コロナ禍以前からリモート開発サービスを強化──CLINKSではRES(リモートエンジニアリングサービス)に早くから力を入れているとお聞きしました。山本:当社は2002年に創業し、現在は1,000人を超える従業員が在籍しています。一貫してプロパー社員を育てることを大切にしており、正社員比率は95%です。売上の約3割が自社コンテンツ開発、約7割がクライアント企業への人材派遣事業(システムエンジニアリングサービス:SES)および、テレワークによる受託開発事業(リモートエンジニアリングサービス:RES)で、全従業員のうち150人程度が受託開発事業に従事しています。当社がITエンジニア在宅派遣サービス「テレスタ」をリリースしたのは2017年8月。2018年には総務省の「テレワーク先駆者百選」にも選定されています。当時は働き方改革やテレワークが今ほど認知されていなかったですが、代表取締役である河原浩介の「通勤のない社会を実現させよう」という考えからスタートさせました。早くから取り組んだことで、テレワークでの仕事の進め方、情報の共有と安全な管理、勤怠管理や人事考課の面でも整備がされており、優位性を持っていると思います。コロナ禍によってエンジニアのクライアントへの常駐が難しい状況になっても、問題なく対応できました。──RESのメリットはどのようなものがあるのでしょうか?山本:2つあります。1つは、エンジニアが通勤から解放されて負担が軽減されることですね。働く時間の自由度も上がり、子育てをされている女性も働きやすくなっています。これは数字にも表れています。当社はコロナ禍を経てRESの比率がグッと増えたのですが、それに合わせて離職率が明確に下がりました。通勤から解放され、働く時間の自由度が上がったことで、ワークエンゲージメントが上がったのだと思います。もう1つは、どこでも働けることです。当社には今、北海道から鹿児島まで全国各地に居住してクライアントの開発プロジェクトに参加している方がいます。優秀な人材は首都圏だけにいるとは限りませんので、全国を対象に採用ができることはメリットが大きいですね。また、Uターン、Iターンで地方に居住されたい方や、好きな場所を点々としながらワーケーションをされたい方、海外に居住しながら働きたいといった方も、当社では正社員雇用で採用しています。ただし、このように自由に働いていただくには、ある程度1人で課題解決ができるくらいのスキルを持っていること、CLINKS本社と信頼関係を維持できること、お客様満足度が高い状態で働いていただけることを条件としています。リファレンスチェックを人事考課と教育・育成に活用──CLINKSでは派遣エンジニアのクライアント評価にback checkを活用されていますが、どのような経緯があったのでしょうか?山本:当社は2022年4月から自社の社員採用のフローにback checkを導入しているのですが、これを派遣エンジニアの評価にも活用できないかと考えました。派遣先であるクライアントに、当社のエンジニアのリファレンスチェックを実施していただき、人事考課と教育・育成に結びつけようというものです。クライアントの開発プロジェクトに参加しているエンジニアの正しい評価には難しさがあります。きっちりと業務に取り組み、クライアントから求められている価値を提供できているか、あるいはそれ以上のパフォーマンスを発揮できているか、プロジェクトメンバーと上手くコミュニケーションが取れているかなど、さまざまな面での確認が必要です。そこで、人事考課のタイミングに合わせて、試験的に23人のエンジニアのリファレンスチェックをクライアントに依頼しました。これまでもExcelで作成した評価票をクライアントへお渡ししていたのですが、回収率は50%程度でした。それが今回は回収率が100%でしたので、非常に効果的だったと感じています。back checkはオンライン上で簡単に回答できるので、面倒さや回答のしにくさなどを軽減しているのだと思います。──リファレンスチェックの結果はどのように活用するのでしょうか?山本:加点評価のみ行い、良い評価を得たエンジニアを対象に報酬を上乗せする予定です。今後は、今回のback checkの結果を精査し、改めて評価制度として整えるとともに、人事考課にも組み込んでいきたいと思っています。なお今回の対象者は23人のみでしたが、派遣エンジニアおよそ750人へと範囲を広げたいと考えています。人事考課の要素のうち、2割程度をリファレンスチェックに置き換えたいですね。減点もあり得る制度になるかと思いますが、基本的には加点の要素とし、できるだけ多くのエンジニアの評価と報酬を上げられるようにしたいです。クライアント評価をファクトにして、報酬を上げたい──派遣エンジニアの報酬を全体的に上げることは、経営的に難しくありませんか?山本:いえ、むしろ逆です。クライアントに評価をしていただくわけですから、高い貢献をすることで高い評価を得たエンジニアに関しては、クライアントに報酬アップの交渉をする材料とさせていただきます。クライアント評価をファクトにして、エンジニアの平均単価の引き上げを図りたいのです。このことはすでにクライアントにもお伝えしていますし、エンジニアにも伝えています。エンジニアはクライアントへより高い貢献をしていただき、クライアントはより収益が上がることでその分当社へも高い報酬をお支払いいただく。そしてその報酬は、エンジニア本人へ還元したいと思っています。クライアント、当社、エンジニア、トリプルウィンで全員が幸せになる制度になるはずです。──クライアントからマイナスの評価をいただくことも考えられますよね?山本:もちろんです。しかし、マイナス評価は即改善につなげていくことができます。例えば、コミュニケーションの取り方が良くない、仕事の進め方が好ましくないなどといったご指摘をいただければ、エンジニアに対して具体的な指導ができます。また「こんなスキルがあれば他の部分の開発も任せていただける」といった気づきも得られるので、エンジニアにフィードバックをし、スキルアップのための勉強を促すことができます。これは報酬アップやキャリアアップに直接つながるスキル習得となりますので、エンジニアのモチベーションも上がるのではないかと考えています。当社にとって、営業担当者が伺っている話とは別の視点から、開発現場のリアルな声をいただくことは経営戦略上もとても重要なことです。営業はやはり開発現場を見ることがなかなかできないので、実際にクライアントが抱えている課題だったり、「エンジニアにもっとこうしてほしい」といった具体的な要望が見えてこないこともあります。リファレンスチェックによって課題が可視化されることで、よりクライアントへ寄り添った課題解決に取り組むことができます。また当社は、エンジニア未経験の方にプログラミングなどの教育を1ヶ月間実施し、資格を取得いただいてからクライアントへ派遣するという事業も行っています。開発現場で今必要なスキルや習得しておけば今後武器になるスキルなど、当社も常にアンテナを立てていますが、やはり開発現場の生の声が非常に貴重です。──自社の社員採用にback checkを導入した背景はどういったものでしょうか?山本:当社の課題としてあったのは、入社後のミスマッチです。入社して約1〜2週間という短期間で早期退職してしまうケースがありました。スキル面よりも人間関係の構築に問題があったり、メンタル面で少し不安があったりという方を、書類選考や面接では見抜けずに採用し、「やはり働くことが難しい」といった理由で退職となるものです。そういった事態は入社者にとっても、クライアントにとっても、私たちにとっても幸せなことではないので、防ぐことができるミスマッチをできるだけ減らしたいという思いがまずありました。back checkを使ったリファレンスチェックは、中途採用の候補者に依頼をさせていただくことはもちろん、今後は新卒採用の候補者にも依頼をさせていただこうと思っています。アルバイト先や大学の研究室やサークル、友人などに回答をお願いしていただくことを想定しています。また、エンジニア採用においては、エンジニアの待遇をより良くしたいという思いがあります。実績と能力のあるエンジニアを少しでも良い待遇で採用したい。前職できちんと成果を上げていて、周囲から高く評価されていたというファクトがあれば、当社としても良い条件を提示することができます。例えば、緊張をされていて面接だけでは十分に自己アピールできなかったエンジニアへも、back checkによる客観的な評価があれば正当な待遇でオファーすることが可能になります。──高い能力を持った人材には、より高い報酬を支払うべきだと。山本:その通りです。しかし雇用する側もリスクはありますから、ファクトを示していただきたいのです。技術についてはプログラミングのソースコードを書いていただくなどすればある程度分かりますが、コミュニケーション力やチームでの仕事の進め方、誠実さなどといった部分は、書類選考や面接だけでは見抜くことが難しいのです。私は以前、外資系企業で勤務した経験があるのですが、外資系企業では紹介状(リファレンス)制度が採用文化として根付いていました。日本のビジネスパーソンの中には年収をダウンさせて転職するというケースもありますが、海外では逆。「前職ではこれだけの報酬をもらっており、周囲からもこのように評価されていた。私はこの会社ではこのようなポジションで、この規模のプロジェクトを回して成果を出すことができる。だから年収はこれくらいでお願いしたい」といったように、紹介状を報酬の交渉材料として使う。転職とともに報酬をアップさせていくのがスタンダードであるとも言えます。こうした文化が日本でも広がり、根付かないかなという思いがずっとありました。そんなときにタクシーに乗っていたら、たまたまback checkの広告が流れていて、「これだ」と思いました。すぐに問い合わせをして、導入を進めましたね。──これからリファレンスチェックの導入を検討される企業へメッセージをお願いします。山本:リファレンスチェックは変化が激しい採用市場において有意義で、企業を守る手段として大きな役割を果たすと思います。一方で、エンジニアの待遇改善や働き方の改善にもつなげることができます。優秀な方がより多くの報酬を得ることができ、成長途上の方が目指すべき道が見えることが、日本全体のために大切だと思います。そのために、1社でも多くの企業にリファレンスチェックを導入していただいて、これからの採用活動やクライアント評価におけるスタンダードになることを期待しています。最後までご覧いただき、ありがとうございました!コンプライアンスチェック・リファレンスチェックサービスの「back check」は、Web上に候補者の情報を登録するだけで、面接では見抜くことが難しい情報を取得することが可能です。コンプライアンスチェック・リファレンスチェックの実施経験がないご担当者様や、利用方法・運用に不安をお持ちのご担当者様でも、簡単な操作ですぐに利用することができます。ぜひこの機会に「back check」の導入をご検討ください。