本講演の前半では、ROXX 取締役の山田氏とNEWONE取締役の葛西氏をお招きしてご講演いただいた後、質疑応答のお時間を取らせていただきました。中途社員の採用から育成までに行うべきアクションが明確になり、中途採用を成功させるポイントについて学ぶことができる回になり、ご好評いただきました。講演者プロフィール葛西 健一郎(かさい けんいちろう)氏株式会社NEWONE 取締役大学卒業後、大手印刷会社に入社 新規・既存問わず営業として、多くの企業様を担当。 顧客の潜在的なニーズを引き出し、顧客の課題を解決していくことで信頼を獲得し、最年少で昇格。その後、部下育成を行いながら、プレイヤーとしても活動し、2003年から2005年まで利益部門1位を獲得し続ける。 2008年よりシェイクに入社。営業部門統括マネジャーを経て、管理部門のマネジャーとしてメンバーをまとめる傍ら、アセッサー、ファシリテーターとして新人~マネジャー層向けの研修に登壇している。 ファシリテーター領域としては、タイムマネジメント、営業スキル、コミュニケーション系、リフレクション研修と幅広く登壇している。 2018年、グループ会社の㈱NEWONEのスタートアップに参画。営業統括の役員、マネジャー、ファシリテーター等多くの活動をしている。山田 浩輝(やまだ ひろき)株式会社ROXX 取締役COO大学在学中、代表中嶋と株式会社RENO(現株式会社 ROXX)を創業。ROXXではCOOを務める。2017年に新規事業責任者として「SARDINE(現agent bank)」の立ち上げを実行。2019年より新規事業「back check」を統括。累計500社以上の企業に対し採用コンサルティングを実施。オンボーディングは、将来の自分を楽にする他社の人事の方とお話しをすると、採用においては母集団形成が課題だとあげることが多いです。もちろん母集団形成の課題は重いのですが、そればかりに気を取られるのも良くない状況です。本来、マインドシェアを割いて頂きたいのは、ミスマッチを減らすことだと考えています。ですが、まだまだ時間と思考も割けていないのが現状です。これは、人事にとっては直接的なメリットがないと思われてしまうため、後回しにしやすいからだと多くの人事をみて感じました。しかし、ミスマッチを減らすことは、長期的に重要になっていきます。例えば、オンボーディングなどの活動支援は、「無駄なコスト削減」「事業の目標達成の可能性があがる」「社会生産性があがる」などに結びつきます。つまり、長期的には、未来の自分達を楽にすることになるのです。まずはしっかりと必要性をイメージすることが重要です。また、採用に携わる人事の方からは、年間の採用人数を達成するために、やることが多く、忙しくて大変だという声も聞きます。ここで、採用しなければいけない人数を計算式に表してみました。この計算式で言えるのは、自分が関与していないところで何かが決まるわけではないということです。将来の必要な採用人数は、社員の生産性を上げたり、防げたはずの離職を減らすことで変わっていきます。事業にもよりますが、質を改善していく事によって、将来の採用の人数も減らしていくことになるでしょう。そうすることで、採用業務や人事業務などに余裕が生まれていき、本質的な採用業務や人事業務がに時間を割くことができるようになります。この循環を目指して業務をおこなっていきましょう。入社後1年は、人事がみるべし上記は、back check事業部が独自で定義している人事の干渉範囲の図解です。近年、戦略人事と言われる、経営目標から人材戦略を考える人事が増えています(図の水色の範囲)。その一方で、オペレーション人事と呼ばれる、ただ与えられた指示をこなすだけの人事も存在しており、二極化が顕著に進んでいます。考えることは確かに多いですが、入社後活躍の支援は、将来の自分を楽にすることに繋がっているのです。では、改めて入社後に発生するミスマッチについて説明します。一般的によく言われるものは、カルチャーのミスマッチスキルのミスマッチそれ以外に重要な視点は期待値のズレ…採用時の期待値が高すぎて不信感を生むオンボーディングの失敗…本来活躍できる人が活躍しないマネジメントの失敗…オンボーディング後の上司のマネジメントが適切でない5つがあげられます。マネジメントまでとなると、いつまで見ればいいのかという疑問が生まれます。私は、最低でも入社後1年を区切りにして欲しいと考えています。選考プロセスでは、上記の5つをしっかりと潰していく設計ができているのかを確認していきましょう。人事はSaaSから学ぼう話は変わりますが、人事という仕事をより理解していただくために、SaaS(Software as a Service)を例にあげたいと思います。今の日本は、雇用の流動化が激しく、従業員も、より新しいサービス(ここでいうと会社)に乗り換えている状態になっています。組織・事業をプロダクトと考えるのであれば、人事はまさにカスタマーサクセスのポジションと言えるでしょう。カスタマーサクセスの目指すところは、「LTV(生涯顧客がつくる売り上げ)」を最大化することにあります。プロダクトの価値提供率を最大化することにより、できるだけ長くプロダクトを使ってもらうことを目的にしています。また、カスタマーサクセスが、LTV最大化にもっとも効果的である施策は、オンボーディングの強化であると言われています。人事に言い換えれば、採用した人が長く働いてくれたことに繋がります。人事がオンボーディングをしっかりすることで、採用された側もモチベーションが高い状態で関わることができるので、信頼度も上がります。なるべくその状態を維持していくことがレバレッジのある施策と言えるでしょう。オンボーディングのポイントオンボーディングは、脱「自己認知」、脱「画一プログラム」、脱「単体戦」がポイントです。一つ目の自己認知は、採用された方の自己認知になります。自分が認識する不得意なことや仕事のスタイル、モチベーションの保ち方などは、客観的にみて分析していきましょう。二つ目の脱「画一プログラム」では、みんな一緒に同じことをやるとうまくいかないことを前提にしてください。三つ目の脱「単体戦」では、会社全体で取り組むことをしてください。人事のみでやるのも無理ですし、総力戦になるので、組織としてオンボーディングを連携しながら実施する必要があります。配慮して最適化することができるのがリファレンスの特徴である、と覚えていただけると嬉しいです。自社サービスになりますが、リファレンスチェックは、オンボーディングにも活きています。第三者からの評価だけでなく引き継ぎ情報として、個別最適化に必要な情報が豊富に取得可能であるのでぜひご利用ください。リファレンスチェックサービス「back check」概要はこちら次に、葛西さんより「中途採用者のオンボーディングを成功させるポイント」について伺いました。自主的に貢献したい意欲がエンゲージメント環境の変化に伴い、個人と組織は対等な関係性になってきました。そこで注目されているのが「エンゲージメント」です。日本語訳としては、「自発的な貢献意欲」と訳されています。与えることや尽くすではなく、つながっていることを大切にしています。エンゲージメントが上がると離職率の改善や品質の欠陥、欠勤の低下に有効とされています。クルー(乗組員)になってもらうオンボーディングとは、知識を与えるのではなく、共に前に進む乗組員として自覚がある状態になることを指します。乗組員の特性や違いを生かして、相互に成果を出すために、機能をしていることが理想でしょう。与えることばかりしていると、乗組員というより、お客様のような感覚になってしまいます。組織側から与えることのみに力点を置かないように注意してください。マネジメントも、与えるのではなく、組織全体で自発を促せるように働きかけていくスタイルにしていきましょう。どのようにすれば主体的な貢献行動を促せるようになるのかを設計していくことが重要になります。強みを活かせるかでエンゲージメントが上がるでは、エンゲージメントはどうやって上げればいいのか。アトラエさんのデータでは、労働環境よりも、日々の上司との関わり方でエンゲージメントが変わっていくことが分かったそうです。トップダウンのマネジメントより、支援型のマネジメントが適しているようです。そのため、与えることから繋げることへの意識転換が必要です。本人のキャリアや意向に沿った、納得感あるマネジメントをすることが、エンゲージメントを上げる要素になっていくのです。新たなチームを再構築しよう最後にまとめです。オンボーディングでは、今ある組織に迎合させるよりも、中途採用者が入ってきた時、新たなチームを再構築するようなことが求められることを意識してみてください。「エンゲージメントサーベイの使い方として、通信簿的にスコアを確認して次の施策を考えることが多いのですが、それだとあまり効果がないんです。なぜかというと、エンゲージメントをあげる前提にあった自己決定がされていないからです。なので、エンゲージメントサーベイをチームで共有して議論していくことが大切になります。参加をして考えるというプロセスを行いチームを再構築させることを意識してください。」〜最後に〜オンラインでの採用活動が増えてきた中、中途採用者が、ポテンシャル通りの実力を発揮することが難しくなっているのも事実です。ゼロから考え直し、柔軟に施策を行っていくことが重要になっていきます。株式会社ROXXが主催しているセミナーは、人事に関するあらゆる課題を紐解き、企業の皆様と学び合いながら、知見を共有し未来に繋ぐ場です。次回以降も、先進企業の成功事例やゲストの方をお招きし、向き合った課題、その解決策、先進企業の事例など、皆様のお役に立てるコンテンツをご提供していきます。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。お申し込みはこちらから(文:三田理紗子、バナーデザイン:儀保みすず)