目次定着率とは?会社に在籍し続けている割合定着率とは、雇用している従業員のうち、一定期間にわたって在籍し続けている割合を指します。たとえば、入社してから1年後・3年後・5年後といった節目に、はじめに雇用された従業員がどれくらい残っているかを示す指標です。この指標は、企業の職場環境や従業員の満足度、待遇がどれほど効果的に機能しているかを測るために使用されます。定着率の計算方法定着率は、次の計算式を用いて算出します。定着率(%)=(一定期間後に在籍している従業員数/はじめに雇用された従業員数)×100たとえば、ある企業が2023年に100人の従業員を雇用し、そのうち85人が2024年も在籍していた場合、1年間の定着率は次のように計算されます。定着率=(85/100)×100=85%このように算出された定着率を使い、企業は従業員の離職傾向や職場の改善点を分析することが可能です。定着率の平均値厚生労働省が公開している「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、年初を起点とした令和4年1年間の定着率の平均値は85.0%(離職率15.0%)です。性別ごとにみると、男性86.7%、女性83.1%となっています。この数値には正社員とパートタイム労働者が含まれており、正社員の定着率は88.1%、パートタイム労働者の定着率は76.9%です。参考:令和4年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省離職率との違い定着率と離職率は、どちらも企業の人材管理における重要な指標ですが、意味する内容が異なります。定着率は、ある期間にわたって企業に在籍し続けている従業員の割合を示します。一方で、離職率は一定期間内に企業を退職した従業員の割合のことです。定着率は「残っている従業員」の割合に焦点を当てているのに対し、離職率は「離れた従業員」の割合に焦点を当てています。そのため、従業員が企業にとどまる傾向を評価する際は定着率を活用し、従業員が企業を離れる理由を分析する際は離職率を使うのが適切です。関連記事:離職率を下げるためには?社員の離職を防止するためのポイントと対策定着率の高い会社の特徴6選定着率の高い会社には、次の6つの特徴があります。給与が高い給与が高い企業は経済的な安定を与えることで、給与目的での転職を防げます。特に、同業他社と比べて高い給与水準で給与を支払う企業は、社員に対して「この会社で働き続ける価値がある」と感じさせることが可能です。また、高い給与は社員に自分の仕事が正当に評価されているという実感を与え、モチベーションを高める要因となります。これにより、社員は企業内で長期的なキャリアを見据えるようになり、結果的に定着率の向上が期待できます。職場の雰囲気が良い社員同士のコミュニケーションが円滑で信頼関係が築かれた職場では、従業員は働きやすさを感じ、長期にわたり勤務する傾向があります。例えば、パワーハラスメントやモラルハラスメントなどをする人がいない環境であったり、何かストレスを抱えた時に気軽に相談できる相手がいる環境であれば、安心して勤務ができる雰囲気の職場と言えるでしょう。職場の良好な雰囲気はストレスを軽減し、モチベーションを向上させる効果があり、結果的に離職率の低下に寄与します。福利厚生が整っている健康保険の負担など、法定福利厚生が整っているのはもちろんのこと、特別休暇や住宅手当・家賃補助といった法定外福利厚生が充実している企業は、従業員の満足度が高まり定着率が高くなる傾向にあります。従業員のワークライフバランスをサポートするような福利厚生が人気が高く、例えば、フレックスタイムやリモートワークの導入、メンタルヘルスのサポート体制が整っている企業であれば、家族構成が変わったり、病気になってしまったりと従業員の生活状況が変わっても、長く働き続けることが可能です。入社前の印象と現場にギャップがない多くの候補者は、企業のWebサイトや採用説明会、面接を通じて会社のイメージを持ちます。この段階で感じた会社の魅力が実際の職場でも確認できると、候補者は期待通りの職場だと認識し、満足度が高まります。たとえば、アットホームな雰囲気があると聞いていた場合、実際に働き始めてもその雰囲気が感じられると、安心感が得られます。逆に、入社前に伝えられた情報が現実とかけ離れていた場合、ギャップによって期待を裏切られたと感じやすくなります。その結果、不満が積み重なり、早期退職につながることが少なくありません。特に、仕事の内容や上司との関係、社風におけるギャップが大きい場合、離職のリスクが高まります。関連記事:ミスマッチとは?採用ミスマッチの原因とミスマッチによるリスクを解説人事評価に納得感がある従業員が納得できる評価制度は、仕事に対するモチベーションを高め、定着率を向上させるために重要な要素です。納得感のある人事評価とは、評価基準が明確であり、公平に適用される制度を指します。評価基準がはっきりしていて、個人の役割や責任に沿って適切に設定されていると、社員は自分の仕事が正しく評価されていると感じやすいです。さらに、評価結果に対して今後の成長につながるフィードバックがあれば、従業員の自己成長意欲が高まり、会社への帰属意識も強くなります。逆に、評価基準が不明瞭で一貫性のない評価が行われると、従業員は不公平感を抱き、不満が溜まる可能性が高いです。このような状況では、モチベーションが低下し、結果として定着率が悪化します。適性に応じた業務を担当させている社員それぞれが持つ異なるスキルや得意分野を把握し、適切なポジションや業務に配置することは、企業にとって重要な戦略です。従業員が自分の強みを最大限に発揮できる業務に就くことで、仕事に対する満足感ややりがいが高まり、結果的に定着率が向上します。さらに、適性に合った業務を担当することで、従業員は自信を持って仕事に取り組めるようになり、成果も上がりやすく、企業全体としての生産性が向上するでしょう。定着率を向上させるメリット定着率を向上させることには、次のようなメリットがあります。採用コストを削減できる採用活動には、求人広告の掲載費用や採用担当者の人件費、選考にかかるコストなど、多大な時間と費用が必要です。しかし、従業員が長期間にわたって安定して働き続ける環境が整っている会社では、頻繁に採用を行う必要がなく、それに伴って採用活動にかかるコストも削減されます。また、既存の従業員が長く働くことで、業務に関する知識やスキルが社内に蓄積されるため、新たな教育やトレーニングにかかる時間やコストも減らせます。優秀な人材を獲得できる定着率が高い会社は、従業員が長く安心して働ける環境が整っていることを示しており、候補者に魅力的な職場と認識されやすいです。そのため、定着率が改善すると求人数が増え、それに伴って優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。また、業界内で評価が高い企業は、新卒者だけでなく転職希望者からも人気があるため、中途採用で優秀な人材を獲得しやすいです。さらに、所属企業への満足度が高くなると、従業員が友人や知人に会社を紹介する「リファラル採用」の機会が増えるでしょう。信頼できる人材が集まり、結果的に優秀な人材を獲得しやすくなる好循環が生まれます。関連記事:リファラル採用とはどんな採用方法?リファラル採用の特徴を解説従業員のモチベーションが高まる職場に長く留まることで、従業員は自分の仕事に対してより強い責任感や帰属意識を抱くようになります。これが仕事への意欲を高め、モチベーション高く仕事に取り組むことにつながります。特に、評価制度や昇進の機会が公平で、キャリアパスが適切に設計されている企業では、従業員は自身の目標に向かって努力するモチベーションを保ちやすいです。逆に定着率が低いままである場合、既存の従業員のモチベーションが下がる要因となり得ます。新しい人材を採用した際、現場で仕事を教えるのは既存の従業員です。せっかく仕事を教えたのにすぐに新人が辞めてしまって「無駄な時間だったのではないか」と思ってしまうでしょう。生産性が向上する従業員が長期間会社に勤めることで、業務に対する熟練度が上がり、効率的に業務を遂行することが可能です。長年にわたり蓄積された経験やノウハウは、業務の質を向上させるだけでなく、問題解決のスピードやサービス品質の向上にもつながります。さらに、チームメンバー同士が長期間一緒に働くことで、互いの役割や強みを理解し、効率的に協力し合えるようになります。一方で定着率が低く人の入れ替わりが激しい職場であれば、仕事を教えることにばかり時間が使われ、戦力になる頃には辞めてしまうことの繰り返しで、生産性をあげることは難しいです。ブランドイメージが良くなる定着率が高まると、企業は「働きがいのある会社」として認識され、取引先からの信頼を得やすくなります。これにより、長期取引や新しい企業からの取引提案が増えていきます。また、定着率の高い企業としてメディアに取り上げられると、企業の知名度が向上し、企業のブランド価値が一層高まるでしょう。定着率を向上させるための方法定着率を向上させたい方は、以下の方法を実施してみましょう。福利厚生を整備する福利厚生が整っている企業は、社員に「この会社は自分を大切にしている」と感じさせ、企業への信頼感と帰属意識を高められます。特に、ワークライフバランスを支援する福利厚生は、社員の安心感を高めるために不可欠です。育児休暇の充実やリモートワークの導入、フレックスタイム制度の整備を進めることで、社員の満足度を効果的に改善できます。社内のコミュニケーションを活発にする円滑なコミュニケーションは、従業員同士の信頼関係を築き、働きやすい職場環境を作るための基盤となります。そのため、定期的なミーティングやワークショップを通じて、従業員同士が交流を深める機会を設けることが大切です。特に、社内SNSやビジネスチャットなどで、普段は一緒に働かない部署や役職の従業員が交流できる場を作ることで、社内全体に一体感が生まれ、仕事への満足度が向上しやすくなります。採用時のミスマッチを減らす入社後のギャップは早期離職の原因となるため、採用プロセスでミスマッチを最小限に抑えることが重要です。たとえば、採用時に企業が求める人物像や仕事内容を明確にし、具体的な業務内容を伝えることで、入社後に「思っていたのと違う」と感じるリスクを減らせます。また、候補者の人柄や実績を現職・前職の関係者にヒアリングする「リファレンスチェック」を活用すると、候補者が企業文化や職務内容にマッチしているかを効率的に評価できます。関連記事:リファレンスチェックとは?基本的な流れや質問内容について解説教育体制を整える業務の効率化や品質向上を図る教育を実施することで、社員は仕事への理解を深め、モチベーション高く取り組むようになります。また、新入社員向けにキャリア形成や企業文化を理解するための研修を行うことで、将来への不安による早期離職を防げます。そのため、自社のOJTや研修の効果を評価し、従業員のスキルアップやストレス軽減につながるよう、教育内容を定期的に改善することが重要です。他にも、新入社員・既存社員問わず、ハラスメント研修を取り入れることで無自覚なハラスメントを防止できる可能性が高まります。人間関係の不満が出にくい環境を作ることで定着率の向上に繋がります。【お役立ち資料】知らないと危険!身近にあふれる「コンプライアンスリスク」適切な評価制度を導入する従業員が自分の努力や成果が正当に評価されていると感じることは、仕事に対する満足度やモチベーションを向上させ、結果的に定着率の改善につながります。そのため、具体的な目標や期待される成果が明確に定義されているか、評価基準が全従業員にきちんと伝わっているかを確認することが重要です。もし、他者評価が不足していると感じる社員が多い場合は「360度評価」を、成果に見合う報酬が得られていないと感じる社員が多い場合は「インセンティブ制度」の導入を検討してみてください。リファレンスチェックならback checkこの記事では、定着率の高い会社の特徴や具体的な改善方法について解説しました。定着率が高い会社は、従業員が長期間安心して働ける環境が整っており、これが職場の良好な雰囲気や高い生産性につながります。定着率を効率的に改善するには、自社内の改善だけでは不十分で、そもそも自社のカルチャーや業務内容に適した人材を採用することも重要です。そのため、採用候補者の人柄や実績を確認するために、現職や前職の関係者にヒアリングを行う「リファレンスチェック」の利用が有効です。リファレンスチェックを実施することで、社風や業務内容に適した人材を採用しやすくなり、定着率の向上を実現できます。とはいえ、自社でのリファレンスチェックには手間も時間もかかります。株式会社ROXXが提供するオンライン完結型のリファレンスチェックサービス「back check(バックチェック)」を活用すれば、それらのコストをかけずに安価にリファレンスチェックが可能です。自社の定着率を改善して生産性やブランド力を高めたい方は、ぜひ「back check」の導入をご検討ください。