エンゲージメントと生産性の相関関係は?日本企業の課題と向上施策について解説
近年、多くの企業が注力しているのが、従業員エンゲージメントの向上です。その背景には、エンゲージメントの高い企業ほど生産性が高いという、さまざまな研究結果があります。
日本企業のエンゲージメントスコアは世界的に見ても低い水準にとどまっており、多くの企業で「どのように従業員のエンゲージメントを高めていくべきか」が課題となっています。
本記事では、エンゲージメントが生産性を向上させるメカニズムを解説するとともに、具体的なエンゲージメント向上施策や最新の企業事例を紹介します。人事担当者の方々が実践できる具体的なアクションプランを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
- エンゲージメントの基礎と生産性への影響力
- エンゲージメントとは
- エンゲージメントと従業員満足度との違い
- ワーク・エンゲージメントの概念と重要性
- 日本企業の現状と課題
- なぜいま企業はエンゲージメントに注目するのか
- 個人の価値観多様化と労働環境の変化
- 生産年齢人口減少と人材流動化の影響
- 働き方改革時代における重要性
- エンゲージメントと生産性の相関関係
- 厚生労働省による調査結果
- グローバル企業の研究データ分析
- 国内大手企業の取り組み効果
- エンゲージメントが生産性を向上させる5つのメカニズム
- 優秀な人材の定着による採用コスト削減
- 高い集中力がもたらす業務効率の向上
- 健康的な職場環境による欠勤率の改善
- 自発的な改善提案による業務改革
- 従業員の熱意が生む顧客満足度向上
- 成果を出すエンゲージメント向上の進め方
- 経営層のコミットメントと理念浸透
- 従業員サーベイによる現状把握
- エンゲージメントスコアの測定方法と分析手法
- 改善施策の立案と実行プロセス
- 効果測定とPDCAサイクルの確立
- 9つのエンゲージメント向上施策
- ①柔軟な働き方制度の整備
- ②評価・フィードバック制度の刷新
- ③業務プロセスの可視化と改善
- ④キャリア開発支援の強化
- ⑤組織間コミュニケーションの活性化
- ⑥権限委譲と意思決定の迅速化
- ⑦福利厚生の戦略的見直し
- ⑧研修体系の再構築
- ⑨オフィス環境の整備
- エンゲージメントを高める採用ならback check
エンゲージメントの基礎と生産性への影響力

企業の生産性向上を考える上で、従業員エンゲージメントの理解は欠かせません。
こちらでは、エンゲージメントと生産性の関係性について、基礎的な部分を解説していきます。
エンゲージメントとは
会社組織におけるエンゲージメントとは、「従業員が組織や仕事に対して持つ愛着や思い入れ、熱意の度合い」を表す概念です。「エンゲージメント」という単語自体は一般的に「約束、誓約、婚約」といった意味を持ち、関係を結ぶイメージから派生して文脈や分野によって異なる意味で使われる場合もあります。区別のために会社組織におけるエンゲージメントのことは、「従業員エンゲージメント」と称されることがあります。
単なる満足度や忠誠心とは異なり、従業員が自発的に組織の成功に貢献したいと考え、その実現に向けて積極的に行動する状態を指します。
エンゲージメントの高い従業員は、以下のような特徴を持っています。
組織の目標や価値観に共感し、それらの実現に向けて自発的に行動する
自身の役割を超えて、組織全体の成功を考えて行動する
仕事に誇りを持ち、より良い成果を出すために創意工夫する
同僚と協力し、チーム全体の成果向上に貢献する
このような特徴を持つエンゲージメントの高い従業員は、組織の生産性向上に貢献してくれる人材といえるでしょう。
エンゲージメントと従業員満足度との違い
エンゲージメントと従業員満足度(ES)は、似たような部分もありますが、本質的に異なる概念です。両者には以下のような違いがあります。
■従業員満足度が高い状態とは
給与や福利厚生などの待遇に対する満足度
職場環境や人間関係への満足度
受動的で「与えられる」ことへの評価
個人の感情に重点を置く
■エンゲージメントが高い状態とは
組織への能動的な貢献意欲
自発的な改善・改革への意欲
組織の成功に向けた当事者意識
行動や成果に直結する概念
従業員満足度を高める施策は、離職率や職場の雰囲気の改善に貢献すると言えます。ただし満足度が高いからといって、必ずしもパフォーマンスや積極性が向上するわけではありません。一方で、エンゲージメントを高める施策は、従業員の能動的な活動を促進するため、業務効率化やイノベーション創出などの効果も期待できます。
このような違いがあるため、企業は単に従業員満足度を高めるだけでなく、エンゲージメントの向上に焦点を当てた施策を展開することが求められているのです。
ワーク・エンゲージメントの概念と重要性
ワーク・エンゲージメントとは、オランダのユトレヒト大学のウィルマー・シャウフェリ教授によって提唱された概念で、「仕事に関連するポジティブで充実した心理状態」と定義されています。
具体的には、以下3つの要素で構成されます。
①活力:仕事をすることで活力がみなぎる状態
②熱意:自分の仕事に誇りを感じている状態
③没頭:夢中になって仕事をしている状態
ワーク・エンゲージメントは、組織やチームへ貢献したいと考える「従業員エンゲージメント」とはやや異なる概念です。ワーク・エンゲージメントはタスクや職務内容といった仕事そのものに焦点を充てたエンゲージメントで、仕事のパフォーマンスを向上させることに役立ちます。
企業は従業員個人のワーク・エンゲージメントを向上させつつ、組織全体の生産性を高めるために「従業員エンゲージメント」を上げるための施策も考える必要があるでしょう。
参考:「働きがい」を持って働くことのできる職場環境の実現に向けて|厚労省
日本企業の現状と課題
アメリカのGallup社の調査(2024年)によると、日本企業の従業員エンゲージメントは世界平均を下回る6%と報告されています。
【エンゲージメント率の主な数値】
日本:6%
アメリカ:33%
インド:32%
中国:19%
ドイツ:15%
韓国:13%
イギリス:10%
グローバル平均:23%
※全従業員に占めるエンゲージメントの高い社員の割合
日本企業のエンゲージメントの低さには、構造的な課題が存在します。
その大きな要因のひとつが、終身雇用や年功序列といった従来の日本型雇用システムが変わっていく中で、社内の制度や仕組みの変革が追いついていない点です。
多くの企業では、上司と部下の対話不足や部署間の連携不足といったコミュニケーションの課題を抱えています。また、キャリアパスの不明確さや不十分な教育研修制度の体制、納得感のない評価制度なども、従業員の将来への不安を高める要因となっています。
参考:State of the Global Workplace 2024|Gallup
なぜいま企業はエンゲージメントに注目するのか
近年、企業の人事戦略において従業員エンゲージメントが重要なテーマとして注目を集めています。
その背景にはいったいなにがあるのでしょうか。エンゲージメントが重視される社会構造や、労働環境の変化についてこちらで解説していきます。
個人の価値観多様化と労働環境の変化
働く人々の価値観はここ数年で大きく変化しています。従来の終身雇用や年功序列を前提とした働き方から、個々人が自身のキャリアを主体的に考え、選択する時代へと移行しているのが特徴です。
特に若い世代を中心に、金銭的報酬だけでなく、仕事を通じた成長機会や、企業の社会的意義、ワークライフバランスを重視する傾向が強まっています。また、テクノロジーの発展により、リモートワークやフレックスタイム制など、働き方の選択肢も大きく広がっています。
このような価値観と働き方の多様化に対応しない企業は、人材の確保や維持が難しく、競争力が衰えて行ってしまうでしょう。組織には、個々の希望に寄り添ってエンゲージメントを向上させ一体感を醸成する、新しいマネジメントが求められているのです。
生産年齢人口減少と人材流動化の影響
日本の生産年齢人口は今後急速に減少することが予測されており、企業間での人材獲得競争は一層激化しています。
同時に、終身雇用の概念が薄れ、キャリアアップを目的とした転職が一般化するなど、人材の流動性も高まりました。このような変化により、企業は優秀な人材の確保と定着のために従来以上のコストやマンパワーが求められています。テクノロジーが進化しても適切な人材確保は生産性を向上させるための基盤です。
従業員のエンゲージメントが高い場合、SNSや他の外部チャンネルでポジティブな発信を行う可能性が高まると考えられます。それが新しい優秀な人材の確保に繋がる可能性があります。
また、Gallup社の調査(2020年)によれば、同じ組織内で、エンゲージメントが高いチームを低いチームと比較したところ、離職率は高離職率組織で18%低く、低離職率組織で43%低かったそうです。
つまり、人材の確保と、維持・定着の両面でエンゲージメントの向上が必要となってくるのです。
参考:The Relationship Between Engagement at Work and Organizational Outcomes 2020 | Gallup
働き方改革時代における重要性
働き方改革の推進により、企業には従業員の健康と生産性の両立が強く求められています。そのカギとなるのが従業員エンゲージメントです。
エンゲージメントの高い組織では、労働時間の削減と生産性の向上を同時に達成できています。これは、従業員が主体的に業務の効率化や改善に取り組み、限られた時間でより高い成果を生み出しているためです。
また、エンゲージメントの高い職場では、創造性の発揮やイノベーションの創出も活発になり、組織全体の競争力向上にもつながります。
エンゲージメントと生産性の相関関係
従業員エンゲージメントと企業の生産性には、強い相関関係があることが各種調査で明らかになっています。
ここでは、具体的なデータを基に、その関係性を詳しく見ていきます。
厚生労働省による調査結果
厚生労働省の調査によると、ワーク・エンゲージメントと組織の生産性の関係について、正の相関関係があるとの結果が出ています。
つまり、ワーク・エンゲージメントを高めることは、生産性の向上にプラスの影響を与えるということを意味しています。
ワーク・エンゲージメントは個人のタスクや職務内容に対してポジティブで充実した心理状態のことです。ワーク・エンゲージメントを上げることは個人へのポジティブな影響だけでなく組織の生産性向上にも貢献することを意味していることがわかります。
参考:ワーク・エンゲイジメントと企業の労働生産性について|厚生労働省
グローバル企業の研究データ分析
世界的な調査機関による研究では、エンゲージメントと生産性の相関関係がより明確に示されています。アメリカのGallup社の調査では以下のような結果となりました。
■エンゲージメントの高い企業の業績や社内データの調査
利益率:23%向上(Gallup社調査より)
生産性:18%向上(同調査)
顧客評価:10%改善
品質(不良品発生率):40%低減
この結果から、エンゲージメントは生産性を向上させ、その先の顧客満足度や企業の業績そのものに好影響を与えることがわかります。
参考:What Is Employee Engagement and How Do You Improve It?|Gallup
国内大手企業の取り組み効果
日本企業においても、エンゲージメント向上施策による具体的な成果が報告されています。以下に3つの企業が取り組んだ事例を紹介します。
①旭化成株式会社
【施策】
一人ひとりが自らのキャリアを描き、成長に向けた学び・挑戦を常に続けられるよう、独自のオンライン学習プラットフォームを開設。また、個人と組織の状態を可視化するため独自のエンゲージメントサーベイを設計し、年1回定点調査を実施。結果を基に、対話・改善を行っています。
【効果】
自分の専門性、キャリア形成に必要な学習をオンラインで気軽に実施できることでキャリアに対する不安の軽減に繋がっています。
また、エンゲージメントサーベイの結果、成長行動指標は年々順調にスコアを伸ばしており、エンゲージメント向上に向けた取り組みが結果を出しています。多様性や心理的安全性といったスコアも毎年増加しています。
参考:旭化成レポート | 旭化成
参考:人財育成・支援制度 | 旭化成
②スターバックス コーヒー ジャパン
【施策】
従業員を「パートナー」と呼び、経営陣と従業員を対等な立場と位置付けて、接客マニュアルに依存せず、従業員の自主性を重視した独自の企業文化を醸成。
アルバイトを含む全ての従業員が、自らの価値観に基づいて顧客サービスを提供できる環境を整備しています。
【効果】
顧客が何をしてほしいかを考え、実行した結果、実際に顧客が喜んでくれることでモチベーションが高まります。その繰り返しの中で、「顧客のため、店舗のため、地域のために何かをしたい」というエンゲージメントが高まり、カップへの名前書きやイラストの描画など、創意工夫に富んだサービスが自発的に生まれています。
仕事への愛着と責任感が高まり、顧客満足度の向上にも大きく貢献しています。
参考:マニュアルのないスターバックスは、なぜエンゲージメントを高められるのか | 日本の人事部
参考:スターバックスでの成長 | スターバックス コーヒー ジャパン
③小松製作所
【施策】
従業員エンゲージメントの向上は、会社の持続的な成長に欠かせないものと考え、全世界の社員を対象にグローバルエンゲージメントサーベイを実施。部門ごとにアクションプランを策定し、それに沿って確実に対応を進めています。
公正な人事・評価制度にも力を入れています。
【効果】
第1回エンゲージメントサーベイに比べ、第2回となる2023年の実施では回答率もエンゲージメント関連スコアも伸びを見せ、アクションプランの効果が出ています。
2024年1月からは日本において新しい仕事にチャレンジしたい社員と人材ニーズのある部門をマッチングする「キャリアチャレンジ制度」が開始され、キャリア支援によるさらなるエンゲージメントの向上に取り組んでいます。
参考:多様な能力開発機会の提供とエンゲージメントの向上 | 小松製作所
参考:Komatsu Report 2024 | 小松製作所
エンゲージメントが生産性を向上させる5つのメカニズム

エンゲージメントが生産性向上をもたらすメカニズムについて解説します。
この流れを理解することで、より効果的なエンゲージメント向上施策を考えることができるでしょう。
優秀な人材の定着による採用コスト削減
エンゲージメントの高い組織では、従業員が長期的なキャリアを描きやすく、結果として優秀な人材の定着率が向上します。
これにより、新規採用にかかる採用広告費や人材紹介手数料などの直接的なコストが削減されるとともに、入社後の研修費用や育成にかかる時間的コストも抑えることができます。
また、長期的な人材定着は組織の知識やノウハウの蓄積を促進し、業務の質向上にも影響を与えます。さらに、チームワークの安定化や、顧客との信頼関係の維持といった効果も期待できるでしょう。
関連記事:社員の定着率を上げる方法は?成功事例と7つの施策で定着率改善を実現
高い集中力がもたらす業務効率の向上
エンゲージメントが高い従業員は、仕事に対する内発的な動機づけが強く、自然と深い集中状態を保ちやすい点が特徴です。
特にワーク・エンゲージメントも高い場合、業務への没入度が高く、タスクの完了速度が向上するとともに、ミスの発生も減少します。
このような状態が組織全体に広がることで、生産性の継続的な向上が実現され、結果として企業の競争力強化にもつながっていくのです。
健康的な職場環境による欠勤率の改善
エンゲージメントの高い職場では、心理的安全性が確保されることで従業員の心身の健康が保たれやすい環境が自然と形成されます。
上司や同僚との良好な関係性により、仕事上の不安や悩みを早期に相談できる風土が醸成され、メンタルヘルス不調の予防にもつながります。
また、仕事への意欲が高いことで、適度な休息を自ら取るなど、健康管理への意識も高まり、欠勤する可能性が低くなります。
実際に、Gallup社の調査(2020年)によると、同じ組織内で、エンゲージメントが高いチームを低いチームと比較したところ、欠勤率は81%も低かったそうです。
参考:The Relationship Between Engagement at Work and Organizational Outcomes 2020 | Gallup
心身ともに健康的な状態を維持でき、欠勤する従業員が少なくなることは、組織全体の生産性維持に大きく貢献します。
自発的な改善提案による業務改革
エンゲージメントの高い従業員は、与えられた業務を単にこなすだけでなく、より良い方法がないかを常に考えながら仕事に取り組みます。
日々の業務の中で気づいた非効率な点や改善できる余地について積極的に提案を行い、組織全体の改革を推し進める原動力となります。
業務提案の数が多いことは、単なる効率化による生産性向上だけでなく、顧客サービスの質的向上やコスト削減にもつながり、組織の持続的な成長を支える重要な要素となるのです。
従業員の熱意が生む顧客満足度向上
仕事に対する高い熱意は、顧客との関わり方にも大きな影響を与えます。
エンゲージメントの高い従業員は、顧客のニーズを深く理解しようとする姿勢を持ち、期待以上のサービスを提供しようと努めます。
また、顧客からのフィードバックを真摯に受け止め、サービスの改善に活かそうとする点も特徴です。
このような従業員の熱意ある対応は、顧客との信頼関係を強化し、結果として顧客満足度の向上や、リピート率の増加にもつながっていきます。
成果を出すエンゲージメント向上の進め方
エンゲージメントの向上は一朝一夕には実現できません。計画的なアプローチと継続的な取り組みが重要となります。
ここでは、エンゲージメント向上施策を考える上での適切な進め方について解説します。
経営層のコミットメントと理念浸透
エンゲージメント向上の取り組みを成功させる第一歩は、経営層の本気度を見せることです。エンゲージメント向上を単なる人事施策の一つとしてではなく、経営戦略の重要課題として位置づけ、経営層自らが率先して取り組む姿勢を示すことが重要です。
具体的な施策としては、経営者が従業員と直接対話する機会を設けることが挙げられます。
会社の目指す方向性や、従業員一人ひとりの貢献がどのように企業価値につながるのかを丁寧に説明することで、組織全体の一体感が生まれます。
また、業務の振り返りの場面で、経営理念や行動指針について触れることも有効です。従業員の判断や行動が経営理念と行動指針に合致しているかを問うことで、自分が求められていることをより理解しやすくなります。
従業員サーベイによる現状把握
効果的なエンゲージメント向上施策を展開するためには、まず組織の現状を正確に把握することが不可欠です。従業員サーベイは、組織の強みや課題を可視化し、具体的な改善点を特定するための重要なツールとなります。
ただし、形式的なアンケートの実施では本質的な課題は見えてきません。従業員が本音を語れる環境を整備し、定性的な意見も丁寧に収集することが重要です。
また、サーベイ結果を従業員にフィードバックし、課題解決に向けて組織全体で取り組む姿勢を示すことで、従業員の当事者意識も高まります。
エンゲージメントスコアの測定方法と分析手法
エンゲージメントスコアは、上記の従業員サーベイの設問の一部として自社で設問を設けて測ることも可能ですし、外部にアンケート調査を委託して測る場合もあります。
エンゲージメントスコアの測定では、組織への愛着度や仕事への意欲、成長実感など、複数の要素を総合的に評価することが重要です。
また、部署別や年次別の比較分析を行うことで、組織特有の課題や強みを明確にすることができます。
測定結果は従業員に対して透明性を持って共有し、改善に向けた対話のきっかけとして活用することが効果的です。
改善施策の立案と実行プロセス
エンゲージメント向上のための施策は、現場の実態とニーズに即したものでなければなりません。経営層、人事部門、現場管理職が協力して、測定結果から得られた課題に対する具体的な改善案を検討しましょう。
施策の実行にあたっては、まずは小規模な施策から始めることをおすすめします。効果検証と軌道修正を柔軟に行うことができ、従業員への負担も最小限に止めることができます。
また、施策の目的や期待される効果を従業員に丁寧に説明し、理解と協力を得ることも重要です。これを怠ると、従業員から「面倒な業務やルールが増えた」と反発される恐れがあります。
効果測定とPDCAサイクルの確立
エンゲージメント向上の取り組みを継続的な成果につなげるためには、効果測定とPDCAサイクルの確立が欠かせません。
四半期ごとのエンゲージメントスコアの定点観測や、施策実施前後での比較分析など、定期的な効果測定を行ってその結果をもとに次の施策を検討するようにしましょう。
ただし、数値の改善だけを追求するのではなく、従業員の実感や行動の変化にも着目することが重要です。
現場からのフィードバックを積極的に収集し、必要に応じて施策の見直しや改善を行うことで、より効果的なエンゲージメント向上が実現できます。
9つのエンゲージメント向上施策

ここからは実践的なエンゲージメント向上施策を具体的に紹介します。
従業員サーベイの結果を踏まえ、以下に紹介する9つの施策の中から取り入れられるものがあればぜひ実践してみてください。
【お役立ち資料】社員が辞めない職場はどう作る? エンゲージメント向上の実践ガイド
①柔軟な働き方制度の整備
働き方を選択できる環境を整備することは、エンゲージメント向上の有効な施策となります。
具体的には、在宅勤務やフレックスタイム制、時差出勤、短時間勤務など、従業員が自律的に働き方を選択できる制度を整備します。
そして、制度の導入と同時に考えなければいけないのが、利用しやすい雰囲気づくりです。上司が率先して制度を活用したり、活用実績を可視化したりすることで、従業員が気兼ねなく制度を活用できる環境を生み出せるでしょう。
②評価・フィードバック制度の刷新
従業員の成長意欲を高め、パフォーマンスの向上につなげるためには、適切な評価とフィードバックの仕組みが不可欠です。
年に1〜2回の形式的な評価面談ではなく、月次や四半期ごとの1on1ミーティングを通じて、定期的かつ双方向のコミュニケーションを実施しましょう。
評価基準は明確で透明性の高いものとし、単なる結果だけでなく、プロセスや成長度合いも重視します。特に重要なのは、面談時に上司が部下の考えや感じていることをじっくりと聞くことです。
これにより、従業員は自身の現状や求められていることを知るとともに、上司との良好な信頼関係を築くことができます。
部下の考えやキャリアビジョンなどを認識する上で役立つのは、採用選考時に取得するリファレンスチェックレポートです。特に入社からあまり時間がたっていない社員の場合、1on1ミーティングは重要なオンボーディング支援の機会です。リファレンスチェックを実施している企業は、採用担当だけではなく直属の上司にもレポートを共有し、上司が部下の理解を深めた上で、1on1に臨むと良いでしょう。フィードバックの精度が上がることで部下は「正当に評価されている」「自身のことを分かってくれている」と感じ帰属意識が高まるでしょう。
③業務プロセスの可視化と改善
業務プロセスの可視化と改善は、従業員の働きがいと効率性を同時に高める重要な施策です。どんな会社にもムダな業務や必要性の低い業務はあります。それを取り除くことで、従業員のフラストレーションや会社に対する不信感を払拭することができるでしょう。
具体的には、各業務の目的や手順、責任範囲を明確化し、組織全体で共有します。このプロセスにおいては、従業員を巻き込む形で進めることを推奨します。
現場をよく知る従業員の意見を取り入れることで、より良い業務プロセスの改善ができるでしょう。また、自分のアイデアを採用してくれた会社に対して、従業員の愛着が高まる効果も期待できます。
④キャリア開発支援の強化
従業員が自身の将来を具体的にイメージし、成長を実感できる環境づくりは、エンゲージメント向上の核となります。
社内公募制度や副業・兼業の許可、社内ジョブローテーションなど、従業員が主体的にキャリアを選択できる機会を提供します。
また、スキルアップのための研修制度や資格取得支援など、具体的な成長機会を充実させることも有効でしょう。
特に重要なのは、上司との定期的なキャリア面談を通じて、従業員の適性に合わせた成長支援を行うことです。組織の中での自身の成長が実感できることで、仕事への意欲も自然と高まります。
⑤組織間コミュニケーションの活性化
部門や職種の壁を越えた活発なコミュニケーションは、組織の一体感を高めて生産性を向上させます。
具体的な施策としては、部門横断プロジェクトの実施や社内交流イベントの開催、社内SNSやチャットなどのデジタルツールの活用が挙げられます。
また、経営層と従業員の距離感を知覚することも重要です。経営方針への理解と共感を深めることで、従業員は自身の仕事の意義をより深く理解できるようになります。
⑥権限委譲と意思決定の迅速化
従業員が自律的に判断し、行動できる環境を整備することはエンゲージメント向上の有効な一手となります。
現場レベルでの意思決定権限を拡大し、業務に関する裁量を持たせることで、従業員は自身の責任で創意工夫を行えるようになります。
必要な権限を適切に委譲し、承認プロセスをシンプル化することで、業務のスピードも向上するでしょう。
また、従業員が失敗をした際に、会社や上司がフォローする姿勢を見せることも重要です。これにより、失敗を恐れずチャレンジする文化を醸成することができます。
⑦福利厚生の戦略的見直し
充実した福利厚生制度は、従業員の生産性を高めるために注力したいポイントです。
現在の福利厚生は、個々の従業員のニーズに応じた多様な内容が求められています。健康管理、自己啓発、育児・介護支援など、ライフステージやライフスタイルに合わせて必要なサポートを選べる環境を作ることで、従業員の満足度が高まります。
また、リフレッシュ休暇の充実や趣味の活動支援など、仕事以外の充実も図ることで、従業員の心身の健康維持につながるでしょう。
従業員の生の声を聞きながら、最適な福利厚生制度を導入することをおすすめします。
⑧研修体系の再構築
研修体系を構築することは、従業員に成長や振り返りの機会を与えることとなり、エンゲージメントの向上に大きく貢献します。
階層別研修やスキル別研修に加え、自己啓発支援やオンライン学習の機会を充実させることで、個々のペースとニーズに合わせた学びが可能となります。
特に重要なのは、学んだ内容を実践できる機会を設けることです。研修で得た知識やスキルを実際の業務で活用し、成果につなげることで、学びの意義を実感できます。
また、従業員同士が知識やスキルを共有する場を設けることで、組織全体の成長を押し上げることにもつながります。
関連記事:新入社員研修のカリキュラムはどうすべき? 必要な理由と作成のコツ、具体的なおすすめ研修内容を解説
⑨オフィス環境の整備
働く場所の環境整備は、従業員の心身の健康とパフォーマンスに直接影響を与えます。
集中して作業できるスペースと、コミュニケーションを促進するオープンスペースを適切に配置し、目的に応じて柔軟に使い分けられる環境を整備するといいでしょう。
また、Web会議などの増加に伴い、Webミーティング用のスペースを用意したり、カメラやマイクなどの備品を充実させることも施策のひとつです。
オフィス環境の整備は目に見えて変わるものなので、即効性の高いエンゲージメント向上施策と言えるでしょう。
エンゲージメントを高める採用ならback check
これまで見てきたように、従業員エンゲージメントは組織の生産性に大きな影響を与えます。そのため、採用段階から自社の企業文化に合う人材を見極めることが重要です。
自社のカルチャーと価値観の合う人材が集まることで、コミュニケーションが円滑になり、組織にポジティブな印象を抱くでしょう。そのような環境であればエンゲージメントが高まりやすくなります。
しかし、限られた面接時間の中で、候補者の本質的な価値観や働き方への姿勢を正確に把握することは困難です。また、候補者が前職でどのようなパフォーマンスを発揮し、どのように周囲と協働してきたかを確認することも、面接だけでは十分とは言えません。
このような課題を解決するために、back check株式会社では、オンライン完結型のリファレンスチェックサービス「back check(バックチェック)」を提供しています。
back checkでは、候補者の同意を得たうえで情報を登録し、過去一緒に働いた元上司や同僚から評価レポートを取得することができます。これにより、入社後に顕在化する働きぶりやカルチャーフィットといった言語化しにくい情報を確認することができます。
リファレンスチェックで得られたレポートは、採用決定後のエンゲージメント向上にも役立ちます。上司が候補者の価値観を理解した上で1on1を実施するなど、精度高く個別のサポートを行うことが可能です。早期からエンゲージメントを高める一助となるでしょう。
エンゲージメントを高めやすい人材を採用し、組織の生産性を向上させたいとお考えの企業のご担当者様、ぜひback checkの導入をご検討ください。


back check magazine 編集部
リファレンスチェック/コンプライアンスチェックサービス「back check」が手がけるコラム「back check magazine」の編集部です。採用担当のみなさまに向けて、役に立つ情報を発信していきます。










