目次「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」をミッションに掲げ、複数の事業を展開している株式会社メルカリ。正式リリース前の2019年4月からback checkを活用いただいています。導入から5年が経った中で、活用方法などに変化はあったのか。メルカリの採用に対する考え方、そしてback checkの活用方法についてTalent Acquisitionマネージャーの久保木さん、笠井さんにお話を伺いました。スピーディーかつ柔軟な開発体制が魅力的でした正式リリース前の2019年4月からback checkを活用されています。どのような経緯でback checkを活用することになったのでしょうか?久保木:もともと、メルカリでは2017年ごろからリファレンスチェックを社内運用で実施していました。当時からリファラル経由での採用が強かったこともあり、候補者のワークスタイルやパーソナリティーがメルカリのカルチャーにマッチしているかどうかを判断するために、リファレンスチェックを通して「前職でどういった取り組み方をしていたか」や「一緒に働いていた人たちからの評価はどうか」といった情報を得るようにしていたんです。当時の方法はメールや電話などでした。最初の頃はそういった社内運用体制で問題がなかったのですが、採用人数が一気に増えた2018〜2019年前半の頃にオペレーションが限界を迎えてしまって。リクルーターが人力でリファレンスチェックを進めてくのは難しいという話になり、外部のシステムを探し始めたんです。他のサービスもあった中で、なぜback checkだったのでしょうか。久保木:「リファレンスチェックを文化として定着させたい」というROXXの想いに共感したことが大きかったんじゃないか、と思います。別のチームが導入検討を進めていたのですが、当時の打ち合わせ資料にその文言が載っていたので、きっと導入にあたっての意思決定者の心に刺さっていたはずです。また、柔軟な開発環境も魅力でした。当時からメルカリは海外人材の採用を積極的に進めていたこともあり、多言語対応はマストで必要な機能だったんです。その旨をROXXに伝えたら、すぐに多言語機能の開発が進み、導入前までに実装されました。スピーディーかつ柔軟に機能を開発してもらえるカルチャーがあることもback checkを導入する大きな魅力でした。今では、グローバル採用において50カ国以上の人々にback checkを活用いただいています。グローバルにおいても全く問題なく活用できる点も非常に心強いです。(Talent Acquisition Manager 久保木誉延氏)文化として定着しつつある「リファレンスチェック」導入から5年が経ちました。採用におけるリファレンスチェックの役割に関して、この5年で何か変化は感じていますか?久保木:私は新卒からずっと“採用”をメインに仕事をしてきていますが、2000年代は外資系など一部の企業を除いて、リファレンスチェックを実施している企業はほとんどありませんでした。メルカリはカルチャーマッチを重視していることから、いち早くリファレンスチェックを実施し始めましたが、2017〜2019年でも採用マーケット全体で見たらリファレンスチェックは浸透している状況ではなかったです。ただ、メルカリがback checkを導入してから5年が経ち、この間でリファレンスチェックはすごく浸透したなと感じます。「リファレンスチェック」という言葉自体の認知度が広がったことにより、リファレンスチェックを依頼しても「回答したくありません」というようなネガティブな反応をもらうことはほとんどありません。今は他社の選考で回答したリファレンスチェックの内容を共有できる「レポート共有機能」もあり、利便性もすごく向上しています。リファレンスチェックが浸透したことで、選考をスムーズに進められるようになっていますし、面接だけではない情報で採用の意思決定ができる。カルチャーマッチする人を採用するためには欠かせないものになっていると感じています。ROXXは「リファレンスチェックを文化として定着させたい」という想いを持たれていましたが、本当に文化として定着してきているなと思います。笠井:back checkの成長とともに、メルカリの採用も進化してきた感覚がありますね。御社はリファレンスチェックの取得率も高いです。採用候補者とのコミュニケーションにおいて、どのような工夫をされているのでしょうか。笠井:選考が始まるタイミングでリファレンスチェックを実施することを伝えています。その時点で選考プロセスのどのタイミングで依頼するかも伝えますし、具体的にどういった形でリファレンスチェックを推薦者である前職の上司や同僚に依頼いただきたいかも説明しています。意外と推薦者への打診方法がイメージしにくいということがあるので、一歩踏み込んで説明するのを心がけています。(Hiring Management Specialist Talent Acquisition 笠井春奈氏)選考スピードと採用精度の向上を目的に実施タイミングを変更直近でリファレンスチェックを実施するタイミングを変えられた、と聞いています。タイミングを変えた目的は何だったのでしょうか?笠井:メルカリでは現場の話を聞いて、より良い形を目指すために採用プロセスを柔軟に変えていく文化があります。リクルーターとしてハイアリングマネージャーと話をする中で、「結局リファレンスチェックをやっても……」という話を耳にするようになったんです。詳しく話を聞いてみると、最終面接が終わった後のタイミングでリファレンスレポートが手元に届いても採用に関する意思決定をすでに変えられない状況、ということでした。私自身も面接の過程では全く感じなかったことをリファレンスレポートの内容を通して認識するということがあり、変更を提案しました。もともと最終面接後に実施していたリファレンスチェックですが、実施タイミングを前倒しすることで、第三者からの評価も含めて候補者について正しく理解した上で面接を行い最終判断できるので、採用の精度を上げることができます。例えば、最終面接のひとつ手前まで選考が進んだ段階でリファレンスチェックを実施することで、仮に想定外のレポート内容になったとしても、最終面接でその気になった部分について詳しく確認することが可能です。また、最終面接後にリファレンスチェックを実施すると、採用候補者が「さらに選考の時間がかかるのか」という印象を抱きやすくなります。採用競合がいた場合、そこのスピード感がどうしてもネックになりやすかったんです。「選考スピードを上げる」「採用精度を上げる」という観点でリファレンスチェックを実施するタイミングを変えました。質問の内容も変えられています。笠井:メルカリはミッション・ビジョン・バリューを大事にしており、それらを業務の中で体現できるかどうかを選考では何より重視しています。スキルが優れているから採用するといったことはせず、ミッション・ビジョン・バリューを含めたカルチャーマッチがあるかどうかを面接では見ています。そのため、リファレンスチェックの質問では「過去の経験がメルカリでどう活かせるか」という点を引き出しやすくするべく、バリューに紐づく質問を設計しました。久保木:リファレンスチェックはどうしても採用企業側が候補者を判定するために活用するツールというイメージを持たれてしまいがちですが、私はそのイメージは違うと思っています。リファレンスチェックを通して、候補者がこれまでのキャリアを通して積み上げてきた実績や周囲からの評価などを取得することが、面接官への何よりのアピールになります。本人にとっても良いリファレンスがとれることで、面接にプラスの影響がありますし、採用企業側としても入社前後での期待値のギャップを極力少なくできる。採用企業側と候補者側で「ここは強いですけど、ここは弱いです」という特性も含めて、お互いの期待値がすり合った状態で入社するのが最も幸せな形だと思うんです。それが面接の場ですり合わせできるという意味でも、リファレンスチェックはミスマッチのない採用を実現する力強いツールになると感じています。実施タイミングを前倒しにしたことで、どんな変化がありましたか?笠井:選考のスピードが上がりました。加えて、採用判断の精度も高まっている感覚があります。リファレンスチェックを活用する上では、必ずしもリファレンスレポートに書かれている内容をそのまますべて受け入れるのが採用企業として正しい姿勢ではないと考えています。リファレンスレポートを読んで気になる部分があったら、面接などで確認するコミュニケーションを丁寧に重ねることで候補者のより正しい姿を把握することに近づけるのではないかと考えており、そういった過程を経て採用判断の精度が上がっていく実感を持っています。会社の進化に合わせて、採用プロセスも進化させていくありがとうございます。今後の展望についてもお聞かせください。久保木:メルカリはミッション・ビジョン・バリューに紐づいた採用・育成・評価を重視しているのですが、10周年を機にミッションも新しくなりましたし、カルチャーも定期的に経営陣と議論しながら進化させています。採用においてもコアとなる部分は変わらないかもしれませんが、少しずつ進化して変わっていく部分もあると思います。今の選考のプロセスやリファレンスチェックの見直しも定期的に行い、採用プロセスも進化させていければと考えています。笠井:リファレンスチェックの質問に「オンボーディングでどういうサポートをしたらいいと思うか?」という項目があります。メルカリでは入社したメンバーに3カ月間に渡ってメンターが付く形でのオンボーディングを行っているのですが、その際にリファレンスレポート内容を共有することでよりスムーズなオンボーディングが実現できるはずだと考えています。もう一歩踏み込んだback checkの使い方ができると候補者体験だけでなく入社体験も向上させられるので、これから取り組んでいきたいですね。久保木さん、笠井さん、本日はありがとうございました!