目次ハイパフォーマーの特徴・行動特性「ハイパフォーマー」とは、パフォーマンスや生産性が高い人材のことです。業務遂行能力に秀でているため、企業の業績向上に貢献してくれます。ハイパフォーマーの特徴・行動特性は、以下の3点です。求められた以上の成果を出すスキルが高く行動力があるハイパフォーマーを輩出できる求められた以上の成果を出す求められた以上の成果を出せることが、ハイパフォーマーの最も大きな特徴です。例えば、新規顧客の獲得件数や売上高など、与えられた目標をより高いレベルで達成します。達成すべき目標を認識するだけではなく、上層部から何を求められているかを的確に判断し、どのようにすれば目標に到達できるかを分析できる点も大きな特徴です。ただし、個人のスキルや行動特性には大きな違いがあるため、どのような業務内容でもハイパフォーマーとなるわけではありません。Aの業務ではそれなりの評価の人材が、Bの業務でハイパフォーマーとなることもあります。そのため、人材の適性を見極めた配置を行うことが、ハイパフォーマーの活用にも重要です。スキルが高く行動力があるハイパフォーマーはスキルが高く、行動力もあることが特徴です。単純に努力するだけではなく、成果から逆算した施策や仮説に基づいて行動します。さらに、優先順位を整理してスケジュールを組み、自分本位ではなく組織の一員として行動できます。そのために欠かせない、高いコミュニケーション能力や組織への貢献意欲、自律性を有していることも大切です。ハイパフォーマーは、チームのメンバーと信頼関係を構築しながら、共同作業を行ったり人を動かしたりすることが可能です。チーム内での立ち位置を理解して、目標達成へ向けて自スキルを効果的に発揮できます。仮にチャレンジに失敗したとしても、逆境に負けず計画を立て直せる精神力があり、成果をつかもうとすることもハイパフォーマーの特性です。ハイパフォーマーを輩出できるハイパフォーマーは、社内に他のハイパフォーマーを輩出できます。ハイパフォーマーは持ち前の行動力やコミュニケーション能力により、周囲から高い信頼を得ています。こうした特性が新しいハイパフォーマーの創出や、ハイパフォーマーでなくても成果を出せる仕組みの構築につながります。組織全体に影響を与えることも少なくありません。ハイパフォーマーは、自身が持つスキルやノウハウを積極的に伝え、チーム内でミスがあった場合もフォローに回ります。また、プロジェクトやチーム全体を観察して、より効率的に業務を遂行できる仕組みをつくる創意工夫もできます。自身が高い能力を発揮するだけではなく、チーム全体のパフォーマンスを向上させられることも、ハイパフォーマーの証です。【お役立ち資料】優秀人材を採用するために不可欠な3つのポイントハイパフォーマーを育成する効果ハイパフォーマーを育成することには、次のような効果があります。業績の向上と安定化社員の生産性の底上げロイヤリティ向上による離職率低下業績の向上と安定化ハイパフォーマーの育成により、企業の業績が向上するだけではなく、業績の安定化につなげることができます。例えば、営業部門では成果がエース社員に偏ることがありますが、これでは企業の業績自体がエース社員の成果に左右されてしまいます。もしエース社員が退職した場合、その分だけ部門の成績が下がってしまう可能性もあるのです。業績を安定的に伸ばすことができないため、業績予測や施策の立案なども困難になります。ハイパフォーマーを育成することにより、成果を出せる人材が増えるため、エース個人ではなくチーム全体で業績を支えられるようになります。さらに、ハイパフォーマーを育成する環境を構築する過程で、ハイパフォーマーではない社員の能力も向上可能です。業績が安定し、将来予測が容易になるため、打ち手も立てやすくなります。社員の生産性の底上げハイパフォーマーを育成すると、社員全体の生産性を底上げできます。ハイパフォーマーの特徴は、生産性の高さです。社内にハイパフォーマーが多ければ、短時間でより多くの成果を上げられるようになります。さらに、ハイパフォーマーを育成する過程で効率化のコツが分かるため、ハイパフォーマーではない社員の生産性も十分に改善します。昨今の労働力不足や産業構造の変革により、マンパワーで業績を追求することが困難になりました。いかに生産性を高めるかが、企業の最重要課題です。ハイパフォーマーの育成により、すべてのメンバーが力を発揮して、生産性と業績が向上する環境が整います。社員のモチベーションも高まり、生産性がさらに高まるという好循環も作り出せるでしょう。ロイヤリティ向上による離職率低下ハイパフォーマーを育成すると、企業に対する社員のロイヤリティが向上し、離職率の低下にもつながります。離職者が発生する原因の大半は、働いても十分な成果が出ないことによる、ロイヤリティの低下だと考えられています。社員が仕事に対してやりがいや居場所を見出せるようにするためには、成果が出やすい環境を整えることが大切です。前述したように、ハイパフォーマーを育成すれば成果を出せる人が増えるため、チーム全体の業績が向上します。ハイパフォーマー以外の人にとっても、頑張れば結果がついてくるという理想的な環境です。生産性だけではなくロイヤリティも向上し、離職率が下がります。採用コストも抑えられるため、まさに一石二鳥の効果だと言えるでしょう。ハイパフォーマーの育成方法ハイパフォーマーは下記4つの手順で育成することが大切です。ステップごとに意識すべき重要なポイントについて、分かりやすく解説します。ハイパフォーマーの定義を適切に行うハイパフォーマーの要素を分析し、社員に求める資質を定義するハイパフォーマーの研修体系を整える研修後も社員をフォローし、変化の定着化を図るハイパフォーマーの定義を適切に行うまずは、企業にとっての「ハイパフォーマー」を定義します。ハイパフォーマーを育成するためには、現時点における自社のハイパフォーマーを特定し、その人材の行動や思考の特性を抽出する必要があります。しかし、どのような人材が理想的か分からなければ、ハイパフォーマーの特定自体が困難です。基本的には、高い成果を出す人材や生産性が高い人材を、ハイパフォーマーとして定義することになるでしょう。最も分かりやすいのは「スキル」ですが、ビジネスで求められるスキルは、業界や部門によって大きく変わります。例えば、営業部門とマーケティング部門では、業績向上に役立つスキルや能力などは異なるはずです。ハイパフォーマーの定義を誤ると、せっかく人材を育成しても成果を得られないため、社内で慎重に検討する必要があります。ハイパフォーマーの要素を分析し、社員に求める資質を定義するハイパフォーマーの定義が決まり、自社内でハイパフォーマーと呼ぶべき人材を特定できたら、その人材が成果を出せている要因を分析しましょう。注目すべき要素は、スキル・価値観・行動特性の3つです。スキルは数値化や言語化しやすいため、分析は比較的容易に行えます。しかし、価値観と行動特性については基本的に「属人化」しているため、ハイパフォーマーの分析を行う際には注意が必要です。「価値観」は行動時の目的意識や価値基準を指し、「行動特性」は行動の理由や傾向を示します。これらの要素は本人しか理解できませんが、本人も重要性に気付いていないことや、言語化が難しいことがあるため、詳細なヒアリングを行います。表層の行動だけではなく、背景の意識や思考まで抽出できるように、ハイパフォーマーのマインドを具体化できるような質問を行うことが大切です。※分析方法については、次の章でさらに詳しく解説します。要素の洗い出しができたら、ハイパフォーマーと一般的な社員の違いも明らかにします。差分を具体化しておけば、研修も効果的に行いやすくなるからです。ハイパフォーマーの要因を分析できたら、属人化を防ぐために、社員に求めるスキルや行動特性を明確にします。そのうえで、ハイパフォーマーが能力を発揮しやすい環境を整えましょう。ハイパフォーマーの研修体系を整えるハイパフォーマー育成のための仕組みを構築できたら、体制を整えて研修を行います。適切な研修内容は、ハイパフォーマーの要件や研修のフェーズによって異なります。ハイパフォーマーと一般的な社員との違いを意識し、どのような差分を埋めるかをイメージして研修体系を整えるといいでしょう。このプロセスにより、研修の効果も大きく変わります。ハイパフォーマーを構成する主要要素は、スキル・価値観・行動特性の3つですが、スキルの研修は比較的容易です。企業が必要とするスキルを身に着けてもらうために、講座やセミナーなどを開催すれば、社員の能力は着実に向上していくはずです。ただし、なぜこのスキルを身につける必要があるのか、具体的に説明して方向性を示すことも欠かせません。価値観や行動特性については、変革が難しいケースもあるため、研修を実施する際は注意が必要です。これらの要素は本人が意識しないところで形成されていたり、本人の人格と結びついていたりします。意識や行動の改革のメリットを分かりやすく示したうえで、成功事例を基にした考察や実践的なトレーニングを行えば、効果を実感しやすくなるでしょう。研修後も社員をフォローし、変化の定着化を図る社員の研修が完了した後は、必ずフォローを欠かさないようにしましょう。研修だけで終わってしまうと、学習内容が十分に定着せずに思ったほど効果を得られないことがあります。ハイパフォーマー育成の仕組みがうまく機能しているか、実際にパフォーマンスが向上しているかなど、さまざまな観点から経過を観察してください。研修のフォローは、プロジェクトのメンバーや上司から、定期的に報告してもらうことで行います。そのための仕組みや、定期的なカウンセリングなどの実施も効果的です。周囲から客観的なフィードバックを得ることで、社員が新たな「気付き」を得られて、研修で習得した内容がより定着しやすくなります。研修自体はうまく機能しているにも関わらず、パフォーマンスが向上しない場合は、企業が求める要件と研修の方向性が一致していない可能性が高いです。ハイパフォーマーの定義自体を再検討する必要があるため、もう一度最初からやり直しましょう。パフォーマンスが向上している場合でも、定期的に追加の研修を行うことが重要です。ハイパフォーマーの分析方法ハイパフォーマーを構成する要素は、前述したようにスキル・価値観・行動特性の3点です。しかし、ハイパフォーマーがなぜハイパフォーマーであるかを分析するのは、人材育成で最も難しいポイントです。本章では、ハイパフォーマーの分析方法について、下記3つの観点から詳しく掘り下げていきます。スキル価値観行動特性ハイパフォーマーの分析方法①スキルハイパフォーマーが優れた成果を達成できるのは、専門的な知識やスキルが充実しているからです。ハイパフォーマーが持っている知識やスキルを分析するために、まずは保有資格や業務経験を分析し、詳細なデータ化を行ってみましょう。社内のハイパフォーマーの共通項が分かれば、人材育成の方向性が定まりやすくなります。また、ハイパフォーマーのスキルを分析する際は、「カッツ・モデル」の活用がおすすめです。カッツ・モデルは1950年代にアメリカで提唱された概念で、マネジメント層に必要な能力を下記3つに分類しました。テクニカルスキル(業務遂行能力)ヒューマンスキル(対人関係能力)コンセプチュアルスキル(問題解決能力)コンセプチュアルスキルは、知識や情報を駆使して複雑な事象を概念化し、物事の本質を把握する能力です。業務における課題や問題を見極め、それを解決するために欠かせない能力なので、ハイパフォーマーの必須要素だといえます。適性検査やヒアリングなどで、問題解決のプロセスでハイパフォーマーが発揮するスキルを抽出しましょう。参考:「カッツモデル」とは? 人材育成に活用する上での具体例やマネジメントに役立つヒューマンスキルなど3つの能力を解説|HRproハイパフォーマーの分析方法②価値観ハイパフォーマーには、はっきりとした価値観や判断基準があるケースが多いです。ハイパフォーマーの分析時は、こうした心理的要因に注目してみましょう。業務を遂行するためには、目的意識が欠かせません。目的意識の背景には価値観や信念があり、何を優先するかという判断基準や、顧客のニーズをイメージする能力などに影響しています。ハイパフォーマーは揺るぎない「軸」を基準にしているからこそ、業務を効率的にこなすことができます。ハイパフォーマーの軸をチームで共有できれば、優れた成果を出せる社員を育成しやすくなるだけではなく、組織力を大幅に高めることもできるでしょう。ただし、心理的要因は目に見えないものなので、具体的に数値化することが重要です。価値観や判断基準を主観だけで判断すると、ハイパフォーマーの分析を誤り、人材育成の成果を十分に得られなくなります。ハイパフォーマーの心理的要因を正しく分析するために、客観的に数値化できる適性試験やツールなどを活用しましょう。データ化することで他の社員との差分を明確化しやすくなるため、人材育成の効果もより高まります。ハイパフォーマーの分析方法③行動的特性ハイパフォーマーの分析で最も困難なのが、「行動特性」の分析です。行動特性とは、私たちの行動パターンを可視化したもので、行動の理由や過程、状況との関連などさまざまな要因を含みます。行動の傾向をデータ化し、人材育成に活かすための概念が行動特性です。しかし、行動特性は本人も意識していない部分が多いため、ヒアリングを行ってもうまく分析できないケースがあります。そのため、ハイパフォーマーを分析する際は、対象者の行動を観察して、行動特性を構成する要因を見つけることが必要です。行動特性の段階を示す「コンピテンシーレベル」を活用すると、ハイパフォーマーを分析しやすくなります。レベル1:受動行動レベル2:通常行動レベル3:能動行動レベル4:創造行動レベル5:パラダイム転換行動コンピテンシーレベルが高い社員ほど自発的な行動が可能で、問題解決能力が高い傾向があります。例えば、レベル1の社員は常に受け身の姿勢で主体性に乏しく、レベル2は通常の業務を問題なくこなせる社員、レベル3は自発的に情報収集や改善ができる社員です。レベル4になると独自の工夫で状況を変えられるような創造性があり、レベル5の社員には新たな概念を生み出せるほどの能力があります。このように、細かな行動特性を下記5つのコンピテンシーレベルに落とし込むと、研修と実践が行いやすくなります。ハイパフォーマーのコンピテンシーレベルを基にして、社員一人ひとりの行動特性を改善する研修を丁寧に行い、業績の向上を目指しましょう。関連記事:コンピテンシーとは?基礎知識から導入方法までわかりやすく解説業績向上のためには、ローパフォーマーの対策も必要ハイパフォーマーとは逆に、能力や生産性が低い社員を「ローパフォーマー」と呼びます。ローパフォーマーには、次のような特徴があります。業務遂行能力が低く、求められている成果を発揮できない目的意識が低く、受け身の状態である勤務態度やコミュニケーション面に問題があるハイパフォーマーはチームや企業に良い影響を与えますが、ローパフォーマーはチームや企業に悪い影響を与えてしまいます。企業の業績を向上させるためには、ハイパフォーマーの育成のみならず、ローパフォーマーをできるだけつくらないようにする工夫も必要です。どれだけハイパフォーマーの育成に注力しても、「ハイパフォーマーだけの組織」や「ローパフォーマーのいない組織」を実現することはできないでしょう。しかし、ハイパフォーマーを増やすことによって、ローパフォーマーとみなされていた社員の業務遂行能力が上がる可能性は十分にあり得ます。【お役立ち資料】優秀人材を逃がしてしまう面接担当者 3つのNGハイパフォーマーの退職・転職を防ぐには?ハイパフォーマーの退職や転職は、企業にとって大きな問題です。せっかく育成したハイパフォーマーが外部へ流出しないようにするために、ハイパフォーマーのロイヤリティが高まりやすい職場環境を整備する必要があります。本章では下記2つの観点から、ハイパフォーマーの退職や転職を防ぐ方法を解説します。ハイパフォーマーが退職する理由や原因ハイパフォーマーの退職を防ぐための効果的な方法ハイパフォーマーが退職する理由・原因ハイパフォーマーの退職や転職には、さまざまな要因があります。能力や生産性が高いからこそ、業務内容や人事評価に不満を抱くことも少なくありません。例えば、下記3つの要因は、ハイパフォーマーが転職を考える大きな理由となります。割り当てられる業務量や期待値が過剰適正な評価や待遇が得られていないスキルを発揮できる環境が整っていないハイパフォーマーには、どうしても多くの業務を割り当てがちです。しかし、期待値が高く成果を上げているにも関わらず適切な評価が行き届いていないと、ロイヤリティが低下して退職につながります。ハイパフォーマーが快適に働ける環境づくりが重要です。ハイパフォーマーの退職を防ぐための効果的な方法業務量や期待値の過剰、能力や実績の過小評価など職場環境の不備は、ハイパフォーマーが退職を考える主な理由です。ハイパフォーマーの退職を防ぐために、社員の変化にいち早く気付けるような体制を整える必要があります。定期的にヒアリングやアンケートを行い、不満点の洗い出しや期待値の調整を行えるようにしましょう。人事制度や評価制度においても、ハイパフォーマーの実績を正当に評価できるシステムが必要です。ただし、給与やポストだけが評価のすべてではありません。コミュニケーションの欠如を防ぐために、「称賛」と「問題提起」を定期的に行いましょう。ハイパフォーマーを常に組織へ引き付けておけば、退職を防ぎやすくなります。【お役立ち資料】社員が辞めない職場はどう作る?エンゲージメント向上の実践ガイドハイパフォーマーに育成できるかは採用時の見極めが重要ハイパフォーマーを採用しようとすると、難易度やコストが上がってしまいます。また、前職でハイパフォーマーだった人材が、必ずしも自社でハイパフォーマーになるとは限りません。ハイパフォーマーを育成する仕組みを整えると同時に、採用する企業においてハイパフォーマーの素養を持つ人材を採用する方が、結果的に企業の成長につながります。ハイパフォーマーの素養を持つ人材であるかどうかの見極めには、リファレンスチェックがおすすめです。リファレンスチェックとは、一緒に働いたことのある第三者に対して、候補者に関する働きぶりや人柄に関するアンケートを実施し、採用判断に活かす採用手法です。ハイパフォーマーを構成する要素がはっきりとしている場合は、その要素を持っているかどうか、候補者と一緒に働いたことのある第三者から聞くことができます。候補者の主観ではない、客観的な意見が聞けますので、より精度の高い採用に有効です。株式会社ROXXでは、オンラインリファレンスチェックツールの「back check(バックチェック)」を提供しています。ハイパフォーマーの採用でお悩みの場合は、ぜひお問い合わせください。