目次定着率とは?定着率の基本的な概念企業にとって、社員の定着率はその成長と安定に直結する重要な指標です。定着率が高い企業は、社員が長期間にわたって同じ職場で働き続けることで、ベテラン社員になりノウハウやスキルが向上します。そして、ベテラン社員から若手への教育によって知識が社内に蓄積されていくため、組織全体の生産性や競争力が向上します。一方、定着率が低い企業では、人手不足の解消のため常に新しい人材を雇用しなければならず、採用や育成にかかるコストが増加し、組織の一体感が損なわれ、業績に悪影響が出ることもあるでしょう。定着率の上げ方をご紹介する前にまず、この章では、定着率の基本的な概念や計算方法について見ていきましょう。定着率の基本的な概念と計算方法定着率とは、入社した社員が一定期間内にどれだけその企業に在籍し続けているかを示す指標です。一般的に、1年や3年といった期間を基準に計算され、社員がどの程度その企業に定着しているかを数値で表します。この定着率が高いということは、社員が企業に満足して働き続けていることを意味し、逆に低い場合は、離職者が多く発生していることを示します。定着率は、企業の働きやすさや組織文化の健全さを測る重要な指標です。計算には、まず定着率を確認したい期間(例:2023年4月1日〜2024年3月31日までの1年間 等)と、定着率を確認したい対象者(例:全社員の定着率 等)を決定します。期間と対象者が決まったら、次の式に当てはめることで算出できます。定着率(%)=(期間の最終日に在籍し続けている対象者数)/(期間の初日に在籍していた対象者数)×100例えば、2021年4月の新卒採用やその後のOJTの評価として、新卒採用者の3年後定着率を知りたいとします。その場合、対象期間は「2021年4月1日〜2024年3月31日」の3年間、対象者は「2021年4月入社の新卒社員」となります。2021年4月1日時点で対象者は20人おり、3年の間に4人が離職して、2024年3月31日時点では16人在籍してしていました。定着率=(期間の最終日に在籍し続けている16人)/(期間の初日に在籍していた20人)×100=80(%)となり、「3年後定着率80%」と言うことができます。定着率と離職率の違いとは?企業の人事戦略において、定着率と離職率はしばしば混同されがちですが、それぞれ異なる指標であり、どちらも企業の健康状態を測る重要な要素です。定着率とは、入社した社員が一定期間内にどれだけその企業に留まっているかを示す指標であるため、在籍中の社員に着目し、働きやすさや社員満足度を測るために使われます。一方、離職率は、一定期間内にどれだけの社員が企業を辞めたかを示す指標で、離職者の方に着目します。離職率が高いということは、何らかの理由で多くの社員が企業を離れていることを意味し、問題がある可能性が示唆されます。離職率の計算は、定着率の計算方法と同様に、まずは計算の対象期間と対象者を決めます。次に、以下の式に当てはめることで算出できます。離職率(%)=(期間中に離職した対象者数)/(期間の初日に在籍していた対象者数)×100定着率と離職率は表裏一体の関係であり、計算の対象期間と対象者が同じであれば、定着率(%)=100-離職率(%)離職率(%)=100-定着率(%)となります。定着している社員数に着目するのか、離職した社員数に着目するのか、の違いであり、自社の環境改善にはどちらの指標を使用しても構いません。日本企業における定着率の現状とその背景日本企業における定着率は、依然として高い水準を維持している企業が多いものの、全体的には変化が見られ始めています。従来の日本の労働市場では、終身雇用が一般的であり、定着率の高さが企業の安定性や信頼性を象徴するものでした。しかし、近年の働き方改革や労働市場のグローバル化に伴い、従来の終身雇用制度を見直す企業が増加しつつあります。特に若い世代を中心に、働くことに対する価値観が変わりつつあり、キャリアの自由度やワークライフバランスを重視する傾向が強まっています。さらに、リモートワークの普及や副業の推進といった新しい働き方の導入も、従業員の雇用形態に対する考え方に変化をもたらしています。総務省の「直近の転職者及び転職等希望者の動向について」という調査によると、調査期間最新の2023年7月〜9⽉期には転職等希望者は過去最多を記録し、転職が身近なものとなっています。参考:直近の転職者及び転職等希望者の動向について|総務省統計局労働力人口統計室日本企業における定着率は今後、こうした社会的変化を背景に、変化していく可能性があります。なお、厚生労働省の「雇用動向調査」によると、令和5年の日本の平均定着率は84.6%でした。上記で定着率の計算方法をお伝えしましたが、自社の定着率と比較していかがでしょうか。平均より低かった場合は定着率の向上が急務となるでしょう。参考:令和5年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省定着率を向上させる必要性定着率が低いままだとどのような問題があるのでしょうか。定着率を向上させる必要性について見ていきましょう。なぜ定着率の向上が必要か?低いままの場合に起こりうること定着率の向上は、ビジネスの安定と成長に不可欠です。定着率が低い企業では、離職者が出た分、新しい人材を確保しなければならず、採用や教育に多くのコストがかかります。優秀な人材が離職すれば組織全体のパフォーマンスが低下し、残された従業員の業務負担が増加することでモチベーションの低下も招きます。離職した人材が、競合他社に転職した場合には、自社で得た様々なノウハウも流出してしまいます。さらに、新しい社員が戦力化するまでには時間がかかり、十分にナレッジ共有できないままベテラン社員が離職することとなれば、組織内のノウハウやスキルが失われることもあるでしょう。反対に、定着率が高い企業は、安定したチームを維持できるため、社員は各々のスキルを磨いて生産性を向上させます。長期的なビジネス戦略を実行する際にも有利です。したがって、定着率の向上は、企業の競争力を維持し、持続的な成長を実現するために必要不可欠な要素となります。高い定着率がもたらす具体的なメリットとは?高い定着率を維持することは、企業に多くのメリットをもたらします。まず、社員の熟練度が高まり、業務の効率化が進むため、生産性が向上します。また、社員同士で知識や経験談を共有しあったり、若手社員に時間をかけて教育したりする中で、独自のノウハウやスキルが組織内に蓄積され、チーム全体のパフォーマンスが向上するでしょう。企業に長く定着している社員同士であれば、お互いの得手不得手も把握できてくるため、「この案件であればあの人に相談しよう」「あのプロジェクトはあの人をアサインすると良さそうだ」と社員間の連携も強化されていきます。さらに、予想外の離職者が少なければ、急遽新しい人材を募集する必要もないため、採用コストや教育コストは予算以上にかかりません。加えて、社員が安心して働き続けることで、「辞める社員が少ないということはきっと働きやすい企業だ」と企業のブランドイメージが向上し、優秀な人材を引き寄せる効果も期待できるのです。どうすれば定着率を上げられるのか?7つの施策で解決社員の定着率を向上させることは、企業の成長と安定に直結します。定着率を上げるためには、単に給与を引き上げれば良いのでしょうか。もちろん給与面での待遇向上は社員の生活を充実させる上で歓迎されることですが、一時的な賃上げでないのであれば原資を確保し続けなければいけませんし、人件費の増大は利益の減少となるため、簡単に決定できることではないでしょう。さらに、少し給与を上げたとしても、同程度の給与水準の同業他社が存在するならば、給与だけが社員の定着理由にはならないでしょう。つまり、表面的な施策を実施するだけでは不十分なのです。社員が長期的に安心して働ける環境を整えるためには、キャリアパスの明確化から福利厚生の充実、そして組織文化の共有に至るまで、多角的なアプローチが必要です。一方で、給与水準が業界平均・業種平均より著しく低い場合、定着しない要因となり得るため、定着率の向上には給与の引き上げが急がれるでしょう。定着率が上がらない理由はそれぞれの会社で異なるものです。この章では、社員の定着率を向上させるために企業が取り組むべき7つの具体的な施策をご紹介します。自社の定着率が上がらない原因に気づくヒントにもなるでしょう。キャリアパスの明確化身近にモデルケースとなるような先輩社員がいれば「自分も先輩に倣って仕事をして、3年後には主任になるぞ」と想像しやすいものですが、必ずしも全ての社員がそのような環境にいるとは限りません。企業側からどのような基準で昇進することができるか、キャリアパスを明確にすることで、社員は自分の将来像を具体的に描けるようになります。明確なキャリアパスがあることで、社員は成長の道筋が見え、モチベーションが向上するでしょう。また、キャリアパスが明確であれば、社員は自分のキャリアに対する不安が軽減し、長期的な視点で企業に貢献しようとする意欲が高まることで、定着率の向上に繋がります。計画的に人材を育成し、組織全体のパフォーマンスを向上させることができるでしょう。教育・育成への投資教育や育成に投資することは、社員のスキルアップを促進し、組織の成長を支える重要な要素です。社員が必要とする知識やスキルを習得できる環境を整えることで、業務の質が向上し、社員の自己成長感も高まります。これにより、社員は「この会社にいることで自身の成長を実感できる」と、企業への帰属意識が強化され、長期的な雇用関係を築くことが容易になるでしょう。また、教育投資は、企業にとっても競争力を高める重要な要素です。適切な人事評価制度の運用適切な人事評価制度は、社員のやる気を引き出し、組織のパフォーマンスを向上させるために欠かせません。公平で透明性のある評価制度が整備されていれば、社員は自分の成果が正当に評価されていると感じ、より高い成果を目指して努力するようになります。また、評価結果を基にした適切なフィードバックを行うことで、社員は自分の成長を実感し、企業への信頼感が高まるでしょう。自身の仕事を認めてくれる企業であれば、離職を考える可能性は低くなります。働きやすい職場環境の整備働きやすい職場環境を整えることは、社員のストレスを軽減し、生産性を高めるための基本です。フレックスタイム制度やリモートワークの導入、快適なオフィス環境の整備など、社員が心身ともに健康に働ける環境を提供することが重要です。また、労働時間の柔軟性を確保することで、ワークライフバランスが向上し、社員が長期的に働き続ける意欲が高まるでしょう。社員が働き続ける中で、病気になったり、子供ができたり、家族の介護が必要になったり、突然ライフスタイルを変えなければならないことが起こりえます。「もしそうなってもこの会社の制度があれば安心して働き続けられる」と感じられる環境であれば、社員の定着率は向上するでしょう。給与や福利厚生の充実給与や福利厚生は、社員の生活を支える重要な要素であり、企業に対する満足度にも大きく影響します。競争力のある給与水準や充実した福利厚生を提供することで、社員は安心して働き続けることができ、企業に対する信頼感が高まります。特に、医療保険や育児支援など、社員のライフステージに応じた福利厚生を充実させることが、長期的な雇用関係の維持に寄与するのです。効果的なコミュニケーションの促進効果的なコミュニケーションは、社員間の信頼関係を築き、チームワークを強化するために不可欠です。定期的な1on1ミーティングや、オープンな意見交換の場を設けることで、上司は部下社員の声をしっかりと聴き、迅速に対応することが可能になるでしょう。こうしたコミュニケーションの中で部署やプロジェクトを跨いで、気軽に仕事を褒めあったり、感謝を述べあったりする環境ができれば、社員のモチベーションを維持し、職場への愛着心を高める効果があります。また、社内に気軽に悩みや困り事を相談できる環境があることで、問題を早期に発見し、解決することができるため、社員の離職を防ぐことにも繋がるのです。組織文化と価値観の共有組織文化や価値観を社員と共有することは、企業の一体感を高め、社員の帰属意識を強化するために重要です。企業のビジョンやミッションを明確に伝え、共感してもらうことで、社員は自分の仕事が組織全体の成功に繋がっていることを実感できます。また、価値観を共有することで、社員同士の連帯感が生まれ、組織全体が一丸となって目標に向かって進む力が強まるでしょう。しかし、個人の思想や価値観はそれぞれです。どれだけ手を尽くして組織文化やビジョンを浸透させようとしても、納得・理解してもらえない人は一定数います。それは彼らが悪いのでも、企業側が悪いのでもなく、単に社風に合わないだけで採用段階でのミスマッチと考えられます。関連記事:社風に染まらない人を採用するリスクとは?面接時の見極め方・ミスマッチを防ぐ方法を解説初めから価値観や目指す方向が自社に一致している人物を採用する方法として、昨今では採用フローにリファレンスチェックを取り入れる企業もあります。候補者と一緒に働いたことのある前職の上司や同僚から、候補者の働きぶりや性格、価値観をヒアリングすることで、そもそも自社の価値観に合った離職されにくい人材を見極めて確保できるでしょう。関連記事:リファレンスチェックとは?基本的な流れや質問内容について解説定着率向上を実現するためには何をすべきか?実践ステップを解説ここまで、具体的な改善施策をご紹介してきましたが、一度に全てに取り組むのは難しいことです。まずは現状を正確に把握し、課題を特定することから始め、自社にとって必要な順で施策を計画・実施していきましょう。この章では、定着率向上を目指すための具体的な実践ステップとして、「現状分析と課題の特定」、「優先順位の設定と施策の計画立案」、「施策の実施と効果測定」の3つの段階に分けて解説していきます。現状分析と課題の特定定着率向上の第一歩は、企業の現状を正確に分析し、具体的な課題を特定することです。まず、セグメントを分けて現在の定着率を算出し、どの部門や職種で問題が生じているのかを明らかにします。定着率が低下しているセグメントが発見できたら、定性データとして、その対象となる社員にアンケートや面談を実施したり、退職者に退職理由を忌憚なく話してもらったり、意見を集めていきましょう。現状分析により、表面的な数値だけでなく、社員が抱える不満や企業文化の問題点など、潜在的な課題も浮き彫りになるでしょう。また、競合他社や業界全体の社員待遇や制度の充実と比較することで、自社の位置づけを理解し、改善の方向性を見極めることができます。優先順位の設定と施策の計画立案現状分析で明らかになった課題に対して、次に行うべきは優先順位の設定と施策の計画立案です。すべての課題を同時に解決するのは難しいため、まずは最も影響の大きい課題に焦点を当てましょう。優先順位を決定する際には、問題の緊急度や影響範囲、リソースの制約を考慮します。その後、前章「どうすれば定着率を上げられるのか?7つの施策で解決」を参考に、具体的な施策を立案し、どのように進めていくかを計画します。この段階では、目標の設定と、それを達成するための具体的なアクションプランを策定しましょう。例えば、キャリアパスの明確化、教育制度の見直し、働きやすい職場環境の整備など、各施策に対して詳細な実行プランを作成し、それぞれの施策が持つ目的と期待される効果を明確にします。【お役立ち資料】中途入社者の早期活躍を促進し定着率を向上させるオンボーディング実践例施策の実施と効果測定最後に、計画した施策を実施し、その効果を測定する段階に移ります。施策の実施に際しては、事前に設定した目標に対して進捗状況をモニタリングし、必要に応じて調整を行いましょう。具体的な行動計画に基づき、関係者全員が一丸となって施策を実行することが求められます。また、施策が計画通りに進んでいるかどうかを定期的に評価し、達成度合いを測定することも重要です。効果測定においては、定量的な指標(例えば、社員満足度の変化)と、定性的なフィードバック(社員からの声や意見)を組み合わせることで、施策の効果を総合的に判断します。得られたデータを基に、必要であれば施策の改善や新たな取り組みを追加することで、最終的な結果として継続的な定着率の向上を図ることが可能です。移りゆく時代のスタンダードに合わせ、社員から出てくる不満も変わっていきます。一度新しい制度を取り入れたからもう安心、ではなく、定着率を定点観察し、このプロセスを繰り返し行うことで、企業全体の成長と安定に寄与する持続可能な人材管理が実現するのです。定着率向上に成功した企業の事例この章では、定着率向上に成功した企業の具体例を紹介します。自社と似た課題感を持つ企業の成功例を参考にし、自社の定着率向上の施策も成功させましょう。[事業:建築板金]キャリアパス明確化での成功例株式会社ダイムワカイでは、身に付けるべき知識・スキルを明確にした独自の職人の給与制度「大夢道」を導入したことで、人材育成を推進し、定着率の向上と若年者の雇用確保に成功しています。2023年には、厚生労働省による「グッドキャリア企業アワード2022」にてイノベーション賞も獲得しました。当初、慢性的な人材不足のなか、キャリア支援においては、中途採用者のスキルや、社員個人個人の自助努力に頼っていました。業界全体としても「現場仕事を希望する人自体が少なく、雇用が出来ても、仕事の面白さを感じるまでに辞めてしまう」という課題も抱えているといいます。そんな中、職人の世界の「技術は見て盗め」という従来の概念を払拭し、社員全員が一緒に成長していける仕組みを構築すべく始まった取り組みの1つが「大夢道」の制度だそうです。10 級から参段までの等級を設け、その等級になるために身に付けるべき知識・スキルが明確化されています。これにより、若手社員は「早く一人前になりたい」という漠然とした目標から、大夢道の試験の昇級という形として目に見える目標が立てられるようになりました。1つ1つクリアしていく中で、技術習得も進んでいるそうです。キャリアパスを明確に提示し、先輩は何を教えればよいか、後輩は何を身に付けるべきかが「見える化」されています。結果、成長の道筋が見え、モチベーションが向上し、定着率の向上にも成功した好例です。参考:「グッドキャリア企業 アワード2022」好事例集|厚生労働省[事業:保育]保育理念の共有と、働きやすい職場環境の整備による成功例株式会社みらいでは、ゆとりを持った人員配置により、有給休暇の1時間単位での取得を可能としたり、社員同士が「お互い様」の気持ちで急な遅刻・早退、欠勤にもシフトの調整で対応可能にしたりと、社員が働きやすい工夫をすることで定着率の向上に成功しています。なぜそもそもゆとりを持った人員配置ができているのでしょうか。その理由は、保育理念を徹底的に伝え、納得・共感の上で採用が行われていることにあります。以前は採用した保育士間で保育の在り方について考えの違いがあり、試行錯誤の日々でした。保育の姿勢が組織としてまとまりきっておらず、離職者が出るため採用コストがかかっていたそうです。しかし、保育理念の共有を重視する取り組みを始め、既存の社員への浸透、HPや採用サイトでの積極発信、採用候補者への丁寧な説明を通して、保育理念に共感する社員が揃うこととなりました。その結果、組織が1つにまとまって高い定着率が実現し、また、離職者がほとんどいないため、採用にかかるコストが減少したそうです。そうしてゆとりある人員配置が可能になり、社員が働きやすい工夫もしやすくなっているのです。また、「目の前にいる人の幸せの為に」という保育理念を経営者自ら体現し、まずは目の前にいる社員の意見を大切にしているそう。全社員が参加する月1回の会議では、保育の中で生じた課題を、意見が言いやすい4〜5人のグループで議論しています。実際にその意見を元に保育を見直すこともありますが、もし実現に至らなかったとしても「意見を受け止めてもらえる場がある」という点が定着率の向上に貢献しているそうです。コミュニケーションの場が提供されていることで、社員間や経営陣との信頼関係構築に繋がっているのでしょう。価値観の共有をベースとして取り組んだことで定着率が底上げされ、そこで満足せず、社員が働きやすい工夫の実施へとステップアップしたことが定着率の高さを維持している好例です。参考:地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集|厚生労働省[事業:クラウドサービス]組織文化や価値観の共有を重視する採用に変更した例Micoworks株式会社は、採用の上でカルチャーフィットを最重要視することで入社後のミスマッチをほぼなくし、定着率が大きく改善しました。関連記事:カルチャーフィットとは?カルチャーフィットを選考に利用する際のポイント以前は、スキルを重視した採用を行っていたそうです。当時はまだカルチャーが言語化されておらず、各部門ごとに手探りで自分たちの業務に必要なスキルを持った人を採用しているといった状況でした。しかし、入社後のオンボーディングに時間を要する社員や、会社や職種への期待値ギャップが生じる社員が発生し、カルチャーフィットを重視する採用に切り替えていきました。当初、面接と適性検査によって候補者の価値観とのマッチを確認しようとしましたが、短い選考期間で候補者の方々を深く理解するのは難しいということがわかり、まずはマネジメントクラスの採用に対象を絞り、リファレンスチェックツールの利用を始めました。入社後のカルチャーフィットや定着率を調査したところ、適性検査よりもリファレンスチェックツールの方が人となりやカルチャーフィットを解像度高く捉えられていることに気づき、適性検査は廃止しました。現在はリファラル採用を除く全ての採用でリファレンスチェックを行っています。その結果、入社後のミスマッチがほぼなくなっており、新入社員の早期立ち上がりに加えて、定着率も大きく改善しています。面接内の質問で候補者の本質を見極めきる必要がなくなったことで、面接内では自社の魅力を伝える時間が取れるようになり、双方の理解を深めた状態で候補者が入社の意思決定をしてくれるそうです。そして、四半期ごとに行っている組織サーベイでは、「自社のカルチャーが好きですか」という質問に「はい」と回答する社員の割合が20%近く上がったとのこと。組織文化に共感してくれる人材を採用することで、社員は自社のカルチャーに愛着を抱き、帰属意識が高まります。そうして定着率の向上に繋がっている好例です。関連記事:半年で40名採用し、入社後のミスマッチをほぼゼロに。back checkは採用にとってなくてはならないもの定着率向上ならback check定着率向上のための具体的な施策や成功事例について解説してきました。働く環境の改善に加え、そもそも定着しやすい価値観の一致した人材を採用することで、定着率を向上させ、また、高い定着率を維持することが可能になります。ご紹介したリファレンスチェックを採用フローに取り入れ、採用プロセスの中で候補者の適性やカルチャーフィットを事前に確認しておきましょう。とはいえ、リファレンスチェックを自社で電話やメールを用いて行うのは時間と労力がかかりすぎてしまいます。そのため、オンラインで完結できるようなツールを利用するとコストパフォーマンス良く定着率向上を目指せるでしょう。株式会社ROXXでは、オンライン完結型のリファレンスチェックサービス「back check(バックチェック)」を提供しています。「back check(バックチェック)」では、候補者の情報をツールに登録するだけで、候補者のレポートを取得することが可能です。レポートでは、通常入社後に顕在化する、働きぶりやカルチャーマッチといった言語化しにくい情報を事前に把握できます。そのため、入社後のミスマッチを減らし、定着率を効果的に向上させることが可能です。企業のご担当者様、ぜひ「back check(バックチェック)」のリファレンスチェックサービスの導入をご検討ください。