罪です。採用試験の場では、履歴書が私文書にあたります。自分の履歴書に虚偽の内容を記載するだけでは、私文書偽造罪には該当しません。履歴書に他人の名前を記載したり、他人の卒業証明書や資格証明書を自分の名前に書き換えたりすると罪になります。私文書偽造の法定刑は3ヶ月以上5年以下の懲役です。詐欺罪と同じく、懲役刑のみになるので前科がつきます。(4)民事責任に問われる可能性経歴詐称や学歴詐称は、詐欺罪や軽犯罪法違反といった刑事責任よりも民事責任を問われる可能性が高いです。具体的には、就業規則の規定により懲戒解雇を言い渡されたり、会社に損失を与えた場合は損害賠償を請求されたりするケースが多くあります。特に悪質な場合は、懲戒解雇されたうえで損害賠償請求される可能性があるので、重い処分になりやすいです。■候補者の申告内容に虚偽がないかを確認するなら、back check経歴詐称・学歴詐称が発覚する原因とは?入社後に経歴詐称や学歴詐称が発覚することは珍しくありません。原因として考えられるのは主に5つあります。雇用保険被保険者証の確認源泉徴収票の確認卒業証明書の確認タレコミSNS経歴詐称は、雇用保険被保険者証や源泉徴収票に記載されている前職の社名・退職年月日・収入状況などから発覚することがあります。学歴詐称は、卒業証明書に記載されている学校名・学部名・卒業年月日などから発覚することがあります。タレコミに関しては、情報が入るタイミングがさまざまあります。意外なきっかけから、経歴詐称や学歴詐称が発覚するケースも。例えば「候補者の転職先と前職とが取引関係にあった」「前職の社員とつながりのある人がいる」などのケースです。また候補者がSNSを利用している場合、過去の投稿から経歴詐称や学歴詐称が発覚することもあります。経歴詐称・学歴詐称に気づいた時の対処法|解雇はできる?経歴詐称や学歴詐称が発覚した場合、企業は候補者を解雇できるのか気になりますよね。「詐称の内容が、懲戒解雇の事由になるほどの重大か?」がポイントになります。今回は以下3つのケースが起きた際に、企業ができる対処法について解説します。学歴詐称職歴詐称犯罪歴詐称学歴詐称の場合高卒なのに大卒と偽る、大卒なのに高卒と偽る、または卒業した学校の名前を偽るといった行為はすべて学歴詐称になります。学歴は一般教養や知識の高さを把握するうえで、重要な要素と考えられています。そのため学歴を偽ることは重大な詐称と判断されやすいです。もし募集条件に「大卒以上」と記載している場合は、学歴詐称を行った者に懲戒解雇を言い渡すことができます。ちなみに学歴を高く偽ることはもちろん、低く偽ることも例外ではなく、どちらも懲戒解雇事由になります。しかし、募集条件に「学歴不問」と記載している場合は、重大な詐称と認められない可能性が高いです。懲戒解雇事由にはならないので、違った形での対処が必要となります。職歴詐称の場合これまでの職務経験を偽る行為は、職務詐称になります。勤務した企業名や職務内容、在職期間、雇用形態職歴、転職回数などは正確に伝えなければいけません。特に懲戒解雇事由となり得る職歴詐称は、募集条件に「経験者のみ」とあるのに未経験者が「経験がある」と職歴を偽るケースです。例えば、プログラム開発をしたことがない人が、あたかも経験者かのように偽れば、重大な詐称として認められる可能性があります。しかし、誰でもできるような仕事や「経験不問」の仕事は、職歴詐称が行われたとしても懲戒解雇事由にはなりにくいです。犯罪歴詐称の場合犯罪歴がある場合は、履歴書の「賞罰」という項目に記載する必要があります。企業にとって信用に関わることなので、犯罪歴を隠したり偽ったりする行為は重大な詐称として扱われやすいです。「前科があることを知っていれば採用していなかった」と企業が判断した場合は、懲戒解雇になる可能性があります。ただし、不起訴のものや執行猶予期間が経過したもの、刑の執行が終わって10年経過したものに申告義務はありません。申告していなくても犯罪歴詐称にはならないので、処分の対象外になります。関連記事:経歴詐称が発覚した場合、懲戒解雇はできる?判例とあわせて対処法を解説経歴詐称・学歴詐称を見抜く方法経歴詐称・学歴詐称を事前に見抜く方法としては、以下の3つがあげられます。面接時のヒアリングリファレンスチェックバックグラウンドチェックまず面接時のヒアリングでは、履歴書や職務経歴書などの情報をもとに、学歴や職務経歴について少し深堀りした質問をしてみると良いでしょう。もし虚偽の申告をしていれば、踏み込んだ質問にスムーズに回答できないことがほとんどです。的外れな回答をしたり、しどろもどろになったりしている場合は、虚偽の申告をしている可能性があります。リファレンスチェックでは、候補者の前職の上司や同僚といった第三者からの情報を得られるので、経歴や学歴だけでなく、候補者の人柄や働きぶりについて詳しく把握できます。バックグラウンドチェックでは、選考書類や面接での回答内容に虚偽がないか、会社に不利益を与えるリスクがないかをチェックすることができます。本人が申告した情報の虚偽を検知したり、秘密にしている過去の不祥事や経歴などを明らかにし、「採用するべきではない人」を事前に検知するのに役立ちます。【お役立ち資料】サンプルレポート付き!コンプライアンスチェックでわかる採用リスク面接時のヒアリングとリファレンスチェック、バックグラウンドチェックを組み合わせることで、経歴詐称・学歴詐称を防ぎやすくなります。【もっと詳しく】20人に1人はいる、経歴詐称をしている人材の見抜き方 まとめ採用されたいがために経歴詐称や学歴詐称を行う候補者は少なからずいるものです。企業は求める人材かどうかを見極めるだけでなく、虚偽の申告がないかも判断しなくてはいけません。面接時のヒアリングで見抜くことはできるかもしれませんが、限られた時間で正しく判断するのは難しいでしょう。また採用担当者の経験、鑑識眼も求められます。そこでおすすめなのがリファレンスチェック・バックグラウンドチェックですです。リファレンスチェックは人物像や適応能力などの情報も取得でき、採用判断に役立ちます。バックグラウンドチェックでは、専門の調査会社が候補者の経歴をくまなくチェックするため、人事・採用担当者の負担が減り、虚偽の申告にも気づきやすくなります。オンライン完結型コンプライアンス/リファレンスチェックサービス『back check(バックチェック)』では、リファレンスチェックとバックグラウンドチェックを低コストで効率よく実施できます。採用ミスマッチによるリスクを防ぎたい採用担当者の方は、この機会にぜひご検討ください。